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『翔んで埼玉』『マスカレード・ホテル』『ゲット・アウト』『ミスター・ガラス 』飛行機内で見た映画

cinema
06 /30 2019
旅行に行ってたので、飛行機の中でせっせと映画を見ました。簡単にメモっておきます。隣を見ると、友人Mさん、ずっと数独やってる。わっ、数字に弱い私はそれだけで思わず感心。

『マスカレード・ホテル』 (2018)監督 :鈴木雅之
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普通に面白く見ました。ボサボサの刑事からホテルマンに変身した時、キムタクがもっとビシッと見違えるようにカッコ良ければ、絵的に見栄えがしたけれど、さすがにもう年なのでそれは期待しすぎというもの。しかしこんな理由で逆恨みされたらたまらないよね。

『翔んで埼玉 』(2018)監督 :武内英樹
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魔夜峰央といえば『パタリロ』ですが、まだ現役で活躍してたのに驚き。
私は千葉県人ですが、小さい頃から祖母の住む湘南に行ってて、そこの従兄弟たちの方が「じゃん、じゃん」と方言が強かったんで、自分の中では神奈川の方が田舎だと思ってました。(笑)
一番笑ったのは利根川?を挟んでの戦いで、「市原悦子」が出てくるシーン。

『ゲット・アウト』 (2017)監督 :ジョーダン・ピール
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インテリ白人家庭の娘の家に招かれた黒人である主人公のお話。ということで、全く違う内容を想像していました。ちょっとした文化の差や、インテリ家庭の持つ欺瞞性を笑うようなコメディかと思って見始めたら、とんでもないホラー展開に「えええ〜!?」と。あ〜ビックリした(笑)

『ミスター・ガラス 』(2018)監督 :M・ナイト・シャマラン
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『アンブレイカブル』、『スプリット』の後日談。超人、超能力者という存在を研究対象として精神病院に閉じ込める女性精神科医。やがて彼らは脱出し対決する、というのが表面的なストーリーになっています。が、シャラマン監督ですから、単純なヒーロー対決ではもちろんなくて、彼らを研究し超人能力をしっかりと確認しつつ、無かったことにする組織の存在に、なんとも言えない後味を感じました。”世界の均衡を守る”この組織の狙いはなんなのか、こっちの話も見てみたい。『スプリット』に続き、ジェームズ・マカヴォイの怪演と、彼を理解しようとするアニャ・テイラー=ジョイが印象的。
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DVD『ベロニカとの記憶』『犬が島』『人生はシネマティック!』『5%の奇跡』『殺人者の記憶法:新しい記憶』

cinema
06 /29 2019
DVD鑑賞分です。

『ベロニカとの記憶』監督 :リテーシュ・バトラ(2017)
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『めぐり逢わせのお弁当』のリテーシュ・バトラ監督がメガホンを取り、ジュリアン・バーンズの小説を映画化したミステリアスな人間ドラマ。1通の手紙をきっかけに、主人公の初恋や親友の自殺など青春の日々の裏側が明かされる。

監督は2014年観た映画の中で私的ベスト『めぐり逢わせのお弁当』の監督。
「ダウントンアビー」の長女メアリー役ミシェル・ドッカリーが主人公の娘役。過去の秘密のカギを握るベロニカの母親に「マイ・ブックショップ」のエミリー・モーティマーなど、脇役に馴染みのある顔が色々。
「昔の恋人ベロニカの母親が自分に、自殺した親友エイドリアンの日記を遺産として残す」ってなぜ一度会っただけの母親が自分に?なぜ彼女が若くして自殺した親友エイドリアンの日記を?さらにベロニカはその日記を燃やしたと言って、自分には渡してくれない。と十分ミステリーなわけで、もし自分がこの主人公だったらやはりモヤモヤするだろうな〜と思いました。しかしエミリー・モーティマー演じるベロニカの母親は同性から見ると少々ヤバイ人で、勘のいい人ならすぐにピンとくるのでしょうが、私は最後まで???で、主人公と同時に「あ、なるほど」と解明したため、ミステリーとしても楽しめました。
シャーロット・ランプリングがベロニカの現在を演じているのですが、この人が演じていると実際以上にミステリアスになってしまいます(笑)
そして最後は娘の出産に立ち会い、改めて自分の家族の存在を大切に思う、ときれいに収まってラスト。
結局、親友が歴史の授業で言ったように「何かが起こった」以外は当人の本当の心は分からない。自分の若い日の記憶も都合よく改変されていて、自分の過去の記憶は事実というより「物語」であった。ラスト主人公は前妻に「自分の鈍感さ」を懺悔するのですが、これに関しては私もあまり人のことは言えないので、耳が痛いです。
「マイ・ブックショップ」では凛としたエミリー・モーティマーが、ここでは魅力的かつヤバイ雰囲気です。

