FC2ブログ

『悪人伝』『ナイブス・アウト』『幼い依頼人』『スリーデイズ』

cinema
04 /22 2021
突然ですが、星占いのお話。信じているかと聞かれると「いえ別に」としか言いようがないのですが、なんとなく「しいたけ占い」というのだけ、毎週スマホで見ています。
今週の占いを見てみたら、獅子座(あ、私、獅子座です)のところに「あなたは”変な人文化遺産な人”です」と書いてありました。「あなたは変な人と縁があり、あなたも変な人が好きです…」って、なんのこっちゃ!?
確かに「ちょっと変わってるなぁ〜この人」という人と縁がありがちで、さらに「ちょっと変わってるなぁ〜この人」という人には甘い傾向はありますが、でもこういう万人向けの占いで「変な人」って言われる人ってどういう人を言うんだろうか?思わず自分の人生で出会った人々を思い浮かべてしまいました。で、結論としては「まあ、変と言えば変だけど、みんな至ってマトモよね」となりました。めでたしめでたし。

『悪人伝』監督 :イ・ウォンテ(2019)
akuninden.jpg
ある夜、凶悪なヤクザの組長チャン・ドンス(マ・ドンソク)は何者かに襲撃され、何とか一命を取り留めた彼は部下を使って犯人捜しに乗り出す。一方、警察の問題児チョン刑事は事件が無差別連続殺人鬼によるものと確信し、犯人逮捕のためドンスに協力を持ちかける。当初は反発し合いながらも、やがて二人は手を組み犯人を追い詰めていく。(シネマトゥディ)

先月、映画館で見た『ミナリ』とは対照的な、これぞ韓国エンタメ映画という1本です。バイオレンス、サイコパスによる連続殺人、でもどことなくユーモアもある。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』ではいい人だったマ・ドンソクが凶悪ヤクザのボス役で主人公。たまたま連続殺人犯に襲われ、刑事と組んで犯人を追い詰めるバイオレンスアクション。
マ・ドンソクが半端ないドスの効き方で、その不死身さはもはやお笑いレベル。そのキャラクターが面白くて、間違いなく凶悪凶暴なヤクザのボス。敵対するヤクザの子分をサンドバッグに詰めて半殺しにしたり、同じく敵の子分の歯を抜くシーン、思わず目を覆う残虐ぶりながら、連続殺人犯が車で追突してきた時の対応(観客はこのやり方が殺人犯の手段と知っている)は、謝る連続殺人犯に穏やかに「いいから帰りなさい」と言うので、思わず殺人犯も調子が狂ってしまう。他にも傘を持ってないバス停の女子高生に傘を貸すなど、素人にはいい人だったりするそのギャップが面白い。
それにしても韓国映画を見るたびに、警察とヤクザの区別がつかない柄の悪さは健在です。このラスト、死刑囚が他の人たちと同じ刑務所に?といくら映画でもリアリティ無さ過ぎ、と思いましたが、韓国では判決としての死刑は残っていても、実際には執行されないんだそう。

『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』監督:ライアン・ジョンソン(2019)
knivesout.jpg
85歳の誕生日を迎えた世界的ミステリー作家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が、その翌日に遺体で見つかる。名探偵のブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、匿名の依頼を受けて刑事と一緒に屋敷に出向く。ブランは殺人ではないかと考え、騒然とする家族を尻目に捜査を始める。(シネマトゥディ)

面白かったです。一見豪華なお屋敷がよく見ると、変な人形だのナイフのオブジェ?だの、悪趣味なところもアメリカっぽいと言えばぽい。007のダニエル・クレイグが探偵を演じ、往年のスター俳優(ジェイミー・リー・カーティス、ドン・ジョンソン)がすっかりおじさんおばさんになって出演。鍵を握る看護師は『ブレードランナー 2049』のホログラフィの恋人アナ・デ・アルマス。先月お亡くなりになったクリストファー・プラマーがこの映画ではまだまだお元気そう。他にもトニ・コレット、マイケル・シャノンなど有名俳優たちの共演も楽しい。
時代は現代、場所もニューヨーク郊外ですが、ちょっとユーモラスな探偵、全員怪しいなど、何となくアガサ・クリスティっぽい。

