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『パブリック 図書館の奇跡』監督 :エミリオ・エステヴェス

cinema
07 /23 2020
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監督、主演エミリオ・エステヴェスの『パブリック 図書館の奇跡』を千葉の映画館まで観に行ってきました。電車に乗って千葉の映画館まで進出したのは2月のジョージア映画以来かも…。でも帰ってきたら、東京でコロナ感染者300人超えのニュース!すっかり映画館は安全と、遠くの映画館まで脚を伸ばした日に……また引き篭もる日々に戻るべきか?60代肺がん経験者としては非常に悩ましいところです。

記録的な大寒波により凍死者が続出する中、満杯の緊急シェルターに入れなかったホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠。彼らの境遇を心配した図書館職員のスチュアート(エミリオ・エステヴェス)は、避難場所を求めてデモを始めたホームレスたちと行動を共にする。しかし、メディアの報道などでスチュアートは危険人物に仕立てられ、さらには警察の機動隊が出動する騒ぎへと発展していく。(シネマトゥデイより)

ストーリーは上の通り。実話をもとに作られたそうですが、映画としては大勢のホームレスが寒波を避け、図書館で夜を過ごそうと居座っただけで、暴力を振るって占拠したわけでもないし、警察や検察官、マスコミが事件に仕立てただけの話。映画としてはあまり展開がなく間延びしている印象もあります。しかし個人的に同じようなことが過去にあったため興味を持って見ました。
私は以前、公共図書館の非常勤、すなわちパートのおばちゃんをやっていた時に、真冬になるとホームレスの人が毎日のように入ってきてソファで居眠りしていました。周囲から匂い等クレームが入り、途中からホームレスは出て行ってもらうルールになりました。しかしホームレスではなく普通の利用者の中にも年配の方にはお風呂に入るのが億劫なのか、強烈な香りの方がよくいて、体臭を出て行ってもらう理由にするのなら発熱チェックならぬ体臭チェックが必要なはずで、ホームレスの人だけ体臭を理由にするのは一貫性がないのでは?と思ったものでした。(理屈っぽいヤツと思われるため口には出しませんでしたが)税金払ってないくせに来るなという人も多かったのですが、それも奇妙な話で、公共施設を利用するのに利用資格はいらないはず。とは言え、現実問題として他の利用者からクレームも入るため、悩ましい問題だったのですが、アメリカでも同じ問題はあるようです。
この映画では図書館員エミリオに図書館と本に救われた過去がある設定。さらにホームレスの人々には退役軍人が多かったり、3人の子供もいて真面目に働いてきたのに、失業でホームレスになった過去等々、アメリカの現実を反映させています。報道を見た人々が様々な物資を寄付しにきたりするところはさすがキリスト教の国だなと思いました。
ちょうど市長選の最中で、市長に立候補している検察官クリスチャン・スレーターが悪役。アレック・ボールドウィンは警察の交渉人でヤク中の息子を探している設定。息子は図書館のホームレスの中にいるのですが、この親子の話はどうなったのか中途半端で気になりました。結局、機動隊の突入が決まり、その時エミリオやホームレスたちのとった行動は…?
結局事件として報道が地味なため、この問題はすぐに忘れ去られてしまうと思っての行動のようですが、大寒波の中、わずかの時間でもこの姿では風邪引きそう。絵的にはコメディな決着のため、ほんわかした気分で終わります。
扱っている問題は深刻な社会問題なのですが、それをシリアスにせずコメディよりで薄味に味付けした映画。映画の出来としてはビミョ〜ですが、個人的には面白く見ました。

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コメント

非公開コメント

Re: なんと!!

あら、今瞳さんのところに遊びに行ってコメントしてきたとこなんですよ(笑)

そうそう、この映画見て、ホームレスの人の臭い問題は国を超えて同じなのね〜と思ったんです。
テンポも変だし、エピソードも回収なし。なんとも素人くさい映画なのに、不思議と嫌いになれませんでした(笑)

>スタインベックの「怒りの葡萄」日本のティーンの必読図書は何なんでしょう。

今時はなんなんでしょうね。私は太宰治で感想文書かされましたけど。夏目漱石は50過ぎて初めて読みました(笑)
今、「課題図書、高校生」で検索してみたら、意外とノンフィクションが多いみたいですね。
戦場カメラマンのキャパの話とか、「マララ」とか、「生命の話」とか。
やはり私たちの頃とは随分変わってますね。

なんと!!

こんにちは。
なんとぉ~!!tontonさん、まさにこの映画を思い出させる、体験があったんですね。

映画の出来は・・・テンポが悪くて、そうそう間延びしてる感じでしたね。
キャラクター達の動きも悪くって。でも私も図書館が舞台、本が登場~!!っていうので面白く観ました。
スタインベックの「怒りの葡萄」日本のティーンの必読図書は何なんでしょう。新調の100冊!?夏目漱石、太宰治?

アレック・ボールドウィンと息子のエピソードは、絶対鍵になる!と思ったけれど違いましたね~!(^^)!

Re: 褒めたい気持ち

うん、そんなに悪くはない映画なんだよね(苦笑)!

