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『わたしの空と五七五』『山に生きる人びと』『時を刻む湖―7万枚の地層に挑んだ科学者たち』

book
02 /24 2021
2月というのに、初夏のような暑さの日がありました。2月といえば一年で一番寒いはずなのに、今月は首都圏では暖かい日が多いです。コロナのワクチン接種も始まり、暖かくなって、このまま収束してくれるのか?それは待ち遠しい反面、もともと最低限しか化粧しない私。この一年でさらにしなくなり、コロナが収束してもマスクが手放せなくなりそうなのが、少々気になります。

『わたしの空と五七五』森埜 こみち:著
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「プレバト」というTV番組を知ったのは昨年。見初めて、俳句コーナーにハマりました。この番組を見てて分かったのは俳句って、読み解くために多くの知識と感性が必要らしいこと。読むのがこれほど難しいものとは知らなかったため、その奥深さに驚きました。
これは公募でグランプリを取った児童文学だそうで、大変読みやすいです。「プレバト」に出てくる俳句よりずっと易しいものが多く、中1の主人公に同じく中学生の先輩がアドバイスする形のため、俳句の超入門書としても読めます。とはいえ、老後の趣味に俳句を捻ろうとは、全く考えていませんけれど。



『山に生きる人びと』宮本常一:著
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山には「塩の道」もあれば「カッタイ道」もあり、サンカ、木地屋、マタギ、杣人、焼畑農業者、鉱山師、炭焼き、修験者、落人の末裔…さまざまな漂泊民が生活していた。ていねいなフィールドワークと真摯な研究で、失われゆくもうひとつの(非)常民の姿を記録する。宮本民俗学の代表作の初めての文庫化。(「BOOK」データベースより)

プチマイブーム、宮本常一、第3段です。
『忘れられた日本人』は読み物として大変面白いですが、こちらはもっとフィールドワークによる歴史研究書という印象。歴史と言っても名もなき山に住む人々の話。マタギは聞いたことありましたが、サンカは知りませんでした。日本人といえば農耕民族と思っていましたが、移動しながら狩猟採集する人々が存在したこと。稲作農耕と併行して、狩猟採集焼畑の日本人の流れがあったのではないか、と推論しています。

ジブリの「かぐや姫の物語」の中で、かぐや姫の幼なじみで初恋の相手のいる移動する集団が出てきましたが、あれは木地師という木の碗や食器を作る人々のようです。他にも炭焼き、木挽等々、山で生きる人々の具体的な職業や系譜が興味深いです。
また山の中にあるポツンとある立派なお屋敷と落人伝説の関連も面白い。日本は面積の多くを山と森に覆われていますから、負けた側の武士集団が住む行政区外(時の政権に管理されていない場所)がたくさんあることに今更ながら気がつきました。


『時を刻む湖―7万枚の地層に挑んだ科学者たち』  中川 毅:著
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2013年、水月湖が過去5万年の時を測る「標準時計」として世界に認められた。「モノサシ」となった、世にも稀な土の縞模様「年縞」とは?

暮れに来た知人からのメールに「水月湖」という聞いたことのない湖の写真がありました。この湖に妙に心ひかれ調べてみると、非常に特殊な湖であることが分かりました。さらに知人がこの湖に関する本を紹介してくれ、理系に弱い私にはどうかな〜と思いつつ読んでみたら、意外と読みやすく面白い本でした。