ミステリーとしては、割とさっさとその夜、何が起きたかネタバラシしちゃうんです。さらに最も鍵となる看護師のアナちゃんが探偵のワトソン役にされちゃう。アナちゃん、嘘をつけない体質で、嘘つくと吐いちゃう設定が可笑しい。
しかし終盤、どんでん返しもあって、ミステリーに詳しくないのですが、最後まで面白く見ました。

日本だと遺留分とかあるんでしょうが、アメリカにはないんですね。移民の看護師に心から感謝してるのは分かるけど、いくら何でもこの遺言は揉めるの必須。子供たちに自分に依存する人生を送らせてしまったことを反省してるのか?もしくは色々あって腹を立てているのか?そのどちらにも解釈できるけれど、アナちゃんも意外と「ここは私の家とよ」とか言い出しなかなか強いです。でもラスト、心優しいアナちゃん、一家の心配もしてるから、遺族と分割しそうな感じもあり、大富豪そこまで読んでの遺言なのかも?南米からの移民という設定もトランプ政権下ならではの皮肉なのかなぁ〜と思いながら見ました。
印象的なのはダニエル・クレイグが007よりもずっと楽しそうに見えること。あら?この人、こんなに締りのない顔だっけ?と思ってしまうほど(笑)

『幼い依頼人』監督:チャン・ギュソン
osanaiirainin.jpg
ロースクールを卒業した後、児童福祉館に臨時で就職したジョンヨプ(イ・ドンフィ)は、継母(ユソン)から虐待されている姉のダビン(チェ・ミョンビン)と弟のミンジュンに出会う。その後法律事務所に就職した彼は、ダビンの鼓膜が破れ、さらにミンジュンが死んだことを知る。ダビンが弟の殺害を自白したことに衝撃を受けたジョンヨプは、彼女の弁護を引き受けることにする。(シネマトゥディ)

韓国で実際にあった児童虐待死事件に基づくサスペンス。
子役がうまくて、予想どおりしんどい話。主人公の弁護士が韓流イケメンではなく、トボけた顔だちの青年で、どことなくユーモアがあるのが救い。虐待する継母はかなり憎たらしいのですが、ショックなのは継母の犯罪が暴かれ、主人公に責められると、この犯人も親の愛を全く知らない人だということが分かるところ。
若い頃、韓国人の知り合いがいて、一緒に韓国旅行もしたのですが、その頃の印象では、韓国人は情が深くてお節介な人が多い印象だったのです。でもこの映画を見ると、継母の虐待を同じマンションの住民はみんな知ってても、皆見て見ぬふり。どの国も経済的に豊かになると、人間関係が孤立する。なんでだろう?不思議といえば不思議です。


『スリーデイズ』監督: ポール・ハギス
3days.jpg
無実の罪で投獄された妻を救うため決死の行動に出た男の姿を描くサスペンス・アクション。
大学教授のジョン(ラッセル・クロウ)が無実の妻を取り戻すために、綿密な計画を練り脱獄させる。
最後までハラハラドキドキのサスペンスとして、とてもよくできている映画です。
しかし肝心のこの妻は果たして本当に無罪なのか?と疑問も持ちます。そして最後の最後に、その証拠は観客には示されるものの、劇中では冤罪ははらせない。妻は被害者との間に諍いもあり、さらに凶器に指紋もあるとあって、なるほどこういう状況では証拠から見て犯人とされてしまうんだろうな、と怖い気がします。一家3人無事に国外脱出できたものの、ハッピーエンドというにはその点で複雑な気分にさせられます。そこが、社会派ポール・ハギスらしいところなのかな。
それにしても、この頃まではまだギリギリかっこいい(?)ラッセル・クロウ。かってモテ男だったラッセル・クロウですが、最近はいくらなんでも太り過ぎ!

