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DVD視聴『シャットダウン』『HACHI』『Uボート』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『眠狂四郎殺法帖』

cinema
08 /24 2019
ようやく朝晩には暑さも和らいできて、もう少しの辛抱。でも9月も残暑が厳しいとの天気予報にぐったり。最近、親たちも落ち着いていてホッと一息、せっせと録画した映画を見ました。

『シャットダウン』監督 :カレル・ヤナーク(2018)
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チェコ,スロヴァキア合作映画ということで見てみましたが、プラハらしい古い町並みは出てこず、現代的なビルか、森の中ばかり。ラストのカーアクションシーンでトラムが出てくるのが唯一のチェコらしさか。
AIに全て制御された家に実験として住むIT技術者夫婦。夫は仕事が忙しく、ほとんど彫刻家の妻が一人で住んでいるのだが、だんだん家自体が制御不能になっていき…というサスペンス。面白いのは最終的にホラー決着ではなく、共感インターフェイスが妻の夫への小さな不満を忖度しすぎて拡大解釈、家が夫を亡きものにしようとしたという結論。
こんなラブラブ夫婦でも、妻の無意識下のわずかな夫への不満を忖度して暴走するAI。これを日本の熟年夫婦に当てはめたら……うちの夫はおだぶつ確定です!(笑)

『HACHI』監督 :ラッセ・ハルストレム(2008)
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これは3度目の視聴。お話は例の渋谷のハチ公のお話をアメリカに置き換えたもの。約10年前の映画ですが、妻役のジョーン・アレンがまだ若い。こんな猫顔だったっけ?
出だしの日本のお寺といい、リチャード・ギアの同僚教授(日系)との剣道シーンといい、日本趣味があちこちに出てます。最初の子犬時代が本当に可愛いんですけど、これどう見ても柴犬です(笑)。途中からモフモフ度が高まり、秋田犬の仔犬にチェンジします。柴でも秋田でもいいの、ともかくハチが可愛くて、見るたび涙ダダもれ状態です。それにしても秋田犬の顔って渥美清に似てる。

『Uボート』監督 :ウォルフガング・ペーターゼン(1981)
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40年近く前、日本でも大ヒット。珍しく姉と一緒に日比谷に見に行った記憶があります。
今回一緒に見た夫が例によって、あれこれ潜水艦に関するミリタリ解説をしていましたが、なんでもドイツの潜水艦技術を日本はもらったものの(現物をもらったんだったか?)、当時の日本の技術では再現できなかったとか。夫は日本の零戦とか戦艦とかも大好きなんですが、ドイツに対するリスペクトがすごくあるんですね。それは科学技術関連から来るリスペクトらしいのです。ドイツの兵器技術に関するオタク解説を聞くと、歴史に”IF”はないけれど、もしもナチスドイツが勝っていたらと思うとゾッとします。

肝心の映画の内容は完全に忘れていましたが、思い出すまでもない単純なお話でした。
Uボートがジブラルタル海峡を抜けてイタリアに向かうよう命令を受けますが、そこは非常に狭く敵艦がうじゃうじゃ。予想通りドカンドカン爆撃されて海の底に沈んでしまい、ああこれまでか…と思いきや、頑張って修理して圧縮酸素を噴出、九死に一生を得て浮上、無事目的港に到着、歓迎を受け、めでたしめでたしと思いきや!!!  ああ、戦争って本当に虚しいですね。
始めドイツ人俳優の顔が区別つかないのと、ともかく狭くて細長い潜水艦の中でのドラマ。50人に1つしかないトイレ。みんな汗でドロドロ。さぞかしこの中は臭くて息苦しいだろ〜な〜と思いながら見ていました。
監督のウォルフガング・ペーターゼンは『ネバーエンディング・ストーリー』も大ヒットしましたね。このあとハリウッドに渡り、「アウトブレイク」や「エアフォース・ワン」「トロイ」などを撮りました。