まず、年代特定のための「放射性炭素年代測定」って知りませんでした。
ただ10年前の福島原発事故のせいで「半減期」という言葉に馴染みがあったため何となく分った気になりました。放射性炭素14とやらが呼吸により生物の体内に入る。他の炭素の量は時代を経ても変わらないけれど、14は放射性のためその生物が呼吸を止めた(死んだ)時点から規則正しく減り続ける。だから炭素中の14の減り方を見て何年前と分かるらしい。
炭素14の半減期は5700年で、時代によって地球上の量が変わらないと言われてきたけど実はそうでもなく、数百年から数千年の誤差のあるざっくりしたモノサシらしい?そのためさらに時代を特定できるキャリブレーションというもっと細かいモノサシが必要になる。(とは書いてないけれど私は勝手にそう解釈。とんでもなく違ってるかも?)私のイメージだと、例えばどこかの遺跡で出てきた人骨の炭素14の数値を測る。その人骨の数値が(規則正しく減っていく)比率曲線のどこに当たるのか、その換算表を作るイメージ?(理系弱弱の私の理解なので非常に怪しい)
これには木の年輪がバッチリで、年輪による数値の測定は(1万1年でも9999年でもなく)きっかり1万年前と言えるんだそうで、年輪ちゅうもんは大したヤツだな〜と感心。しかし、木は1万3000年くらい昔までしか見つからない。でもこの放射性炭素年代測定は5万年前まで遡れるそうで、そうなると残りの3万7000年を調べたくなるのが科学者っちゅうもんなのか?
そのため、木より前の時代を特定するための世界的な年代測定のためのモノサシ探しが始まり、「 IntCal(イントカル)」と名付けられ、’86年から世界で競争が始まります。

ここまでで私が最も呆れたこと!!!
この炭素14は全炭素の1兆分の1という超微量だそうで、どれだけ微量かの例えがすごい!日本の1年の米の総消費量の中から、たった一粒の特殊な米粒を探す!?
そんなものを測れること自体びっくりですが、科学者ってつくづく頭のおかしい人たちじゃね?と思いました。この方法を発見したリビーさんは第二次大戦中の原爆開発の際に発見したそうです。

ま、いろいろあって、特殊な条件が重なったこの湖の湖底の地層に行き着きます。そこには1年で1mm以下(0.6~7)の規則正しいシマシマがあって、その中の葉っぱなどから年代測定のためのキャリブレーションになるらしいです。
木の年輪ほどの”誤差なし”ではないけれど、水月湖の年縞はかなり正確で、1万年で誤差±29年。

苦手な理系の解説もあるものの、専門書というよりは「プロジェクトX」として読めます。
印象的なのは、この年代測定のための研究者たちの年齢。皆、若い!水月湖の年縞の研究を始めた北川氏が当時30代、その時、著者はまだ20代の大学院生。北川氏と全く同じ時期に同じ研究をベネズエラ沖カリアコ海盆でやってるライバルも20代。著者中川氏が引き継いだプロジェクトの協力者たち、ドイツやイギリスの研究者たちも20代。
もう一つ印象に残ったのが、この研究のための費用はイギリスの研究費助成の応募で得たもの。さらにこれは掘削費だけで足りなくなり、協力者の人件費の捻出に協力してくれたのもオックスフォード。
日本はすぐに社会に還元できそうな研究でさえも(ex.光免疫療法など)なかなかお金が出ない国らしいので、ましてや、古代を読み解く研究には国からお金が出ないんだろうなぁ〜と残念に思いました。イギリスもそんなにお金余ってそうにないけれど、文化の違いなんでしょうか?

他に印象的なのは、水月湖の年縞の研究を最初に始めた北川氏の恐るべきど根性です。自分でガラス管など実験装置を作っちゃうのも、他の研究しながら気の遠くなるような作業で4万年分の層を一つ一つ読むのもすごい。12年経ち、中川氏が研究を引き継ぎ、新たに北川氏の掘削の欠点を補い70メートルを掘削。この辺りの記述は完全にプロジェクトX調。
縞縞を読む優秀な協力者たちを得て、新技術も導入、念には念を入れて調べた結果、驚くほど北川氏の手作業と言ってもいい研究結果が正確であったことが判明。ここは中川氏の師匠リスペクトに素直に感動。
ただそれだと、世界標準から外れた結果から進歩がないわけで、さあ、この後、どうする!?と、ほとんどミステリーのように読んでしまいました。
が、この後は新しく開発されたソフトウェアによる複雑怪奇な計算で誤差が縮まり、という辺りは残念ながら私にはさっぱり理解不能。でもついに2012年7月14日(フランス革命の日に)「世界放射性炭素会議」ちゅうところで「年代測定のための世界標準のモノサシ IntCal(イントカル)」として採用されます。