スポンサーサイト



『ブータン 山の教室』監督:パオ・チョニン・ドルジ

cinema
04 /14 2021
Bhutan.jpg

ブータン王国北部にある、標高4,800メートルのルナナ村の学校を舞台に描く人間ドラマ。自らの意思に反して都会からへき地の小学校に赴任した教師と、村人や子供たちとの交流を映し出す。


まずブータンの首都が中途半端な都会で、主人公のウゲンはずっとイヤホンしたまま。同居の祖母を鬱陶しがる今時の若者。教職課程を取ったもののやる気なく、クラブで友人と騒ぐ姿は日本と変わらないことに驚きました。役所に呼び出された時や、山の学校で先生やるときだけブータンの民族衣装を着るところがせめてもブータンらしさ。
主人公ウゲン、日本にごまんといそうな顔立ち(サッカーの香川似)で、オーストラリアで歌手になりたいと言っている。そんな彼がブータンで最も辺境の地であるルナナ村に転任するよう命じられ、オーストラリア行きのビザが下りるまでの辛抱と仕方なく承諾。1週間以上かけてようやくルナナ村に到着する。しかし電気も水道もない想像以上の僻地に、着くなり自分は無理だから帰ると言い出すヘタレ君。
ブータンで最も辺境にあるということは、世界で一番辺境の学校ということ、というセリフが出てきますが、確かにルナナ村までの道がすごすぎる。これは帰りたくても一人では絶対帰れない。地図で見ると、小さな国だし首都ティンプーがある県と赴任先のあるガサ県は県境を接しているにもかかわらず、辿り着くのに8日間かかる。バスの終着点ガサ(一応ここまでは携帯が使える)から1週間も野宿しながら、ひたすら山道を徒歩で行く。途中、何ヶ所かで標高と人口が文字で出るのですが、標高〇〇m人口3人とか、標高5500m人口0人とか。
目的地ルナナ村は標高4800m、人口50人位?生徒は10人足らず。住民はヤク飼いがほとんどの様子。
村人総出で出迎えの大歓迎。村の子供や村長が言う「先生は未来に触れることができる」という言葉。子供たちは学びたくて目がキラキラしている。
これ、日本のモンスターペアレントに苦労している若い教師が見たら、赴任したくなる人いるかも?と思うくらい、子供たちの教師に対する全面的な信頼感。村人たちの教師に対する敬意。やる気ゼロの主人公でさえも、教えることの喜びに目覚めます。
主人公ウゲン、歌の上手い若い女性セデュ、村まで案内してくれるミチェンはキャストですが、プロの役者ではなくこの映画で俳優デビューだそうです。それ以外、子供たちもみんな現地の子で、味のある村長は本当の村長なのかな?
現地の生活はヤクに支えられ、燃料もヤクの糞。村人全員が歌がうまい。というか娯楽は歌を歌うことくらいなのかもしれません。「ヤクに捧げる歌」というブータンを代表する民謡が繰り返し歌われるのですが、青い空、白い山々が聳える高地で歌われるその歌声が素晴らしく、内容は山やヤクに対する感謝、素朴な生活に満足する「幸せ」をその歌詞から感じます。
同時に片時もスマホ(携帯?)を手放せない都市の若者ウゲンはすでにブータン人の「幸せ」を失っているとも見えます。
美しく素朴なだけではない、ブータンの抱える現在の問題を描いた映画でした。村長はオーストラリアに行くというウゲンに「ブータンは世界一幸福な国と言われるが、若者たちはその幸福な国から出て行ってしまう」と嘆きます。

この映画を見て、『ラダック 懐かしい未来』(2019.9.11)という本を思い出しました。ヒマラヤの辺境インド、ラダックでの暮らしがとても環境循環型であり、相互協力的で、人間関係にストレスが少なく、先進国に比べ人々が幸福であると、この地に長年住んだ人類学者は確信します。しかし観光化により急激に資本化され、同時に人間関係も変容し、人々は自分たちの生活が遅れていると恥じるようになります。
人間の不幸とは比較から生じると思いました。
ネットやTVで他国の豊かな暮らしを知ったブータンの人々は、この先、どうなっていくのか?
一番心配なのは、可愛い学級委員長の女の子やあの村の子供たち、世界で公開されたこの映画によって注目され、そのことが彼らを不幸に導かないことを祈りたくなりました。




