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『ひとよ』監督:白石和彌

cinema
11 /27 2019
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『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』の白石和彌監督が「家族」の映画?と意外な気がしました。
白石和彌じゃなければ、あらすじ聞いただけでパスな内容でしたが、他に見たい映画が時間が合わないこともあり、見てみました。「人よ」と「一夜」をかけたタイトル。ある一夜によってその後を翻弄された人々の話。
だいたい「家族の絆」がテーマで邦画って苦手です。朝ドラはそのテーマでいいけど、映画には(私は)それを求めないので。見ると簡単に涙を誘われてしまう癖に、私にはそれも腹立たしかったりします(←ひねくれ者ですね/笑)
この映画はまさしく「家族の絆」を描いた映画なんですが、その描き方がギリギリOKです。
まず一番いいのは佐藤健がヤサグレてるところ。15年ぶりに帰ってきた母親に一番冷たく、週刊誌の記者としてそれをネタにしてしまい、妹の怒りを買います。
母親は子どもたちのことを思ってDV夫を殺し、子どもたちに「何にだってなれる」と言い警察に自首、15年の別れとなるのですが、その後、世間の目に散々苦しめられ、それは父の暴力以上に子どもたちを傷つけ生きずらさを負わせます
15年後帰ってきた母はそのことで子どもたちに謝ったり後悔したりは決してしません。田中裕子が開き直ってるのか、とぼけているのか、湿っぽくならないのがとても良かったです。
この様に、親の想いと子どもの想いがずれてるところを丹念に描いていて、タクシー会社の人々も疑似家族的で暖かく、白石和彌監督の映画としてはかなり丁寧で優しい印象です。
一番母に対して冷たかった次男(佐藤健)が本当の気持ちをぶつける場面、「何にだってなれる」と言った言葉がかえって子どもを縛る呪いになってたことも無理なく理解できます。
出演者はみんな良かったです。松岡茉優はなんでこんなに映画でよく使われるのか謎な平凡な女の子ですが、その普通さが貴重なんだなと理解できました。
最後に元ヤクザの佐々木蔵之介親子はどうなってしまうのか?それだけが気がかりです。


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読書メモ 『錆びる心』『とめどなく囁く』桐野夏生(著)、他

book
11 /20 2019
前回『ウィスキーと2人の花嫁』の所に、毎日お酒を飲む私は「量は飲みません。飲もうと思えば飲めるけど」と書きましたが、先日東京で友人と飲んだ際、焼酎のお湯割りを2杯、ワインを2〜3杯飲んだ時点で急に酔いが回り、すっかりお酒に弱くなったと自覚しました。乗り換えが2回ある普段使わない路線でしたが無事帰宅できましたので大して酔った訳ではないものの、思い返してみるとこの20歳近く年下の友人相手に映画『ボーダー』の話をした後、自分がどうもDNAレベルで欠陥品だと言う話をコンコンとしてしまい、相手も相づちに困っただろうなぁと反省しました。いい歳して本当に恥ずかしいです。そもそも完璧なDNAの人間なんて『ガダカ』のジュード・ロウくらいしかいないかもね。
最近読んだ本の感想です。相変わらず、寝る前のわずかな時間しか読書しないため、図書館の本を延滞してます(ダメダメ!)

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『錆びる心』桐野夏生:著
「魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した短篇集」と宣伝文句には書いてありますが、印象としては異なるテイストの全6編。
「虫卵の配列」はある種の残酷さと偏った愛が一番桐野夏生らしい。あっと驚くラストで読み応えのある作品。
「ジェイソン」と「ネオン」はユーモラスでちょっと毛色の違う作品。「ネオン」は『仁義なき戦い』にハマった若者が現実のヤクザの世界に飛び込み、本人はどこまでも”仁義なき戦い愛”の表現の場として参加、組の拡大を目論む組長が翻弄されるオチが落語の様。
「月下の楽園」は荒廃した庭園にどうしようもなく惹かれる男の話。夜の荒れた庭園の美しさが脳内に広がり、なんとも言えない魅力がある。巷では廃墟見物が人気らしいが、荒廃の美って美術鑑賞上級編という気がします。
表題「錆びる心」は愛情のない結婚をし自由を奪われ「まるで家政婦のような生活」を堪え忍んだ妻が、子供の独立を機に夫との生活を捨て家出して「家政婦としての第二の人生」をはじめる。これぞ桐野夏生と思って読んでいると、意外に暖かなオチでした。自分の痕跡を消して家を出た妻だったが、夫に大きな傷を植え付けたことを(家政婦として入った家の)余命短い男に教えられる。「戸籍上だけでも繋がってて嬉しい」と娘に言った夫はそれなりに妻を愛していたらしい。だったらもっと優しくしろ!と女性読者は皆思うでしょう。
6編とも印象に残るラストで、桐野夏生のうまさを堪能しました。