最後のところに、ライバルのように書かれているベネズエラ沖カリアコ海盆の研究者コンラッドに関する記述がいいです。水月湖が採用され、誤差の大きいカリアコ海盆は世界標準 IntCal(イントカル)から外れます。コンラッドは著者中川氏がアドバイスを求めた際、惜しみなく情報を提供してくれたそうです。中川氏は「レイク・スイゲツ」を超えようとする若者が現れたときには、自分も同じようにありたいと述べています。まるでスポーツのフェアプレイのようで、真実を求める科学者精神が感動的です。
私はこの本をお仕事ドラマとして読みましたが、扱ってるものが商品ではなく、「何万年の記憶」というのが何とも壮大かつロマンチックです。美しい景勝地ですし、水月湖、コロナが収まったら、ぜひ行ってみたいと思いました。
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『一度死んでみた』『Fukushima 50』『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢 』『ミッドサマー』

cinema
02 /19 2021
『一度死んでみた』監督:浜崎慎治(2020)
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大学生の七瀬(広瀬すず)はデスメタルバンドのボーカルで、製薬会社社長の父、計(堤真一)を嫌い、いつも「死ね」と毒づいていた。ある日父は一度死んで2日後に生き返る薬を飲む。何も知らずに動揺する七瀬は、遺言により社長を継ぐことになり、父の会社の存在感の薄い松岡(吉沢亮)から会社乗っ取りの陰謀を聞かされる。
吉沢亮はここではいても気がつかれない存在感薄い設定の役。うちの子はイケメンだと騒いでいますが、私にはこの子がイケメンなのか?よく分かりません。今年の大河ドラマで確認しよう。気軽に見られるドタバタコメディ。


『Fukushima 50』監督:若松節朗(2020)
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多くの関係者への取材を基に書かれた門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を実写映画化。世界を震撼(しんかん)させた東日本大震災による福島第一原子力発電所事故発生以降も現場に残り、日本の危機を救おうとした作業員たちを描く。(シネマトゥディ)

2011.3.11の福島原発事故を、地震から最悪の事態を回避するまでを現場の人々の頑張りのドラマとして描いています。
最初に「事実に基づく物語」と出ます。見ている間は「ああ、現場の皆さんが頑張ってくれたおかげでこの程度で済んだんだな」とは素直に思いました。
が、しかしこれは「事実に基づく」というならば、もっときちんと検証すべきでは?多くの人がそう感じるのではないでしょうか?
吉田所長が危機的状況の中、頼りになり、現場の人々の心の拠り所になるような人だったことは否定しません。それは当時もニュースを見ていて「こんな頼りになりそうな人が責任者でよかった」と私も感じました。
しかしそれと責任問題は別。事実に基づき何があったのか検証するなら、彼の責任になぜ触れないのか?なぜ地下に非常電源があったのか?それは津波の危険性を指摘する声を吉田所長が本社勤務時に無視したから。同じ地震のとき、東北電力の非常電源は高台にあって無事だったことはその後のニュースで世間は知っています。
吉田所長本人は確かに責任感の強い人だったのでしょう。だからよけいヒーローに持ち上げたままでは、却って失礼だと思います。 そして何よりも避難した福島の人々への説明になっていないと思います。
代わりに悪役は東電本社のトップ(まあこれは仕方ない)と当時の菅首相です。私も菅首相はヒステリックな印象で好きではありませんでしたが、現場を持ち上げるために意図的に貶められているようだし、全体に情緒的で凡庸なドラマになっています。吉田所長が自らの責任に苦悩する心情を描いた方が深い人間ドラマになったと思うし、たった10年前のあんな大事故を、使い古された熱血感動ドラマに落とし込んでしまうなんてイージーすぎます!結局、太平洋戦争を美しく描くのといまだに同じ発想の、男の発想の進歩の無さにがっかりしました。
メルトダウンしてたら最悪、東日本全体に人が住めなくなっていたわけで、以前やったNHKのノンフィクションドラマ(所長は大杉漣)の方が実際に何が起きたのか分かりやすく、ドラマとしてもよくできていました。本当に最後はラッキーに救われたことに改めてゾッとします。
そして今見て思うこと。
菅(かん)首相も民主党も好きではありませんでしたが、コロナに対する対応や、安倍政権の疑惑に対する姿勢を見ると、本当にまだ民主党政権で良かったと思いました。これがもし安倍政権の時だったら、もっと何があったのか隠されて、うやむやにされてたとしか思えませんから。