『犬が島』監督:ウェス・アンダーソン(2018)
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『ムーンライズ・キングダム』『グランド・ブタペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督のストップモーションアニメ。近未来の日本が舞台で、登場人物はコバヤシ市長、その養子のアタリ君、他。犬の感染症のため、夢の島みたいな東京湾?のゴミ島に全ての犬が廃棄された世界。そこにプロペラ機で乗り込み、愛犬を探すアタリ少年。
アンダーソン監督は他の映画もそうなんですが、全ての画面がグラフィカルに凝りすぎていて、動きがなく、非常にオタク的自分のこだわりの世界を展開しています。だから、この世界観に(特に視覚的に)ハマれると、ハマれるのでしょう。ハマれないと、映画を見たというより、動く絵本という印象を受けます。
私も「ムーンライズ・キングダム」の時は「わぁ、なんて可愛いの!」と心を掴まれましたが、「グランド・ブタペスト・ホテル」では映像よりも、もっと”ドラマ”を見たいという気分になってきます。この映画は特に、登場人物が正面を向いてセリフを喋る場面が多く、動きが非常に少なく、映画というものの特性を生かしてるとは言いがたい。30分くらいの短編だったら好きだと思う。

『人生はシネマティック!』監督:ロネ・シェルフィグ(2016)
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『17歳の肖像』のロネ・シェルフィグ監督作。
第2次大戦真っ只中、偶然書いたコピーを気に入られたヒロインが、戦意高揚映画の脚本家に抜てきされ、奮闘する姿を描く。「ダンケルク」の戦いで船を出した双子の姉妹の実話を共同脚本家として担当。女性ならではの視点をストーリーに活かしたり、撮影現場でのわがままな老俳優のなだめ役をやったり、軍部との軋轢の妥協点を示したり、最初は助手に過ぎなかったヒロインが無くてはならない存在として成長、自立していく姿を描く。
連日の空襲下のロンドン、目の前で人がバタバタ死んでいく状況下でもこんなに映画が人気だったことにまず驚きました。それもちゃんとユーモアやロマンスや涙を盛り込み、観客を繰り返し感動させ、アメリカの協力を仰ぐために空軍のイケメンアメリカ人軍人を重要な役に抜擢するなど、軍部の要求を通しつつ、「あくまでも我々は”娯楽映画”を作るのだ」という現場の心意気に感心しました。
夫の収入不足を助けるだけのはずが、どんどん仕事の面白さに目覚めていき、やがて浮気した夫から精神的にも自立し、苦楽を共にした共同脚本家と恋に落ちた途端、相手は亡くなる。ラスト、自分の作った映画を映画館で見て、生きる希望を取り戻すヒロイン。
絵に描いたような女性の自立物ですが、どこかコメディタッチで、そのくせ登場人物があっさり空襲で亡くなる時代背景のため一筋縄ではいかない。でもラストで前向きになれる、女性映画のお手本のような作品。
ビル・ナイが60過ぎてもヒーロー気分が抜けないわがまま俳優役で面白い。ビル・ナイの相棒役はトントンアカデミー主演男優賞に選んだ「おみおくりの作法」主演のエディ・マーサン。