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『とめどなく囁く』桐野 夏生 :著
早樹(41才)は30才年上の資産家の夫と相模湾を望む超高級分譲地の瀟洒な邸宅で暮らしている。前妻を突然の病気で亡くした夫と海難事故で夫を亡くした早樹の再婚生活は裕福で穏やかな愛情に包まれていた。
しかし前夫の母からの電話で夫が生きている可能性が出てくる。強い愛情を持ちながらケンカの多かった前夫との生活と、穏やかな愛情に包まれながらいつも一緒のため時々息詰まる現夫との生活を比較し、心にさざ波が広がる主人公。
改めて前夫との関係や前夫に対する疑惑も生じ、当時の夫の仲間を訪ね歩く。同時に自分と同い歳の現夫の娘が自殺未遂を図り、現夫との家族とも関わりを持たざるを得なくなる。
これと言った事件が起きるわけではないのですが、さすが桐野夏生、モヤモヤし続ける主人公の様子だけで、面白く読ませます。桐野作品で一番好きなのは『柔らかな頬』ですが、少しだけ通じるものもあります。任天堂を連想させる企業の会長と再婚、温厚な夫との穏やかで豊かな生活は『柔らかな頬』の荒涼とした旅とは全く異なるのですが、どこか探し求める主人公の姿に共通するものを感じました。
”まだ40代”の主人公が現夫と老夫婦のような落ち着きある関係を持ちながら、その影で時々息詰まる感じなど、私なんて”もう60代”なんですが、こんな大金持ちでいい人でも、毎日一緒にいるなんてめんどくさそう、と思ってしまうので分かる気がします。
海で消えた夫の真実は…えっ!?こう来たか!いやいやそれはちょっと無理があるのでは?などなど。色々納得いかないところもありましたが、「モヤモヤする女」を描かせたらやっぱりうまい桐野夏生です。
高校時代の親友との関係や、自殺未遂した現夫の娘との関係も面白いです。

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『映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで』 町山智浩:著
『2001年宇宙の旅』にはナレーションの解説がついていた。『地獄の黙示録』のシナリオはベトナム戦争を礼賛していた。『時計じかけのオレンジ』も『タクシードライバー』も実話だった。わからない映画がわかり始める、隠された事実の数々。(「BOOK」データベースより)

以前同著者の『〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』では'80年代カルトムービーを中心に扱っていましたが、この本ではそれよりも前の1967年から1976年頃に焦点を当てています。当時社会的混乱を背景にハリウッドの門外漢たちが大量に参入し、旧来の「ハリウッド・エンディング=ハッピーエンド」でない作品が次々制作された特異な時期であること。
町山氏の映画批評本は、当時の社会的政治的背景をやさしく解説しつつ、ネタバラシ的な制作の背景も面白く説明しています。
難解な『2001年宇宙の旅』や『地獄の黙示録』も頭でっかちの観念映画ではなく、『地獄』に至っては偶然や不運の結果苦肉の策で迷作=名作が生まれた経過が分かります。それにしても、マーロン・ブランドってわがままだなあ。全然セリフ覚えようとしない彼に困り果てた結果、こんな迷作になったとは!笑えます。
『タクシードライバー』は屈折した政治家暗殺事件の犯人の手記に共感したポール・シュレイダーが脚本を書き、マーチン・スコセッジが監督するのですが、主人公の孤独と、他人(特に女性)に理解されない怒りが、モデルになった犯人、脚本家、監督と全員を貫いています。こんな言い方したら身も蓋もないのですが、「女にモテないってこんなに大変なんだ」と男という生き物の大変さにしみじみ同情してしまいました。
主人公の孤独という点では『ジョーカー』に相通じる内容で、孤独は現代の病なのか?じゃあ、昔の農村の暮らしがいいかと言えば、そんなことはないと思うので、「孤独」は現代人が自ら選び取ったライフスタイルなんだけど、でもそれによって苦しめられているってことなのか?