『太陽の王子 ホルスの大冒険』監督:高畑勲
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朝ドラ見てますか?私は毎週土曜にまとめて録画して見てます。
朝ドラは基本は見ないのですが、ハマる回はハマります。
2000年以降見たのは『ちゅらさん』『ゲゲゲの女房』『カーネーション』『あまちゃん』『ごちそうさん』『ひよっこ』『半分、青い』『まんぷく』そして『なつぞら』です。所々だけ見たのは『てるてる家族』『純と愛』『花子とアン』『マッサン』辺りかな。評判の良かった『あさが来た』や『とと姉ちゃん』はほんの数回見ただけです。

『ゲゲゲの女房』もそうでしたが、実在のモデルがいて、その人に興味があるとより楽しいですね。『ゲゲゲ』の時も、斎藤工がつげ義春を演じてて、つげ義春はカルトムービーにハマってる若い頃、随分読みました。この時点では斎藤工かなり自分の中で高評価だったのですが(彼は映画好きだし)、恋愛ドラマ(『昼顔』)はどうにもハマるツボが見つからないため、1、2回見て撤退。残念ながら斎藤工はマイアイドルになりませんでしたっけ。

今回、高畑勲が絵を描かない演出専門の人だと初めて知りました。アニメの監督ってみんな絵描きを兼ねてると思い込んでましたが、当時としては珍しかったんでしょうね。
ドラマの中でなつが制作するアニメがまた懐かしい。「オオカミ少年ケン」「魔法使いサリー」(ひみつのアッコちゃん?)etc
そして高畑勲が初めて演出をして興行的に大コケしたとされる『太陽の王子 ホルスの大冒険』をwowowで録画してあったので見てみました。
もっと頭でっかちの変な映画を想像してたため、極めて分かりやすく、小学校高学年くらいなら面白く観たと思います。’68年当時はアニメは小さい子の見るものだったのが大コケの理由でしょう。
驚くほど、ジブリの原点がここにあるなぁというのが一番の感想です。
キャラクターデザイン(特にヒルダ)、アクションシーンの動き、ストーリー、特に善悪の狭間にいるヒルダのようなキャラクターはその後のジブリ作品で重要キャラとして必須と思われます。
アクションシーンは序盤ではとても丁寧でのちのジブリを思わせますが、途中からモブシーン完全に止まってます(笑)ドラマで描かれた締め切り前のすったもんだを想像し、その辺も面白く観ました。

『眠狂四郎殺法帖』監督:田中徳三
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知り合いに古い日本映画が大好きという女性がいます。
例えば『ジャコ万と鉄』というニシン漁を舞台にした映画('49年と’64年の2回も映画化されている話で、49年版は三船敏郎、64年版は高倉健が主演)の見所を熱〜く語ってくれる面白い人ですが、熱すぎて聞いてるこちらが思わずあとずさるほど。もう1年以上会ってないけれどお元気かしら。彼女が市川雷蔵の色気について熱く語っていたことがあり、wowowで特集していたのでどんなもんか1作目をみてみました。
まず市川雷蔵という人はやたら色気があると評されてるらしいのですが、こちらが年をとりすぎているためか、思いの外、可愛い顔をした若い兄ちゃんです。ちょっと茶髪っぽい(浪人の)前髪がリーゼントのようで、田舎のヤンキーにも見えます。
ヒロインは加賀百万石の殿様の隠し子役、中村玉緒が若い!まるで浮世絵の美人画から抜け出たような和風美人で声も今と違ってかわいい。狂四郎といい仲になるのですが、他にも2人狂四郎を取り合ってる女性たちもいて、狂四郎、モテモテです。
加賀藩は密貿易のことを知っている少林寺拳法の達人陳孫(若山富三郎)を殺そうとし、奥女中千佐(中村玉緒)は加賀藩主の命を受け、どちらも狂四郎に近ずき自分の味方にしようと画策。この狂四郎の立ち位置がイマイチ分からず。富三郎よりは女好きなので可愛い玉緒に付くんですが、さりとて加賀藩を守る気は無く、用心棒として自由に雇い主を選ぶ立場みたい。その辺がニヒル。その後、千佐は藩主が自分の父と知って、自分を利用してきた父に激怒。色々あって、密貿易担当の豪商銭屋はその証拠の文書を入れたヒスイ?の仏像を取り戻そうと発砲すると千佐に当たる。怒った狂四郎に切られ、豪商側の陳孫と狂四郎、なぜか砂丘で戦う。円月殺法vs少林寺拳法。円月殺法というのは刀を一周回す間に相手を切るらしいけど、どっちが勝ったのか見てても全く分からん。セリフでは狂四郎の勝ちっぽいけど、陳孫は生きていて「またな」と別れる。この役はきっとシリーズを通じてライバルとしてまた出てくるのかも。狂四郎、千佐を亡くし、虚しく密貿易の証拠の仏像を海に捨て終わる。完。
このドラマの中で一番有能なのは忍者の捨丸。神出鬼没すぎて笑えます。
色々細かいところがものすごくテキト〜な映画ですが、主人公の狂四郎はアンチヒーローで(というほどワルでもない)、印象としては木枯らし紋次郎を女好きにした感じ。かっこいいのか?色気があるのか?さっぱり分からなかったので、シリーズの他の作品も見てみたいものです。
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『あなたの名前を呼べたなら』監督:ロヘナ・ゲラ