『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』監督:ニルス・タヴェルニエ (2018)
Cheval palace
フランス南東部の田舎町で、村から村へと郵便物を配達するシュヴァルはある日、愛する娘アリスのために宮殿を建てることを決意する。寡黙な男の奇想天外な挑戦を村人たちは笑うが、彼は黙々と石を運び、積み上げていく。しかしシュヴァルに過酷な運命が待ち受けていた。(シネマトゥデイ)

とても感動しました。
19世紀後半、物語の冒頭、田舎の郵便配達夫シュヴァルが妻を亡くし、息子は親戚に引き取られることになる場面。首を振るばかりで、幼い息子を抱きしめることもできない。ここで「ああ、この人は息子を愛してないわけじゃないけど、どうすればいいのか分からないんだな」と、そんな主人公の抑制の効いた演技がとてもリアルです。
シュヴァルは今時だと自閉症とか、コミュ障とか、アスペルガーとか、なにか病名がつきそうなレベルの人です。ともかく寡黙で人とコミュニケーション取るのが苦手。この部分は若い頃の私の父に顔もちょっと似てることもあり、口下手変人の父と重ねて見てしまいました。
2人目の妻はそんな主人公のよき理解者で、娘が生まれ、最初はどう扱えばいいのか分からない主人公に赤ん坊を押し付けたりしてうまく誘導。
変わった形の石につまづき、そこからインスピレーションを得て、宮殿を作り始めるまでの人間ドラマが意外と長くて丁寧、予想してた奇人変人の物語でなく、家族の愛の物語でした。極めて抑制が効き、アメリカ映画の家族愛の描き方とはだいぶ違います。
最愛の娘を始め、次々家族を失う悲劇のドラマですが、気になったのは、最初の妻といい娘といい、みんな咳して亡くなります。これは結核?家族が次々結核になっても感染しない主人公は、郵便配達で毎日10時間歩いていたせいでこんなに頑丈なのかな?と思いながら見ました。毎日10時間郵便配達で歩き、10時間宮殿を作る?なんて頑丈な人なんでしょう。
全編通じ、現存する理想宮で撮影したそうです。映像的にも見所がたくさんありますが、ラスト、孫娘の結婚式のシーン。たくさんの灯りで照らされた宮殿が夢のように美しい!


『ミッドサマー』監督:アリ・アスター(2019)
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ホラーやオカルトは苦手なのですが、新感覚との評判にこわごわ見ました。
うわっと目を背けるシーンは1ヶ所だけ。後はスプラッター的怖さとは違って、なんともざわざわ、ゾワゾワする映画。ヤバいよと思いつつ、正常バイアスが効いて逃げ出せない主人公たちの気分を共有して、見た後全然スッキリしないという意味では確かに新感覚?かも。
スェーデン出身の友人の誘いに乗り、彼の故郷の村の90年に一度の祝祭を見学に訪れたアメリカ人学生4人。かなりの山奥で途中、道路が逆さまになります。ここからもう戻れません的な暗示か?
白夜、花畑が広がる美しい草原。女性は花冠を頭に乗せ、白いワンピースのフォークロアファッションが可愛い。人々は親切でまるで楽園のような村。大体「楽園」っていうのが怪しい。ナウシカだって、戦争のない楽園を拒否したし(違)
主人公のダニーは直前、ショッキングな事件で家族全員を失っており、恋人クリスチャンのことも信用しきれず、かなりメンタルが参っている様子。演じるフローレンス・ピューは「ストーリー・オブ・マイライフ/若草物語」では溌剌とした4女エミリー役。そこではティモシー・シャラメ君をお尻に引くたくましい女の子だったのに、ここでは恋人クリスに合わせて自分の本音を出せないウジウジした女の子。
そんな中、ついに祝祭が始まるのですが、いきなりとんでもないことが!(このシーンはR15、要注意)
しかし村民たちのこれは生命の循環だという説明に、思わず福岡伸一の動的平衡を思い出して納得しそうになったり(おいおい)
目を背けるようなシーンは他にはなくて、あとは最後までいや〜な白日夢を見ている感じ。確かに新感覚かも(汗)
そしてラストの主人公ダニーの表情!
彼女にとってはここはある意味本当の楽園で、失った家族を取り戻した場所だったのですね。そこが一番ホラーかもしれません。
ホラーやオカルトが苦手な私にも別に怖くはありませんでした。もしかしたら癖になる人は癖になるのかもしれません。
追記:この映画のR15シーン、村の祝祭で生命の循環として亡くなる老人、なんとあのビョルン・アンドレセンです。「ベニスに死す」の美少年。すっかり白髪の老人です。