ハリウッドにとってこの特異な作家の時代の終わりを告げる作品が『ロッキー』とのことです。
正直、この『ロッキー』は私にとって謎の作品です。兄のS生があまりに「傑作だ!これを見ないバカは死ね!」とか言うので、私は女友達と見に行きました。見終えて私も友人もつまらなくはないけれど全く好みでなかったため、何でこんなに大ヒットするのかさっぱり分からず。へ〜みんなこーゆーのが好きなんだ…と思っただけ。
その後、何年も経って結婚してから分かったのは、オラオラ系の兄とは真逆なタイプと思った夫も(普段ほとんど映画は見ないのですが)『ロッキー』とさらに『ランボー』シリーズが大好きということが判明。男の感性とは全く理解し難いもの、と悟った『ロッキー』でした。


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『カルカッタの殺人』アビール ムカジー :著
少々ネタバレあり
現在はインド読みのコルカタ、1919年のカルカッタが舞台のミステリー。インド独立は1947年ですからインドは英国統治下の話です。スコットランド・ヤードの敏腕警部ウィンダムは、第一次大戦従軍と妻を失ったトラウマを抱え、インド帝国警察に赴任した。着任早々、英国人政府高官が売春街で惨殺された事件の指揮をとる。同時期、郵便列車強盗が起き、両方の事件には関係があると直感し捜査する。相棒は若く優秀なインド人の新米部長刑事バネルジーとベテランイギリス人刑事ディクビー。インド系イギリス人新人作家の英国推理作家協会賞受賞歴史ミステリ。

インドは第1次対戦中に民族独立運動が高まり、この1919年にローラット法(令状なしの逮捕、裁判なしの投獄、陪審員によらない裁判を認めた法)が制定され、抗議に集まった非武装の市民を無差別に射撃して数百人を虐殺した「アムリットサル事件」が発生。という民族運動の高まりとテロの発生で植民地支配が揺らいだ時代背景、インド人とイギリス人の関係、差別、混沌、カルカッタの猛烈な暑さ。さらに英軍諜報機関との縄張り争い。この時代&舞台背景がすごく面白い。例えば主人公はテロリスト逮捕時にインド人部下に命を救われますが、「ありがとう」とは言えません。こういう時のイギリス人とインド人との関係は複雑だ…などとボヤいてます。

この主人公ウィンダム警部、とても部下に恵まれています。若くて優秀なインド人部下バネルジーがすごくいいキャラで、世界中の刑事、いや上司が「こんな部下がいたらなぁ」と思いそうな理想の部下です。だってこの人に次々指示しておくと、どれもきっちり完璧にやってのけます。いざという時その射撃の腕で命も救ってくれます。で、主人公のウィンダム警部はこの間何しているかと言えば、アヘンやモルヒネに溺れたり、妻への未練タラタラな割に、被害者の秘書印英ハーフ美女に出会ったとたん心奪われ、調査と称しデートしてます。最初はトラウマを抱えた暗い人と思いきや、深刻なのかとぼけてるのかよく分からないキャラです。

テロリスト、センの演説も説得力があって、なるほど「非暴力主義」の理念が少し分かったような気になります。
結局犯人は…なるほど、そうきたか。
ウィンダム警部もギリギリ最後まで見当違いの人間を追っていましたが、これは実行犯がいう様に、この地のことを知らない人間には理解できない訳です。最終的に真犯人を罪には問えず、そういう意味ではスッキリはしないものの、これこそがこの本のテーマである”背景”を表しているのです。
しかし最後まで読んで冷静に考えると、この「敏腕」警部ウィンダムさん、見事に外しまくってて全然敏腕じゃない(笑)ミステリーに詳しくないのですが、これって普通なのかしら?何だかそれも新鮮でした。
犯人探しをする目的でミステリーを読む人には、納得いかないかもしれませんが、とっても面白かったです。
映画化したら、キャストは誰がいいかな〜と考えるのも楽しいです。