『5%の奇跡〜嘘から始まる素敵な人生』監督:マルク・ローテムント(2017)
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ドイツ人の母とスリランカ人の父を持つサリヤ(コスティア・ウルマン)の夢は、一流のホテルマンになること。だがある日、先天性の目の病と診断され、手術を受けるが視力は正常の5パーセントしかなかった。それでもサリヤは夢を諦めず、ミュンヘンにある5つ星ホテルの研修生になる……。
いい加減な奴に見えた研修仲間マックスを始め、鬼教官のホテルマンも最終的にはいい人で、周囲に支えられ、夢を叶えた実話を基にした物語。
主人公のサリヤを演じるコスティア・ウルマンが若い頃のガエル・ガルシア・ベルナルにちょっと似ている、小柄でキュートな若者です。ホテルの皿洗いが元外科医のアフガン難民で、サリヤが救急医として働けるように申請を手伝ったり、今時のドイツ映画は現実社会を写して難民や移民の話が多い印象です。
目がほとんど見えない彼は、聴覚や触覚を駆使して問題をクリアしていくところが見所。
例えば、カクテルを作る時のスピリットの瓶のデザインの違いや、汚れたグラスとキレイなグラスの音の響きの違いに気づいたり、恋愛も野菜を納品に来る女性の声に一目惚れ。確かに同じこと言ってても、声の好き嫌いって大きいですね。
自分の声にコンプレックスを持っている私は(その割におしゃべり)、美人よりも声の良い人がうらやましい!(美人もうらやましいけどね)
心温まる気持ちの良い作品。

『殺人者の記憶法:新しい記憶』監督:ウォン・シニョン(2017)
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これは1月に『殺人者の記憶法』を見た、その別バーション。
途中までは同じ話なんですが、その割に見ていて退屈せず見られるのは、私の記憶力のせいなのか?はたまたうまいこと作ってあるためなのか?別々に公開されたため、途中まで全く同じでは当然別作品として問題なので、その辺は監督ウォン・シニョンの力量なんでしょうか?
アルツハイマーの連続殺人鬼、この設定だけでも秀抜ですが、この別バージョン、あっとビックリなラストです。
う〜ん、最初に見た1の印象にどうしても引きづられるため、どんでん返しのどんでん返し?もはや訳わかりません。何を信じて良いのか…

肺がん検診 3年6ヶ月

disease(闘病記)
06 /13 2019
肺がん3年6ヶ月目の検診、5月に行きましたが、記事を忘れてました。
5月下旬、前日が両親のホームの引越しでしたので、その疲れが出たのか、どんよりした当日のお天気のせいなのか、なんだか体がだるくて、気分も落ち込み気味の中、肺がん検診に行きました。
この日は血液検査が混んでいて、待合室もいつもよりも人が多い(; ̄□ ̄
せっかちな私は「また3時間待ちだったら紹介状書いてもらって『他で検診するから、万が一の時は出戻ってきてもいいか?』と聞いてみようか?」などと考えていましたが、意外にも1時間ちょっとで呼ばれました。
「コレステロールが高い以外は異常なしですね。」とイケメン先生。毎回、ホッと肩の力が抜ける瞬間です。
しかしその後、「では半年後、造影CTやりましょう。」と。
え?またあの気持ち悪い造影CTやるの!?
前回は主治医が変わった節目で念のために詳しい検査をするのかな?と思っていたのですが、定期的にCTとるのはイケメン先生のやり方なのか?もしくは病院全体の方針転換なのかは分かりません。でも大学病院だと、年に一度くらいやるところも普通にあるらしいので、特別ってわけではないのでしょう。
さらにもう一つ気になったのは「今のところ順調ですね〜。」と。別に深い意味があるわけではないと思いますが、「”今のところ”ってどういう意味!?」と思わず突っ込み入れそうになりました。
でも私は若い先生には対しては遠慮深いため(笑)、「なぜCT?」「”今のところ”ってどうーゆー意味?」なんて言いません。何も質問せずさっさと3分もかからず診察室を出てきました。

