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『ブラック・クランズマン』監督:スパイク・リー

cinema
03 /27 2019
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アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスの警察署に、初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、捜査のために電話で白人至上主義団体KKKのメンバー募集に応募する。黒人であることを隠して差別発言をまくし立てた彼は、入会のための面接に進み、彼の代わりに白人の同僚刑事フリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)が面接に向かう。(シネマトゥデイ)

『グリーン・ブック』が1960年代初頭、こちらは1970年代末、さらにこの映画は最後に現代(2017年)の現実のフィルムが流れるのですが、『グリーンブック』から50年以上経った現代でも人種差別が過去のものでないことが分かります。レイシズム=人種差別のなんという根深さ。
とはいえ、映画自体は深刻な映画ではなくエンタメとして非常に面白い映画です。
黒人刑事ロンと白人(ユダヤ人)刑事フリップのコンビがいわゆる相棒映画としても楽しく、潜入した黒人集会で知り合う女子学生とのロマンスやら、KKKメンバーのあまりの人材不足(アホだらけ)は笑えるし、潜入捜査のサスペンスもあり、後半KKKの集会と同時に黒人集会を交互に見せるたたみ込むような場面構成といい、娯楽映画として特級品。
しかし冒頭に「国民の創世」という南北戦争の映画を持ってきて、最後に現代の白人至上主義者集会の現実のフィルムで終わる。
「グリーンブック」が気持ちの良い余韻とともに映画館を出てこられたのに比べ、ズシンと重い気分で映画館を後にしました。

後半の黒人学生主催の集会で、一人の老人が実際に見た1917年に起きた黒人少年のリンチ殺人事件を語ります。無残な殺され方をしたその事件の起因になったのは「国民の創世」というその前年大ヒットした映画の影響であると語られます。
この映画の果たす影響が語られた部分が印象に残りました。
それはこの映画でも十分計算されていて、前半に出てくるクワメ・トゥーレという黒人活動家の演説が素晴らしく、聞いている黄色人種の私まで「ブラックパワー」と拳を振りたくなるのに対し、KKKは徹底的にアホな人々としてコケにされ、思わず笑ってしまうのですが、KKK指導者デュークの「アメリカファースト!」には思わずギョッとしました。え?これってKKKのキャッチフレーズだったの?と。そしてKKKのキャッチコピーを使う人が現大統領なのか……とガックリきました。なんだかスパイク・リーの作戦にしっかり乗せられてしまったようです。

個人的に私が好きな場面は黒人集会潜入時に知り合った女子学生パトリスと行くディスコシーン。懐かしくも楽しいシーンです。
それから主演のジョン・デヴィッド・ワシントンはデンゼル・ワシントンの息子だそう。お父さんの方が100倍イケメンですが、とぼけたいい味出してます。相棒フリップは売れっ子アダム・ドライバー。テリー・ギリアム!の新作に出てるらしい。気になる〜♪
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『グリーンブック』 監督:ピーター・ファレリー

cinema
03 /21 2019
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映画と全く関係ありませんが、今、個人的に色々忙しく、見方を変えると充実していると言ってもいい今日この頃。しか〜し、そんな中ここ1週間ほど、なんとも憂鬱な気分が晴れません。
その理由は「ピエール瀧が逮捕されちゃったから!!!」
そのことを思い出すたびにため息が出ます。ふ〜。