cinema
08 /18 2019
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インドファブリックを見に行こうとソーイング好きのMさんを誘って、インド映画を観に行きました。
ファブリックの方はそれほど好みの生地が出てこなくて当てが外れましたが、しっとりしたいい映画でした。同時にインド女性がまだまだ多くの因習に縛られていることがわかる内容でした。

未亡人のラトナは農村から大都会ムンバイの建設会社の御曹司宅の住み込みメイドになる。御曹司アシュヴィンは結婚が破談になり傷心状態。そんな旦那様を気遣いながら、ラトナは彼の身の回りの世話をしていた。
ラトナにはファッションデザイナーになりたいという夢があり、昼間の空き時間、洋裁教室に行かせてくれるようアシュヴィンにお願いする。その辺から少しづつ距離が縮まるものの、あくまでも主人とメイド。同じマンションに暮らしながら、近くて遠い2人。
それにしても階級社会の様子には驚かされました。ファッションの参考に高級ブティックに入るとすぐに警備員を呼ばれて追い出されたり、パーティでうっかり客のドレスを汚してしまった時のメイドに対する対応など。日本でも敷居の高いブティックはあると思いますが、毛色の違う客が入ってきたからと行って追い出しはしないと思います。
因習も未亡人は故郷の村ではアクセサリーもつけられなかったり、そもそもたった4ヶ月で未亡人になったのに、婚家から口減らしのため都会に出され婚家に仕送りを続けるって、なんという理不尽な世界。
お互いを思いあう2人だけれど、シンデレラストーリーにはならず、インドに残る因習と階級の壁は高く、あくまでラトナはアシュヴィンを「サー」(旦那様)と呼び続けます。

ラスト、アシュヴィンはアメリカへ渡り、ラトナはデザイナーへの道が開け、別々の道を踏み出しますが、アシュヴィンからの電話に初めて「サー」でなく名前を呼ぶラトナ。この後二人はどうなるのか?そこは観客の想像に任されます。昭和初期の恋愛映画のような奥ゆかしいラブストーリーです。
ラトナは今まで見てきたインド映画のヒロインのようなハデな美女でなく、老け顔で地味め。アシュヴィンもインド映画お得意のマッチョではなく、気の良さそうな誠実な青年。
身分違いのラブストーリーをオモテ面に、インド女性へ因習や差別を乗り越えようと応援するいい映画ですが、カンヌ始め海外では評価されているものの、肝心のインドでは公開されていないそうです。