しかし私は実はとっても心配性な人間なのです。(って以前も言ってるかもしれませんが)
検診中はさっさと済ますことしか考えていないものの、正直言うとしばらくモヤモヤしていました。
普通は術後の時間が経てば、再発リスクも低くなりそうなものですが、かえって検査が増えているのは、もしや私のガンタイプはのんびりタイプだからなのか?でものんびりタイプなら、手術で取りきれる訳だから、心配しなくてもいいはずetc.etc…確か以前、原発は早く見つけた方がいいけれど、再発は早く見つけても意味はない、ってどこかで読んだはず。
いや、でもそうだ!オプシーボとか、新しい治療法が次々生まれてるから、再発を早く見つけることに意味が出てきたのかもしれません。
と、しばらくモヤモヤしていた私ですが、考えても仕方ないので、さっさと忘れて、ついでにブログをアップするのも忘れてました。
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DVD『空飛ぶタイヤ』『モリーズ・ゲーム』『ローズの秘密の頁』『タクシー運転手』

cinema
06 /06 2019
『空飛ぶタイヤ』(2018) 監督:本木克英
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死亡事故が起きた大型トラックの脱輪、その後のリコール隠しで世間を騒がせた実際の事件を下敷きにした池井戸潤の小説の映画化。トラックの脱輪事故で整備不良を疑われた運送会社社長が自社の無実を証明すべく、製造元の自動車会社がひた隠す不正を暴く闘いに挑む。
これは以前仲村トオル主演で、wowowドラマで見ました。映画版はお気に入り俳優❤️長瀬智也主演なので、これは見なくてはと思いつつ映画館で見そびれ、ようやく見ることができました。

改めて大企業というのはマンモスか恐竜のようで、小動物を踏み潰すことになんの良心の呵責はないんだなと感じました。
このドラマで一番のキーパーソンはディーン・フジオカなんですが、この人、頭が良くて社長にリコール隠しを直接実名で訴えます。同時に運送屋の親父の長瀬くんの対応を自分に任せてくれと1億円で黙らせようとします(我らが長瀬くんはそういう取引に応じないけど)。要するに長瀬くんとも会社とも取引して自分の立場を優位に運び、かつリコール隠しには加担しない(してるけど)という、ずるいヤツなんですね。
こういう時、会社は匿名の告発者(中村蒼)は犯人探しの後、左遷するも、実名の告発者(ディーン)は希望部署に栄転させます。とはいえ形だけの栄転で、実際には陰湿な扱いを受けます。
でもディーン様、もし自分のやりたい希望通りの仕事ができてたら、そのままリコール隠しに加担してたってことだよね?
結果的にはディーンはいいヤツキャラで終わりますが、私的にはどうもスッキリしないぞ!(ブツクサ)
長瀬くんが運送会社の社長役がぴったりです。そういえば私はいつの間にか、友人Kさんから「不憫萌えプラスデカ顔好き」ってことにされちゃってますが、確かに色白女顔のディーン様と並ぶと、長瀬くん顔が大きくて色が黒くてゴツくて、対象的ですね。

この映画を見ていて、某大企業と図らずもケンカするハメになった過去を思い出しました。詳細は言えませんが、時効ギリギリにとんでもないミスが偶然発覚。それを知った某大企業、腰は低いものの、なんとか我々を丸め込もうとするのです。短気な私がブチ切れ「この件はおたくの本社がある東京都に相談するから、もういいです!」と言った途端、それまでと打って変わって、店長と夫が休日に交渉してたのが、以降、本社の役員が揃って夫の留守の平日に訪ねてきての交渉となりました。どうもこの世間知らずに見えた妻が実際の交渉相手だと気が付いたみたい(笑)。やっぱ、主婦ってだけで日本のおじさま達はナメてるんだなと思いました。
その後、役所相手の様々な法的変更に某大企業はかなり奮闘してくれた様子なので、恨んではいません。しかし相手が信用ある大企業で自分たちは門外漢だと向こうにおまかせにしてたら、大企業は自分たちに有利に契約を結び直して、それで終わりにするつもりだったのだと分かりました。そして後から文句を言っても、おそらく虫ケラの言い分に耳を貸すほど、人が良くないのでしょう。私が忖度が苦手な性格なためセーフでしたが、素直な夫にまかせてたら大変だったわ。
しかしこの時、迷いました。何に?もちろん欲はありましたから、この件で慰謝料を払わせるべきか、いやミスのみを正してくれれば良しとすべきか?とんでもないミスなので慰謝料を請求しなさいとアドバイスくれる専門家もいましたが、結局ミスさえ直してくれて、今後の生活に支障がないようにしてくれれば、それで良しとしようと夫とも話し合って決めました。だって本当に偶然の指摘があって、時効ギリギリで知った訳だし、それだけでもラッキーと思えたから。
ではその無欲の見返りに何かご褒美があったかって?いや別に何もありません…。
肺がんになっても元気に暮らせてる。これで良しと思うことにします。