ま、それは置いといて。
2019年アカデミー作品賞を受賞した映画『グリーンブック』
いい映画を見たなぁと、とってもいい気持ちになる作品。
人と人が出会い、偏見を捨てていき、友情が芽生え、お互いへの尊敬と信頼が育まれてゆく、その過程をいくつものエピソードを重ねて見せて行く物語。
映画はまずトニー・バレロンガ、通称トニー・リップの人となりを描写。ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるトニーは、イタリア系アメリカ人で、ガサツで無教養、腕っぷしが強く、黒人を黒ナスと呼ぶ差別主義者。愛妻家で子供らと親族、仲間たちに囲まれた賑やかな生活。
対する黒人ピアニストのドクター・ドン・シャーリーは9歳でレニングラード音楽院に留学、作曲家だけでなく、音楽、心理学、典礼芸術の3つの博士号を持っている洗練されたインテリ。住まいはカーネギーホールの上の高級アパートに一人住まい。
1960年初めのアメリカ南部にはまだ黒人を差別する法律があり、改めて人種差別というものの摩訶不思議が(言い方は妙ですが)この映画の見所と言えます。
地元の上流階級の家庭に招かれ、芸術家としてうやうやしく扱われる反面、トイレを借りようとしたら、外の掘っ立て小屋しか使えなかったり。ホテルも黒人専用しか泊まれなかったり、一人街の酒場に飲みに行けば、理由なくボコボコにされたり、夜黒人の外出を禁止している州では有無を言わせず拘留されたり。今からそのレストランで演奏するにも関わらず、そこでは食事できなかったり。

酒場の酔っ払いや警官はわかりやすい黒人差別なのですが、ドン・シャーリーを慇懃に扱いながら、トイレを使わせない主人や、食事をさせないレストランの支配人を見ると、口調は丁寧ながら必死なんですね。トイレを使わせたら何がどうなるというのか?
その時代の空気というものは、後から考えるとどんなにヘンテコでも、その時代に生きる人々には死守すべき信仰のようなものなんでしょうか?こうなると一概にひどい!と彼らを怒るだけでなく、一体どういう心理なのか不思議に思いました。
またドン・シャーリーは当時の世相の中では非常に特殊な地位にあり、黒人の生活を知らず、と言ってその肌の色から世間では差別される。さらにゲイでもある彼は黒人にも白人にも属せず、一般の黒人よりはるかに孤独な存在。だからトニーと徐々にお互いを認め信頼で結ばれ、さらにハッピーエンドのラストは憂鬱も吹き飛ぶ気持ちの良いエンディング。

ドン・シャーリーに「ムーンライト」ではヤクの売人だったマハーシャラ・アリ。スレンダーで長身、スーツがよく似合ってます。ピアノの鍵盤を奏でる長い指も優雅です。
そしてトニー・バレロンガはヴィゴ・モーテンセン。この映画、予告で見たとき、ヴィゴ・モーテンセンだと気がつきませんでした。ヴィゴといえば、北欧系で色素薄い系、どちらかというと詩人とかヒッピーとか、内面的で芸術家肌なイメージがあったし、何と言っても「ロード・オブ・ザ・リング」の超かっこいいアラゴルンですよ!それが太鼓っ腹の粗野なイタ公(差別じゃん!)ですよ!あまりにもイメージ違う。この役を彼に振るセンスにバンサイ。なんでアカデミー主演男優賞を取れなかったのか?すごく疑問です。
そして監督はあのお下品爆笑映画「メリーに首ったけ」や「愛しのローズマリー」のピーター・ファレリー。
実はこの2つとも大好きです(笑)「愛しのローズマリー」はある意味、外見への偏見を扱った深い映画だったのかも?

今の時代の”当たり前”も後世になって見ると、おかしなことが色々あるのだろうと思います。
きっと出演者が逮捕されたからといって、公開中止とか販売&配信停止とか、絶対おかしい!
ピエールさん、はよ更生してまた元気な顔を見せてほしい。