『すばらしき世界』

cinema
02 /17 2021
『すばらしき世界』監督:西川美和
Wonderful world

佐木隆三の小説「身分帳」を原案に描く人間ドラマ。原案の舞台を約35年後の現代に設定し、元殺人犯の出所後の日々を描く。主人公三上は幼い頃、芸者の母に捨てられ、14才から少年院に入り、その後暴力団構成員になり、人生の大半を塀の中で過ごしてきた。殺人で13年服役後、二度と刑務所には戻らないと誓う。今度こそカタギになりたいともがくが、なかなか難しい。そんな彼にテレビマンの津乃田(仲野太賀)とプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)が近づき、彼をネタに番組を作ろうと考えていた。

2021年、年が明けてすでに2月半ば。今年初めて映画館で観た映画です。
他に見たいものもありましたが、東京まで行くのも憚られ、地元のショッピングモールでやっている中で一番面白そうなので見てみました。
元ヤクザで殺人犯の社会復帰を描く渋い映画ですが、ガラガラと思いきや、かなり人が入っていて、それも女性が多いのが意外でした。
役所広司が全編出ずっぱり。
役所広司自身は決して脂ぎってるわけではないのですが、この人の出ている映画(「渇き」「孤狼の血」)はどれも爽やかさと対極な役のせいか、ずっと見ていると疲れます。今回も全身刺青プラス刀傷の見るからにヤバい人です。でも弱い人がひどい目に遭ってるのを見過ごせない心優しい人でもあるのですが、チンピラに絡まれてるサラリーマンを助けて、そのチンピラたちを半殺しにしてしまうシーンの生き生きして嬉しそうな顔。日頃の鬱憤を暴力で解放している感じがよく出ていて、あ〜こういう人は暴力団が無くなった今、確かに生きる場所がないかも、と妙に納得してしまいました。
それでもこの主人公はいい人たちと知り合って、ようやく見つけた職場でも何度か暴走しそうになる自分を抑える術を学びます。この場面はこの年からでも人間学べるんだな、と。「ああ、よかった」と思えました。

仲野太賀は好きな俳優ですが、今回もとてもよかったです。
三上がチンピラをボコボコにするシーンで、太賀と長澤まさみの反応が対照的です。太賀は三上の獣のような側面を見て恐怖のあまり逃げ出し、長澤まさみはいい写真が撮れるチャンスと捉え太賀を罵る。一見、太賀が情けなく、長澤まさみがプロフェッショナルらしく見えますが、はたしてそうなのか?マスコミの世界で普通の感性を無くした、これはこれで三上以上にヤバい人にも見えました。

三上が就職する介護施設。周りも理解があって、本人も生き生きと働きますが、やはり善意だけではない、弱いものいじめもあって、きれいごとに納めないところも女性監督ならではのリアリティがありました。でもこの映画はハッピーエンドにして欲しかったと思います。
主人公はようやく自分を抑えることができるようになって、社会のいい面も醜い面も知りながら、地道に生きていく覚悟を見せた。元妻にもそんなカタギな姿を見せてあげたかった。それが同じ立場の人の希望にもなったと思うから。
思うに、人生やり直すにもまずは健康が大事ってことですね。カップラーメンばかり食べてちゃダメなんです。