『ノクターナル・アニマルズ』他、DVD録画から

cinema
11 /05 2019
『ノクターナル・アニマルズ』
『英国総督 最後の家』
『ウイスキーと2人の花嫁』
『華氏119』
『蜘蛛の巣を払う女』


Nocturnal Animals
『ノクターナル・アニマルズ』(2016)監督:トム・フォード

監督のトム・フォードは有名ファッションデザイナーなんだそうです。ブランドの知識ないのですが、もし事前に有名デザイナーと知っていたらおしゃれな映画を想像したと思います。…が、おしゃれな雰囲気を売りにした映画ではありません。
好きなジェイク・ギレンホールが出演している以外、事前情報なしで見始めましたが、始まりのギャラリーのパーティーシーンが強烈すぎます。な、なんなんだ!この巨体すぎるオールヌードの女性たちは!?
アートギャラリーオーナーのスーザン(エイミー・アダムス)は超豪邸に住み、完璧なおしゃれ、夫は実業家アーミー・ハマー。見るからに成功人生を歩んでいる彼女ですが、夫は浮気してるし、ひどい不眠症で、どう見ても幸せそうには見えません。そこに学生結婚して20年前別れた元夫(ジェイク・ギレンホール)から『ノクターナル・アニマルズ』(夜の獣たち)と言う小説が送られてきます。
この小説をスーザンが読んでいる現在、彼女の脳内映像としてこの小説の劇中劇、さらに元夫との若き日々の回想シーンという3つのドラマが交互に入り組みます。
劇中劇の主人公トムと、回想シーンの元夫エドワードは同じジェイク・ギレンホールが演じています。劇中劇のトムは40才くらい。それに対して若き日の回想シーンは二人とも20代の学生。
回想シーンでは2人とも本当に若々しいです。特に最初のNYでの再会シーンのジェイクがとてもキュート♡
やつれて疲れ切った劇中劇のトム、若き日のエドワードが交互に出てきますが、同じ時に撮ったとは思えないほど老けたり若返ったり。最近のメイク技術が優れているのか、どちらも自然に見えました。

テキサスのお金持ちの娘だったスーザンと、見るからに有閑マダムの母の回想シーン。スーザンは母親にエドワードとの結婚を反対され反発、しかし結局母の予言通り、エドワードの繊細さを弱さと見なすようになり、エドワードの子供を降ろし、ハンサムでやり手のアーミー・ハマーに乗り換えた過去があります。この母娘関係がポイントと思われます。
現在パートで「REVENGE」と描かれた現代アートが出てきたり、劇中劇も妻子を殺されたトムの復讐物語になっていたり、ではテーマは「復讐」なのか?とも思うのですが…、
エドワードは若い頃小説家志望でしたが目が出ず高校教師をしています。ずっと小説は書き続けていて、スーザンに復讐として自分の小説家としての才能を見せつけるために送ってきたのか?(スーザンは小説の出来を傑作と思ってる様子)ラスト、会う約束をしながら、とうとうエドワードはスーザンの前に現れません。
劇中劇でトムを助ける末期癌の刑事は「シェオプ・オブ・ウォーター」の敵役マイケル・シャノン。痩せててずいぶん印象が違います。
劇中劇の内容が最近のあおり運転を連想させ内容も陰惨でしんどい。
謎も多いですが、サスペンス映画として非常に面白い映画だと思います。

viceroys house
『英国総督 最後の家』 (2017)監督:グリンダ・チャーダ
英国からの独立が決まった1947年のインド。主権譲渡のためにインドに赴任する英国の最後の総督マウントバッテン卿とその妻娘。英国総督の屋敷がバッキンガム宮殿より豪華と驚く一家。
独立後の統一インドを望むヒンドゥー教徒・シク教徒と、分離してパキスタンを建国したいムスリム(イスラム教徒)の対立は各地の暴動に発展し多くの犠牲者が生まれていた。統一インドを主張するネルーやガンディー、パキスタン建国希望するムスリム連盟のジンナーといった指導者たちと折衝を重ねたマウントバッテン卿は、ついに苦渋の選択をする。