東京バレエ団 「海賊」  東京文化会館

theater
03 /19 2019
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先週の週末、上野駅前の東京文化会館で、東京バレエ団の公演「海賊」を観てきました。
「海賊」は東京バレエ団は初演だそうです。
大変な混み方で、老若男女、いかにもバレエを習っているお子さんづれも多く、バレエ人気を目の当たりにした想いです。
今までの公演でも書いたように、正直、私にはこの音楽劇とかバレエとかの見方が分からず、完全に豚に真珠、猫に小判で大変申し訳なく感じていたのですが、今回初めてストーリーではなく、純粋に踊りを見てバレエの面白さが少しだけ分かったような気がします。
人間ドラマが好きな私には、バレエのストーリーは意味不明かつ王子ダメダメキャラとツッコミどころ満載だな〜というひどい鑑賞者だったのですが、今回は素直に身体の動きの美しさを見出せた気がします。
海賊は元のストーリーはとても暗い悲劇なのですが、これをハッピーエンドの明るい筋立てにし、軽妙な動きやパドゥドゥという男女ペアの踊りやコール・ド・バレエという群舞、東京バレエ団はこの群舞が得意で有名なんだそうですが、その美しさや華やかさも楽しみました。跳躍の高さや回転の正確さなど、純粋に人体の動きに驚かされ感動しました。
バレエの男性は王子役は身長の高い人と決まっているらしく、小柄で身の軽そうな男性はユニークなキャラクターの役が多いようです。今回誰よりも拍手が多かったのは、主演の二人ではなく、小柄で痩せた男性で、跳躍といいアクロバティックな動きといい、会場からどよめきが聞こえました。素人目にも「わっすご〜い」という踊りを見せてくれました。
タダで見せてもらって、幕間に軽食やらワインやらご馳走になって、こんな感想もどうかと思いますが、バレエというものは自然に反した究極の人体美を追求、かつ重力に反する筋力を追求した芸術だなと思いました。

『マイ・ブックショップ』監督:イザベル・コイシェ

cinema
03 /13 2019
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イギリスのブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの小説を映画化。田舎町で亡き夫との念願だった書店を開業しようとするヒロインを描く。
1959年イギリスの海辺の田舎町。戦争未亡人の主人公(エミリー・モティマー)がオールドハウスと呼ばれる空き家を買取り、念願の町で唯一の書店を開きます。

ネタバレあり
美しい風景を背景に、夢を叶えた女性を描いた物語と思って見ていたら、意外と甘くない映画でした。
ずっと空き家だったはずなのに、町の有力者ガマート婦人は彼女が買ったオールドハウスを芸術センターにしたいと執着し、様々な策謀をめぐらせ、彼女を窮地に追いやっていくのですが、夫人は本当に芸術センターにしたいのか?単に人のものがよく見え、欲しくなったようにも見えます。
「世の中には滅ぼす者と滅ばされる者がいる」のナレーションも言うように、それはじわじわと主人公を追い詰めていき、書店経営も難しくなっていきます。

40年間館に引きこもっていた老紳士(ビル・ナイ)との本を通じた交流や、店の手伝いに雇う賢い少女との関係などはとても心温まりますが、ガマート夫人以外にも銀行家や弁護士、町の人々も素朴ないい人ばかりではなく、理不尽な気分にもなります。
ドラマの中に出てくる本にはレイ・ブラッドベリのいくつかの作品、ナボコフの「ロリータ」などありますが、特にラストの少女の決断は「華氏451」が伏線になっているのかな?でもエピローグで、少女が彼女の勇気を引き継いで成長したことに救われます。

この映画は美しいイギリスの田舎の風景、美しい本の装丁、レトロな建築など、目にも楽しいのですが、何より目が釘付けになったのは女性たちの衣装です。めっちゃ可愛い!レトロでクラシックなワンピースやブラウス。あ、紳士服もよござんす。ビル・ナイ、素敵なじい様でした。
ヒロインはどこかで見たなぁと思ったら、友人が「ラースと、その彼女」のライアン・ゴズリングの心優しい兄嫁だよ、と教えてくれました。理知的だけど、とってもキュートで人の良さげな顔した女優さんです。

ナボコフの「ロリータ」有名ですけど、ロリコンの語源になったことしか知りません。この映画見て読みたくなりました。

『否定と肯定』『レディ・プレイヤー1』『狐狼の血』他

cinema
03 /04 2019
『否定と肯定』(2016)監督:ミック・ジャクソン
 Denial

ナチスドイツによるホロコーストをめぐり、欧米で論争を巻き起こした裁判を基に描かれた法廷劇。
1994年、ホロコーストを否定するイギリスの人歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)はユダヤ人の女性歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)を名誉毀損(きそん)で提訴する。