本筋と関係ないところでインドらしさを感じたのは、どんな田舎に行っても携帯が通じるところ。因習とIT、インドってつくづく振り幅の大きい国だと思いました。

『アルキメデスの大戦』 監督 :山崎貴

cinema
08 /15 2019
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終戦記念日の今日、夏休み中の夫と見に行きました。
夫は第2次大戦オタクとでも言ったらいいのか、戦略史、兵器類にやたら詳しい、いわゆるミリタリオタクです。中でもゼロ戦、戦艦大和と武蔵、ドイツのティガー戦車が大のお気に入り。
感想は面白かったです。
出だしが派手な戦闘シーンから始まります。それは大和の最後の沈没場面。すごく迫力がありました。
大ぶりな恐竜が飛び交う鳥たちに倒されるように無残に倒れていく大和。いきなり出だしで戦争の虚しさを見せてくれます。
話はここから日米開戦前に遡り、これからは空中戦だから空母を作ろうという山本五十六派と、世界一の大型戦艦を作ろうという一派との争いに巻き込まれた数学の天才、菅田将暉くんが主人公。
数学というより計算の天才みたいな気もしましたが、世界最大の戦艦の見積もり予算が山本五十六が進める空母より安いのはおかしい、ってんで菅田くんが色々探るのですが、軍機密の前に情報を得られません。少ない情報から短期間で戦艦の図面を書いたり、民間の造船会社の協力も得て使われる鉄の量から予算を概算する数式を考えたり、新鮮な視点が面白い映画でした。
そして最終的に主役を食うのは田中泯。
戦艦大和を設計する平山造船中将の役で、全てを見通し、だからあえて作るという説に、思わず菅田くんも説得されてしまうラスト。いやいや、これだから男って嫌なのよ!だったら無人艦にして、一緒に3000人も沈めないでよ!と思ってしまったのは私だけ???

反戦映画と言えなくもありませんが、やっぱりうちのミリタリ夫みたいな人々を納得させるためには、どこまでもロマンがなきゃだめなんでしょう。まあ分かりますけどね。
他にも、映画の中でこの戦艦のことを「美しい」「美しい」と何度も言ってるのが、訳分からなくて、そのことを夫に言ったら、「だってめちゃくちゃ美しいじゃないか!?」ってあったりまえみたいに言うのですが、私には真ん中に凸凹におでん積み上げた鉄の塊にしか見えなくて、は〜こういうの美しいって言うのか〜?と。

山本五十六も平山中将も日米開戦には反対だったらしいのですが、どちらも一気に短期決戦に持ち込もうとしての真珠湾や大和らしいけど、どちらも期待通りにはならなかったわけで、だったら短期でさっさと負けを認めればよかったのに、現実は初めから勝ち目のない戦争と言いながらズルズル長引いて多大な犠牲者を産んだばかりか、いまだに近隣と揉めてるわけで、いい加減に戦争にロマンを感じるのはやめてほしいわ。

それからこの映画だけじゃなく最近の傾向として気がついたこと。
私の子供の頃は太平洋戦争は軍人が悪くて、国民はみんなその犠牲者だったっていうのが定説でした。
その後、実は日本は犠牲者であるだけでなく、ご近所さんたちに色々迷惑かけまくった加害者だったと言われました。
さらに最近では、この戦争は指導層もみんな勝ち目がないって最初から分かってて、でも国民がそれを望んでて、アメリカとの戦争に踏み切らざるを得なかったっていう説。
どれも本当だと思います。
以前、町山智浩氏のブレードランナーを評論した本(『ブレードランナーの未来世紀』)で、SF映画はその作品が作られた時代の価値観や背景がその未来像に反映しているって話がありましたが、それは過去の話でも同じなんじゃないかと思いました。
同じ過去を描いてもそれを語る時代の価値観によって、その語り口が変わってくる。
この中で田中泯演じる平山は「この戦争に勝ち目はない。しかし(米との戦争を避けることは)国民がそれを許さない。」と言います。「小さなお家」でも米との開戦を知って狂喜する人や、戦勝パレードがどんなに楽しく嬉しかったかと主人公に語らせます。
今の韓国の反日運動など見ると、なんで政府が喧嘩している時に、民間同士も喧嘩せにゃならんの?と私のようなひねくれ者は思いますが、素直な人々は素直に反応してしまうのですね。素直なことは概ねステキなことですけれど、不穏な空気の立ち込めている時には、素直に反応することは危険だと思います。しみじみ気をつけようと思いました。



tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。