兄弟

未分類
02 /06 2021
皆さんは兄弟がいますか?
兄弟は結婚してそれぞれの家庭を築いた時点で、普段はあまり会わなくなります。
しかしこの数年、実家の両親の介護で姉とは頻繁に会うようになりました。
さらにここにきて、空き家になっている実家の処分をどうするかで、今まで介護には姿を見せなかった兄とも会うようになりました。
兄はオラオラ系プラスサイコパス野郎なためいろいろ言いましたが、実家の片付けとなると、びっくりするほど怪力なため、大きなタンスや棚も一人で担いでしまうのでとても助かりました。肉体労働でもないのに、なんでこんなに怪力なんだ?と呆れつつ、そういえば子供の頃から、瓶のフタが堅くて開かないと、みんな兄に開けてもらってたことを思い出したり、実家に残っていた古いアルバムを見て笑いあったり、最初のうちはなごやかでした。
が、しかし、先日ZOOMで3人で色々話し合ってるうちに、始まりました。罵り合いが…、改めて我が家の兄弟ゲンカの派手さを思い出しました。そしてしみじみZOOMでよかったぁ〜と思いました。だってこのコロナ禍、ツバ飛びまくりだもん(笑)
両親とも年齢高すぎて認知が入ってるため、後見人申請をするか否かで話し合ってたのですが、3人兄弟のうち、金銭管理能力のあるのは姉だけ。ものすごくドケチでガメツイため、まあ親の通帳預けても心配はいりません。財布の紐が固すぎて、父の好きなお酒をいつもホームに届けますが、一番安いパック酒を買うので、残り少ない人生美味しいお酒を飲ませてあげればいいのにドケチ!?と思うくらい。
反して兄は派手好きで経済観念がない。こいつはヤバいから絶対後見人にはしたくないし、本人もやる気がなかったのですが、専門家に相談したら、名義の問題や色々あって、姉では難しいので長男にしなさいとアドバイスされたのです。
しかしそうなると姉としては納得できず、兄は今まで何も介護してないこともあり、Zoomで大ゲンカ。
まあどっちもどっちで、私から見ると姉は驚くほど自分が関心のあること以外、頭の回らない人。非常にアスペルガー的なところがあります。だから普段は頭が良くて仕事ができることになってるはずなのに、仕事を離れると、ラインの文章も何が言いたいのか?読み取るのが大変なほどとっ散らかっています。長年ゴミ屋敷の住民で、化粧っけゼロで、向こうから歩いてくる姉をホームレスと間違えたこともあります。
反して兄はブランド好きで贅沢好きで美人好き。人たらしなサイコパス野郎。彼の名誉のために付け加えておくと(自分が欲しいものに対しては)大変な努力家で、働き者でもあります。
そんなヤバい姉と兄の下で唯一繊細でまともな小市民やっている私は、とっても大変なんです。
そこで、年上の姉と兄に向かって『お前らさぁ〜!!アスペ〇〇とサイコ〇〇なんだから、これじゃ話し合いにならないじゃん!』と怒鳴っておきました。(すみません普段はこんな言葉使いはしませんが、彼らといると限りなく言葉がキツくなります)
午後から始めたzoomケンカ(いえ、話し合い)、戦い済んで外を見たら、もう夕暮れでした。
そこへちょうど兄の前妻Yちゃんからラインが。
内容はホームにいる両親にお菓子送ろうと思うけど、まだ普通のもの食べられる?という内容。彼女は兄と別れた後も、私の両親を慕ってくれて(特に超KYでマイペースな父のことが大好き)父の好きなお酒を送ってくれたり、色々気を使ってくれます。連絡は私しかしてないのですが、Yちゃんが何か送ってくれるたび、姉にも連絡は入れてます。
しばらくして2階で仕事していた娘が降りてきて、「さっきの大声なんだったの?」と聞くので、何があったか簡単に話し、「でもYちゃんからのラインで癒されたわ〜」というと、クールな娘「Yおばちゃんも相当の変人なのに、そのYおばちゃんのラインで癒されるとは?かなり疲れてるね」だって。
確かにYちゃん、決して癒し系ではなく、どちらかというとエキセントリックなアーティストタイプ。そのYちゃんに癒されるほど、このヘンテコな兄弟たちに疲れてたようです。
兄弟は他人の始まりって言うけれど、他人ならもっと簡単です。
兄弟だから遠慮がなさすぎる。世間の兄弟ってみんなこんな感じなのかしら?

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tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。