『人類と気候の10万年史』『地学ノススメ』『日没』& お花見

book
04 /10 2021
今年は桜が早いですね。
ご近所及びちょっと足を伸ばして近場の桜を、お散歩しながら見て回りました。新緑もきれいです。
毎年、次々と花が咲くこの時期は心浮き立つ季節です。猫の額の我が家の庭も花盛り。リカちゃんハウスみたいなミニミニ仏壇に花を欠かさないようにしてるのですが(信心深いわけでも、義父母想いだったわけでもなく、花をわざわざ飾るスペースもないので、仏壇に花があるだけでちょっと気分上がる、というのが本音)その花をわざわざお金払って買わなくても庭の花だけで調達できる(写真6番目)のがとても嬉しい、というセコい喜びがあります。

と書いてアップするの忘れ、現在4月10日。
なんと藤の花も、八重桜も、モッコウバラも満開。ハナミズキまで咲いてる!久しぶりで行った実家の庭がジャングルに!(写真9)
私の記憶ではソメイヨシノが入学式の花(4月上旬)、八重桜は4月下旬、藤やハナミズキは5月の花だと思っていたのに!どうなっているのでしょう?

IMG_5927.jpg IMG_5940.jpg IMG_5944.jpg
IMG_5982.jpg IMG_6008.jpg  IMG_6019.jpg
IMG_6027.jpg IMG_6035.jpg IMG_6029.jpg


『人類と気候の10万年史』中川毅:著
10man.jpg

副題に「過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか 」とあります。
福井県水月湖に関心を持ち、「時を刻む湖」と同じ著者の第2弾も読んでみました。「時を刻む湖」は福井県水月湖の湖底に積もる地層=年縞が「世界標準時計」となるまでの道のり。そもそも古代のものってどうやって年代を特定するのか?放射性炭素年代測定法の記述が多く、水月湖自体への内容はこちらの本の方が詳しいです。
この本では、水月湖の年縞に含まれる花粉を調べて、その時々に湖の周辺に生えている植物を特定します。そこから当時の気候がわかるという話。な〜るほど!ポン!という感じ。
太古の風景を11~12万年前、2~3年前、5500年前と当時の植生から風景画を再現しているところなどワクワクします。

地球は大きく10万年毎に氷期を繰り返しているそうですが、その理由は地球の公転軌道が楕円の時は温暖期で正円に近づくと氷期になるんだそう。間氷期という名前から分かるように、基本地球は、氷期の方が長いのです。さらに10万年より短期スパンでも温暖と寒冷の繰り返しをしているのですが、一番最近の氷期の終わりは1万6千年前ほど。なんとこの時は今の温暖化以上に急激に、わずか1〜3年の間に7度も気温が上がったそうです。この氷期の終わりがこのように突然終わったということは水月湖以外にも、グリーンランドの氷床(6万年分の雪が固まった氷の層)も証明しており、世界同時に氷期が終わりを迎え、その後今日まで温暖期(間氷期)が続いているのです。この短期スパンの繰り返しで見れば、そろそろ氷期に入ってもいいはずですが、今はご存知のように温暖化が問題になっています。ところがわずか数十年前の1970年代には、寒冷化の方が問題になっていたそうです。
氷期の特徴はずっと寒いわけでなく、毎年のように気温の変化が激しいことがあります。現在に続く温暖期(間氷期)に入ってからはその温度変化が少なく、そのことに「縄文の終わり」=「稲作の始まり」の原因を著者は見ています。
気温の変化の激しい時には、植生も、獲れる動物も変わる。しかし狩猟採集ならば、その時々でなんらかの食料を確保できます。稲作のように単一の作物に食料を頼ると、気温の変化についていけない。これは1993年の米の大不作を思い出すと分かります。あの年初めて私はタイ米を食べました。
あの1年で終わったからいいけれど、これで数年おきに大不作になったら、確かに農業はリスクが大きいことが理解できます。人口が少なければ狩猟採集の方が合理的という考えは分かります。
縄文人は栗の木を栽培していたらしいし、稲作を知らなかったというより、安定した気候になるまでは始められなかった、というのが著者の考えです。
縄文人は周囲の環境の変化に応じて、その時々あるものを食べて生きていく。それに比べて弥生になって稲作に食料を頼るということは計画的、安定志向ということだから、逆にいうと変化には弱くなったとも言えます。
今の日本がコロナに際して、右往左往してしまうのはやっぱり長年の稲作民族のせいでしょうか?
ここで私は縄文好きの友人を思い出しました。
その友人には「矢でも鉄砲でも持ってこい」みたいな雰囲気が常日頃からあります。
バブル崩壊後の日本は震災はじめ自然災害も多く、経済もかっての右肩上がりは望めません。
ここは一つ、我々の中に眠る縄文人の血を呼び覚ます時かも?となぜか地質学の本を読んで、思ったのでした。