『モリーズ・ゲーム』 (2017) 監督 :アーロン・ソーキン
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「女神の見えざる手」「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャステインが主演。「ソーシャル・ネットワーク」の脚本家の初監督作。
トップアスリートからポーカールームの経営者へと転身した実在の女性モリー・ブルームの栄光と転落を描いたドラマ。
大学を首席で卒業、かつモーグルオリンピック候補のモリー。五輪選考会を事故で失敗し、心理学者にしてスパルタコーチの父から離れ、ハーバードロースクール入学前の1年間、ロスに行き仕事に着く。そこのボスの頼みでポーカーゲームのアシスタントを始める。彼女の才覚に嫉妬した経営者に首にされるも、その直後、独立してハリウッドスターや大金持ちたちを顧客に、巨額のポーカー賭博場を自分で経営。10年後違法賭博でFBIに逮捕、実話にはない黒人弁護士をキーマンに彼女の意外な素顔を描く。

これはWOWOWで観たのですが、解説者の小山薫堂も「女神の見えざる手」の前日談のようだと言っていましたが、まさにジェシカ・チャステインのキャラクターが「女神の見えざる手」と同じで、強くてたくましくて頭の回転が恐ろしくよくて鋼のメンタルの持ち主。大学を首席で卒業だけでもすごいのに、オリンピック候補のアスリートってどういう人!?アメリカにはよくこういう人が出てきますけど、人間ってなんて不公平にできてるんでしょうか?
でもギリギリの危うさもあるところがこのヒロインをより魅力的にしています。
強くてかっこいい女を演じたら右に出るものはないジェシカ・チャステインですが、今回気付いたのは、肉の薄いシャープな顔をしているのですが、顔と身体のイメージがアンバランスで、胸が大きい!

このヒロインの本当にすごいところは「矜持」とでも言ったらいいのでしょうか?
「仁義なき闘い」以前の日本のヤクザ映画では最重要だった価値観。リアルなヤクザにはないと思うけど、日本映画の中のヤクザには必須だったもの。
反対に考えると「お金こそが最上位に位置しているアメリカ社会」が前提にあり、だからマスコミに売れば大金になるネタを売られた側の身になって封印する、そこが優秀な弁護士であるイドリス・エルバの心を動かす要因になったのです。やっぱり国は変わっても義理と人情は大事です。
そしてそれ以上に感心したのは、何度でも立ち上がるゾンビ並みのたくましさ。女はこうでなくっちゃ!見習いたいもんです。

『ローズの秘密の頁』(2016)監督: ジム・シェリダン
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アイルランド西部。精神科医のスティーヴン・グリーン(エリック・バナ)は、取り壊されることになった聖マラキ病院の患者たちが転院するのに伴い、彼らの再診を行う。そこで自分が生んだ赤ん坊を殺したとして、約40年収容されているローズ・F・クリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)を診ることになる。

ローズの若い頃をルーニー・マーラ。「ドラゴン・タトゥーの女」の危ないお姉ちゃん、「キャロル」の可憐な娘。”透明感”という言葉がぴったりな好きな女優さんです。
でもこの映画、ルーニー・マーラは小柄な印象。普通、年取ると背が縮むのに、年取ってヴァネッサ・レッドグレーヴっていうのが、今、日々高齢者と関わっているせいか謎でした。(ちなみにルーニーは160cm、ヴァネッサは180cm)ヴァネッサ・レッドグレーヴ、年老いてザンバラ髪でもやはり知的な美しさをたたえています。
この二人の女優の表情と、若い頃のルーニー・マーラのレトロなドレスに目が釘付け。「キャロル」でもそうでしたが、もう30過ぎてるはずなのに、この人の透明な少女感は他のハリウッド女優には無い貴重さだと思います。
切なく、美しく、素敵な映画なんですけど、ローズの夫になるマイケル。一般的に見てイケメンではありません。太めで気のいいヤツって印象。私の恋愛解析脳が低脳すぎるせいか、ローズがなぜマイケルに惹かれ、神父のゴーントがなぜローズにそこまで執着するのか、それぞれ「いつ」そうなったのかよく分からず、恋愛部分に関しては「?」が残りますが、戦前のアイルランド、男の目を見て話していいのはその男の妻だけとか、海で女が泳ぐのは禁止とか、子を母から取り上げ、殺人犯に仕立て、精神病院に閉じ込めるのを教会ぐるみで出来ちゃう恐ろしさ。