500人の使用人を抱えた豪華絢爛なお屋敷、主人公はあのダウントン・アビーのグランサム伯爵(の俳優)、2世紀に渡りインドの支配国だったイギリスのたそがれを描いた優雅な映画を想像して見始めたら、ぜんぜん違っていました。
インド独立といえばガンジーの非暴力主義しか知りませんでしたが、実際は平和とは程遠い。インド独立に際してこれほどの人命が失われていたとは!?
インド人同士の宗教対立が暴動に発展、犠牲者は各宗派それぞれ100万人を超えたとか。元々は宗教の違いを超えて平和に暮らしていたインド人ですが、英国が植民地支配しやすくするため宗教やカーストで対立をあおった過去に原因があると映画の中で説明されます。

しかしグランサム伯爵、じゃなかったマウントバッテン卿、とても誠実で高貴な人です。インド人同士の虐殺に心を痛め、ガンジーらの反対を押し切り、パキスタンの分離を認めます。しかしそれはチャーチルの冷酷な計画通りだったのです。
この歴史話にインド人スタッフのジートと秘書のアーリアの宗教を超えた恋物語を絡めています。ジート役は『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の天才料理人マニーシュ・ダヤール。
インド独立とパキスタン誕生の歴史がよく分かりました。
この監督は「ベッカムに恋して」のインド系女性監督です。エンドクレジットで彼女の祖母がインドパキスタン分裂に巻き込まれ、難民になったことが紹介されます。
あ、そうそう、マウントバッテン卿夫人は懐かしの90年代ドラマ「Xファイル」のスカリー役ジリアン・アンダーソンです。知的な美人だった記憶がありますが、すっかり年は取りましたが相変わらず知的な雰囲気です。

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『ウイスキーと2人の花嫁』 (2016) 監督:ギリーズ・マッキノン
第2次世界大戦中に、スコットランド沖で大量のウイスキーを載せた貨物船が座礁したエピソードを基にした人間ドラマ。島民たちが、5万ケースのウイスキーを沈没の危機から救おうと奮闘する姿を、ユーモアたっぷりに描く。(シネマトゥデイ)
第2次大戦中の実話が元になっていますが、終始ユーモラスで戦争中という緊張感もなくのんびりしたドラマです。小さな島の人々はこよなくウィスキーを愛していますが、戦時中でついにウィスキーの配給が止まり、島民たちはみな落ち込み、元気が無くなっていきます。そこに5万ケースのウィスキーを積んだ貨物船が座礁。そこから始まるドタバタ劇。島の郵便局長には年頃の娘が二人いて、彼女らの結婚式までの親子のドラマが並行して描かれ、悪役の大佐や関税庁も連携プレーで出しぬき、ラストはウィスキーが無きゃ始まらない島の結婚式がめでたく行われる。
ガハハ、ではなくフフフと口元が緩んでしまう可笑しさ。

お酒は”命の水”とも言われますが、我が家およびその周辺、揃って全員飲んべえです。
姉は60代後半ですが、まだ仕事をしていて、その理由は「仕事やめてヒマになったら朝から飲んじゃいそうだから」とのこと。それってアル中じゃないの?と心配して聞いたら、「アル中はお酒が美味しくないのに飲まずにはいられない人で、私はいつも本当に美味しいと思って飲んでるから大丈夫」と言ってます。そういうもんか?
私は365日中360日は飲みますが、本当に夕飯の時の1〜2杯だけ。量は飲みません。飲もうと思えば飲めるけど(笑)ご飯を美味しくするために飲んでます。
夫も平日は夕飯の時の2〜3杯だけど、定年になったらどうかな?3連休とかだと2日目辺りから昼から飲んでます。まあビールだからお酒のうちに入らないけど。これが昼から焼酎や日本酒を飲み出したら要注意と思ってます。

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華氏119 (2018)監督 : マイケル・ムーア
2016年11月。共和党のドナルド・トランプは、アメリカ合衆国大統領選挙で民主党のヒラリー・クリントンを破り、第45代大統領の当選が確定する。数々のドキュメンタリー作品で自ら取材を行ってきたマイケル・ムーア監督は、トランプについて取材し、トランプを当選させたアメリカ社会の問題に迫る。(シネマトゥデイより)