『地学ノススメ』 鎌田浩毅:著
chigaku.jpg
宮本常一の日本探訪から、水月湖に立ち寄ったところで、アマゾンのリコメンド機能だかアルゴリズムだかのいいカモになり、ついついおすすめしてくる本の解説が面白そうで買ってしまいました。
次なる読書は「地学のススメ」です。そもそも地学って何?と言うくらい、興味もなければ知識もなかった世界なのに、60過ぎて何にハマるか分かりません。60過ぎてホストクラブにハマるより実害もないし、まあいいとしましょう(笑)
そもそも地球ってどんなもんか初めて知りました。
真ん中が核(内核ー固体、外核ー液体)、その周りがマントル(下部マントル(内側)上部マントル(外側))があって内側が少し硬くて、外側は柔らかい。で、一番表面の地殻は硬い。で、プレートは地殻とイコールと思いきや、上部マントルの一部と地殻を合わせたのがプレート?なんでそんな中途半端に分類する?

地球って意外とダイナミックに動いているんですね。
一つの大きな大陸だったものがバラバラになり、再び寄り集まって……と意外や何度も動き回っていたんです。このプレート運動は40億年ほど前からあるそうです。20億年前頃あった超大陸ヌーナが分裂始めて、バラバラになって、再び動いて集まってと・・まるで生き物!?この大陸は動いてる(プレート・テクトニクス説)って発見されたのはまだ20世紀初めのことなんです。ドイツのウェゲナーさん、世界地図見てて、あれ南米とアフリカってくっつけるとぴったりじゃん?と気がついたそうで「プレートは動いてる」って発見しちゃうんだから、科学者ってどういう頭してるんでしょうか?
一番新しい超大陸パンゲアは、一塊りだった大陸の真ん中辺から超巨大噴火によって分裂(2億5千年前)。
一塊だった大陸の地下から吹き出したマントルで真ん中から別れて広がったのが大西洋。ここが中央海嶺と言われる場所では今も地下からマントルを吹き出し新たなプレートが作られている場所。左右に別れて動いて最終的にプレート同士が重なって入り込んでいる場所が沈み込み帯と言われる中央海嶺の反対側で、ちょうど日本の真下辺り。太平洋プレートとフィリピンプレートの2つの海洋プレートとユーラシアプレートと北米プレートという大陸プレートのなんと4個のプレートの上に我らが日本はあるわけ。世界で約10数枚なのに(プレートの数え方は14~5枚?)そのうち4個が重なった場所にあるんだもん。地震が多いのも無理ないのね。日本の面積は世界の大陸の400分の1、なのに世界中で起きる地震の10分の1が日本で起きてるんですって。
そんなわけで、海洋プレートが大陸プレートに潜り込む形でどんどんプレートの端切れがマントルに入り込んでるんですが、その後そのカステラ、じゃなくてプレートの切れはし、どうなると思います?どんどん溜まっちゃって(プレートの墓場)その後長いこと漂ったのち、核近くまで下降、これをコールドブルーム、反作用でゆっくりと核付近から熱い塊が上がってくるのがホットブルーム。このように地球内部で対流が起きてるんだそう。もうねえ半端ない巨大な地面の切れ端が日本の下でこんなことやってくれちゃってるわけ。想像しただけでめまいがして、ここ読んだ後寝たら変な夢見てうなされましたよ、私(笑)
先ほど超大陸パンゲアが分裂して、ヨーロッパ、アフリカ大陸と南北アメリカ大陸に分かれたといいましたが、南の方では南極とインドとオーストラリアがくっついていた状態から分裂して、年に10〜20cmのスピードでインド大陸がユーラシアにぶつかって盛り上がったのがヒマラヤ山脈。今でも同じ方向に押してるんで、ヒマラヤは毎年5mmほど高くなり続けているんだそうです。
ところで、太平洋プレートは日本側に向かって沈み込んでるわけですから、そのうちハワイがご近所になるでしょう(注:本書にはそんなことは書いてありません)
ところで隕石の衝突による恐竜絶滅(6500万年前)は有名ですが、他にもこの2億5千年前なんて巨大火山爆発で太陽光が届かなくて地球上の生物の95%が絶滅したらしいです。
でもこの本でもっとも現実的な恐怖は第8章の日本列島の地学。この章は冗談抜きで、日本てなんという場所にあるんだろうか…と改めて頭を抱える気分になりました。
現代の科学では地震予測は不可能なようですが、次に来る西日本大震災はなんと!まだ来てないのに正式名称が決まってるそうです。いわゆる南海トラフが震源となる地震は、唯一確実に予報できる地震だそうで、極めて周期的にくるんですって。時期はこの先生の予想だと’30年代後半だそうですが、遠くない将来、確実に来るそうです!皆さん、備えましょう。
最終章は巨大火山噴火の話。日本列島には110の活火山があり、東日本大震災以降、活発化しているとか。大地変動期に入った地球。しみじみ地球って生きてるんだな、と思います。