エリック・バナ、久しぶりで見た気がします。
若い頃は「ハルク」や「トロイ」からデカくてマッチョな人という印象でしたが、とても優しげな顔をしています。途中でラストは読めますが、救いのあるラストでよかったです。

『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』 (2017) 監督 :チャン・フン
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1980年に韓国で起きた光州事件でのドイツ人記者と韓国人タクシー運転手の実話を、『JSA』『密偵』などのソン・ガンホらの出演で映画化したドラマ。光州へ取材に向かうドイツ人ジャーナリストと彼をタクシーに乗せた運転手とのやり取りを、コミカルかつシリアスに描く。(シネマトゥデイ)

6月4日は中国天安門事件の日でしたが、こちらはは1980年5月に韓国光州で起きた光州事件の実話を元に描いた作品です。
光州事件とは、5月17日の全斗煥らの軍事クーデターと金大中らの逮捕を契機に、5月18日に民主化を要求する学生デモが起き、その後市民も参加。デモ参加者は約20万人にまで増え、全羅南道一帯に拡がり、市民軍は武器庫を襲い銃撃戦の末に全羅南道道庁を占領したが、5月27日に大韓民国政府によって鎮圧された。〜という事件だそうです。
当初、暴徒を軍が制圧したとしか伝えられなかった事件を、ドイツ人ジャーナリストをソウルから乗せ、通行禁止の光州に入り、一緒に事件を体験し、その後無事彼を脱出させたタクシー運転手を主人公にしたドラマです。彼のフィルムが日本から全世界に配信され、初めて光州事件は大ニュースとして世界に知らされたのです。この時のタクシー運転手をドイツ人ジャーナリストはずっと再会を望み探していたのですが、実際の運転手はこの事件の4年後、肝硬変でなくなっていたそうです。

ソン・ガンホ主演、この人が出てくるだけで、どんな深刻な話もコミカルな様相を帯びますが、この映画もそうです。
男手一つで娘を育てていますが、大家の妻に溜まった家賃を払えと言われると、当の大家にお金を借りようとするなど、どこまでも図々しい人です。ソウルから光州まで長距離の乗客を乗せる話も、お金目当てで、他の運転手の仕事をズルして奪ったり、「韓国ほどいい国はない」が口癖で、ソウルでもあちこちで起きている学生デモを「親のスネかじってるくせに」と罵るキャラクターがユーモアたっぷりに紹介されます。
しかし通行禁止をなんとか破って、ジャーナリストと光州に入ってからは、ドラマが深刻さと迫力を増します。
地元光州のタクシー運転手との交流や、学生との交流はユーモアがあり、暴動の中、ギクシャクしていたジャーナリストとも心が通じ合っていきます。
軍の制圧の描写はかなり恐ろしく、自分の国の軍がこんな風に一般市民にためらわずに発砲できるものか?と怖くなります。韓国のマスコミもなんとか報道しようとしても上部から握りつぶされたり、これが’80年の実話というのが、改めて驚くのですが、時代に関係なく、独裁政権というのはたやすく暴君になれちゃうものなんでしょうか?
後半、私服軍人とカーチェイスとか、さすがにこの辺は実話ではないと思いますが、印象に残ったのは、山道も検問が敷かれ、車のトランクに証拠を見つけた軍人が見逃してくれるシーンです。軍人だって自国民に銃を向けたくない、外部に知らせたいと思ったのでしょうか?これも実話ではないと思いますが。
図々しくお金目当てだったソン・ガンホが光州事件を目の当たりにし、真実を世界に知らせたいと変化していくところが見所です。
この映画を見て、天安門事件もいつか自分の国の作家によって、描かれる日が来るのだろうか?と思いました。

tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。