『華氏911』で9.11テロを軸にブッシュのアホぶりを暴いたマイケル・ムーアが今度はトランプをコテンパンに、と思ったら、オバマもヒラリーもまとめて、さらにフリントの水質汚染問題、銃規制に立ち上がった高校生たちなど、トランプだけでなく、アメリカの民主主義の危機を描いたものでした。全体として少々ムーアのツッコミも鈍った印象がありました。
しかしこれ映画で印象に残ったのは、共和党よりも民主党の内情です。政策がどんどん共和党寄りになっており、実はサンダースがヒラリーよりすべての州で得票を取っていたのも関わらず、結果を揉み消していたり、オバマの汚染水を飲む"ふり"には私もがっくりしました。
見ていて落ち着かなくなったのは銃規制以外の問題がほとんど日本でも当てはまること。水問題で子供達の検査データを役所が数字を操作、矮小化する辺り、福島原発事故後の子供たちの甲状腺のことを思い出してしまったり、気がつくと色んな法案が政権に有利に変わっていたりする等々、これって日本も同じじゃん!

日本とアメリカ、さらに世界中が民主主義なんてもうめんどくさくて、誰か強気なオラオラ系に丸投げしたがっているような気がします。ムーアはかなり悲観的になっているようですが、それでもアメリカの高校生たちはまだ元気で、大規模なデモを全米で繰り広げていますが、日本はどうなんだろう?でも若い頃のこと思うと私にはエラそーなことは言えません。
しかし私は福島の原発事故辺りから、色んなことに疑問を持ち始め、選挙にも行くようになりました。
そもそも社会的地位の高い人々というのは、本当に頭がいいんだろうか?政治家とか役人とか、長いスパンでものを考えているのだろうか?だって少子化って随分前から言われてるはず。でも選挙に行くのは年長者が多いから政治家は年金問題を先送りにしてきたのでしょう。どうも政治家というのはとても自己愛の強い人々に見えますし、自分の任期中の評価が一番大事な人たちに見えます。そうなると中国みたいに民主主義じゃない方が目先の人気取りしなくて済むし、長期的に政策を考えられて、結果的に国家の運営もうまく行くのか?とも思ってしまったり。
対岸の火事と思って見ていると、他人事じゃない怖さがありました。


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『蜘蛛の巣を払う女』(2018)監督:フェデ・アルバレス
ベストセラー小説「ミレニアム」シリーズのヒロイン・リスベットの過去を解き明かすミステリー。
これは「ミレニアム」シリーズの映画化としてリスベット・サランデル役、3人目のキャスティング。2009年〜スェーデン版3部作はノオミ・ラパス、2011年アメリカ版のルーニー・マーラに続き、3人目のリスベットはクレア・フォイ。全然知らない女優ですが、顔に邪気がないというか、今までのリスベットに比べて”やばい感”が足りません。ミカエルも優男になっていてちょっと物足りない。
リスベットの暗い過去が暴かれ、双子の妹との対決という点は不憫萌え要素もあるし、鍵を握る天才少年も超かわいい!ので、普通に面白く文句はないんですが。全体としてはアクション映画という印象でした。
ITに弱い私には何やってるのか、よく分からないのですが、彼女および周囲のハッカーぶりは相変わらずながら、核攻撃を自分のPCで乗っ取って出来ちゃうって、それはヤバすぎるでしょう!っと昔ならありえないで済ませられた話ですが、最近IT兵器を特集したBSドキュメンタリー見てたら、下手なSFを現実が追い越してることにめまいがしました。
でもスェーデンの官僚がアメリカなんかがこの技術を持ってたらろくなことにならないから、まともな国であるうちが盗むって理屈には思わず笑ってしまいました。確かに!
父から家業の悪の組織を引き継いだ双子の妹(全然似ていない)、サイコパス父の元で16年もひどい目にあった妹の「なぜ救いに来てくれなかった?」に心揺れるリスベット。今までで一番いい人感のあるリスベットでした。

tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。