『日没』桐野夏生:著
nichibotu.jpg
久しぶりの小説です。それも桐野夏生!図書館からやっと順番が回ってきました。
一気読みしましたが、小説として面白いかというと「?」です。
「文化文芸倫理向上委員会」略してブンリンなる政府組織から呼び出されたマッツ夢野という40代女性小説家が主人公。彼女は断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。そこにいる職員たちは皆アスリートで、過激な性愛描写や、政府批判する小説家たちに「社会に適応した小説」を書くよう命じてくる。
これは桐野夏生自身が今の世の中にこれほどの脅威を感じていることの現れだと思います。ですから小説としての面白さよりも、ほとんど私的ホラーのように読め、読んでいるとどんどん彼女の恐怖が伝播してくる印象です。
食べ物の話が多いのは、やはりそれが人間にとってのリアリティを呼ぶ恐怖だからかもしれません。
(話はそれますが、私の姉はとっても食い意地が張ってます。そのため、主人公が食べ物を求め飢えている「戦場のピアニスト」はどんなホラーよりも恐ろしかったそうです)

私は夫はじめ周囲に保守的な人間が多かったので、保守的な人間の良さも分かるつもりです。安定志向で家族や身近な人間関係を大事にし常識や伝統を重んじます。例えば今でも町内会の班長とか順番に回ってきます。神社の草取りとか参加させられるわけ。正直めんどくさいなぁ〜と思いますが、きちんと参加します。そんなことに意味はないと言って、どんどん古い習慣をやめていけば、自由で快適な社会になるとも思えないしね。市民社会には案外頭の固い保守的な人間が必要だと思います。私自身もけっこう保守的なところがあります。
が、しかし!またまた言っちゃうけれど「あいちトリエンナーレ」ね!
この時の騒動には心底、え?えええ〜!?と驚いたのです。
うちの夫も名古屋市長と同じこと言いだすし。そんなバカな話ってある?と私は一人驚きつつ恐怖を覚えました。
だいたい市長の仕事って市政なはず。何で市長の好みで現代美術にまで口出すわけ?と。
私個人は現代美術なるものはさっぱり理解できないし興味もありません。だから何が出品されようと自分の生活には関係ない。だからと言って、政治家が自分が理解できない芸術まで自分の趣味で検閲し出したら、どんだけ文化の幅が狭くなることやら?と心配する程度に社会性はあるつもりです。
十分保守的な私でもトリエンナーレの騒ぎにはびっくりしたのだから、桐野夏生は安倍政権以降の流れに恐怖を感じてこの作品を書いたのだと思います。
これはミステリーではなく(ミステリーとして出来がいいのか疑問)、桐野夏生にとってのリアルなホラーとしか読めませんでした。
きっと作家や芸術家は炭鉱のカナリアのような人々で、世の中の不穏な空気をいち早く察知しているのではないでしょうか。


tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。