うん、この一言に尽きる。そうか、編集がまずいのかもね。
間延びしているくせに、意味不明な急展開。
善意の人々が寄付を持ってきたすぐ後に、そのエピソードは尻切れトンボのまま、なぜか機動隊突入になってるし。そもそもアレック・ボールドウィンがなぜ怒ってるのか分からんかった。息子の存在を知ってて隠したわけじゃないし。最初は検察官に比べたらまともな人に描いてたのに、なぜか途中からキャラ変わってるのも謎だった。
きっとすごく長くなっちゃって、でもエピソードをどれも捨てられなくて、ブチブチつなげた結果、こうなった、みたいな気もする。

エミリオ・エステベスって「星の旅人たち」というサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼旅を舞台にした映画があって、予告を覚えてるけど、これも彼の監督だったんだ!
この映画も、今回の図書館のも意外にも見た人の評価は高いね(ヤフーのレビューでは)。なんでだろう?
奇妙な素人臭さが新鮮とか!?
確かに、どうしようもない映画ってわけじゃないんだよね。私は退屈せずに見たけど、それは記事に書いたように個人的に似た経験があったから。う〜ん、きっと編集が悪いのね。そうに違いない。

ホームレスに関しては、若い頃は職場の近くでホームレスの人に「どこそこまで急いでいく用事ができたから電車賃を貸してくれ」と言われて、その話をまるっきり文字通り受け取って500円貸したことがある。そしたら職場のみんなから散々バカにされた。ホームレスの人にだって電車で行かなきゃならない用事があると頭から信じたんだよね。そのくらい、自分とホームレスの間には境界線がなかった。お金がなくて路上に住んでる人というだけで、差別みたいな気持ちがなかったのよ。それは私の心が美しいからではなくて、人を見下すとか差別するという機能が欠けてたのか?それとも時代の感覚だったのか?今じゃ、私の中ではホームレスはしっかりボーダーラインの向こう側の人だわね。残念ながら。

褒めたい気持ち

もうちょっとでほんとにいい映画になりそうなんだけどねぇ……という作品でしたね。
脚本がダメだし、編集が下手でテンポは悪いし長いし、モヤモヤが残ってしまう。
図書館員の女の子が図書館を出てから「帰る」って言いながらずっとそこら辺をうろうろしているのとか、めちゃくちゃマヌケだよね。うろうろしているならもうちょっと活躍して欲しい。

ま、ホームレス達や館長や図書館員の女の子はいいんだけどさ、市長候補の検察官も交渉人もテレビ局の女の子も魅力(悪役的な魅力でもいいんだ)無さ過ぎ、浅薄過ぎ。
市長候補の検察官が口にしていた「法と秩序」といえばニクソン得意のフレーズで、さらには今年の人種差別反対デモを排除しようとするトランプもやたらに使っていたけど、そういう意味ではアイツがあの言葉を使っているのはとてもタイムリーだなとは思った。

しかしなあ、優しい気持ちで見たい映画ではあるんだけど、お粗末なところが多過ぎるよね。
> アレック・ボールドウィンは警察の交渉人でヤク中の息子を探している設定。
> 息子は図書館のホームレスの中にいるのですが、この親子の話はどうなったのか中途半端で気になりました。

そうそう。観客としては「きっと交渉人の息子っていう子がいい働きをするんだろうな」って思うよね。息子自身が何かしてくれるとかじゃなくても、息子とホームレス達の関わりが、交渉人の気持ちに何らかの変化をもたらすとかね。
そういうの、無いもんね!
スチュアートが息子に殴られただけ。これ、映画としてはかなり衝撃的で、「予定調和を許さない展開ってことかい⁉︎」と呆然とした。
もう一人のまともそうな市長候補もちゃんと絡んで来ない。彼の支持者達(経験なクリスチャン達)が続々とホームレス達への支援物資を持ってやって来ても、そこにテレビクルーたちがいても、それが展開自体には全く影響を与えない。
あの「まともそうな候補者」は、「まともな候補もいるから、シンシナティは大丈夫です」ということを示すために出て来ているだけなんかい!

ホームレス達を支援しようという人達が現れているタイミングで、警察が「突入するしかないな!」と決断するのも衝撃的。
エミリオくんに親切に何か言ってあげる人、いなかったのかなあ。私がそこにいたら、黙っちゃいないぞ。いるわけないけど。

私事ですが、結構長いこと働いていた昔の職場の窓の下が小さな公園で、そこにホームレスが何人か出入りしながら住んでいて、窓を開けて仕事していると彼らの話が丸聞こえだったし、彼らがいつも猫に優しく接するのを見ていました。
今の職場の近所にも、雀や鳩に懐かれているおじさんがいて、生活ぶりもタフでミニマムで見習いたい所も多く、疎ましく思う気持ちはあまりないんですけど、図書館などでの問題はどうしたもんかなぁと頭を抱えてしまいますな。嗅覚刺激の問題は大きいね。
映画の中の彼等は、洗面所代わりに利用するだけじゃなくて、本を読んだりPC使ったり、母親にメールを送ったりと、図書館の機能も利用していたから、尚更「来るな」なんて言いにくい。
現在は税金を納めることもできないけど、かつては軍人だったり堅実な働き手として頑張っていた人たちだしね。

やたら文句を書いてしまったけれど、根深いホームレスの問題にスポットを当てたこの映画、ヒステリックでないやり方で声を上げたという点については評価できる。
もし日本で、大型台風の一夜、日比谷図書館を占拠したホームレス達があんなふうに「上を向いて歩こう」を歌う映像がニュースショーで流れたら、たぶん「ちょっと面白い出来事」というだけでは終わらないでしょうしね。
うん、そんなに悪くはない映画なんだよね(苦笑)!

tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。