何が否定or肯定されているのか?
それは「戦争中のユダヤ人大虐殺はなかった、ガス室はシラミを退治する為だった」という歴史学者がいて、彼の説を非難したユダヤ人女性学者を名誉毀損で訴えた’90年代の実話を元にしたドラマ。驚くのはイギリスの裁判のしくみ。訴えられた被告がそれを証明しなければいけないのです。

しかし当然と思っている歴史を証明するというのは案外難しいものなのだなと思わされます。狡猾な彼に翻弄される裁判劇は弁護団の方針と主人公リップシュタットとの食い違いもあり、見ていて全く退屈しません。
”重要なのは裁判に勝つこと”冷徹とも思える弁護団の方針に対し、リップシュタットは感情的で、ユダヤ人生存者の証言を求めますが、弁護団は一切それらの証言を排除します。その理由も納得でき、裁判が情緒ではなく理論と作戦で戦うというシビアさが伝わります。
対して最近の(日本の)裁判員裁判は情緒的に重罰に傾きやすいのではないか?という疑問も出てきたり…、反対に裁判といえども所詮は人間の営みなわけで、感情をどこまで配して決着をつけるのが正しいのか?色々考えさせられます。
ほぼ全編、裁判所か弁護士事務所内の室内劇なためか、検証場面に出てくるアウシュビッツの寒々しい風景が印象的です。いわゆるドラマチックなどんでん返しも、情緒に訴えるユダヤ人証言の一つもない、さらに陪審員ではなく判事一人に結論を委ねる判決なため、いわゆる裁判劇に期待するドラマチックな定番要素がほとんどないにも関わらず、目を離せない展開で、映画としても面白いです。最後に残るのは人間の持つ恐ろしさと信頼することの難しさと大切さ。
見終えてから、アーヴィングがなぜこれほど差別主義者(ユダヤだけでなく、黒人、女性差別も)になったのか?彼の側のドラマを見てみたい気がしました。
次の『レディ・プレイヤー1』は対照的なCGのゲーム世界を描いた作品ですが、監督スピルバーグの名前もこの映画に出てきます。
主人公にはイギリスきっての大弁護団がつき、当然その費用も莫大と思われますが、多くのユダヤ人富豪が裁判費用を出したことは想像に難くなく、その中にスピルバーグが大金を寄付した話が出てくるためです。

『レディ・プレイヤー1』(2018)監督:スティーヴン・スピルバーグ
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上の裁判劇とは対照的な仮想ネットワークシステムの謎を探る高校生の活躍を描くSFアドベンチャー。2045年を舞台に、仮想ネットワークシステム「オアシス」開発者の遺産争奪戦を描く。
TVゲームは子供もしないので、よく分からないのですが、CGの発達にはびっくりです。
めまいのしそうな画面の連続でしたが、お話はいたって単純。最後は予想通り、「大切なのは現実(リアル)」ってオチで、「んなことあったりまえ」とおばさんなどは思うのですが、毎日こんなすごい世界でリアルな体感ゲームしてたら、現実はどうでもよくなる若者が続出してもしたかないと思われます。
一番笑ったのは「シャイニング」のパロディシーン。他にも映画や日本製アニメのキャラクターがいろいろ出てきて、元ネタが分かればさらに楽しめます。
それよりも気になったのは、この映画は2045年設定なのですが、鉄骨を組み立てた街にトレーラーハウスが積み上げられた風景。主人公の住む貧民街のデザインです。町山智浩さんの著書にSF映画の世界観はそれが作られた時代の空気を背景にしているとありましたが、だいたい近未来SFって貧富の差が激しくてスラム化し荒廃した街が舞台になっていませんか?
もっとエコで平和でのどかな未来図ってないのかしら?

『オレの獲物はビンラディン』(2016)監督:ラリー・チャールズ
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神の啓示を受け、たった一人でオサマ・ビンラディン捕獲に挑み、2010年にパキスタン当局に拘束されたアメリカ人男性の実話に基づくコメディー。
ニコラス・ケイジが太っちゃって最初誰だか分かりませんでした。
お金なし、家なし、人工透析が必要な変人オヤジが神の啓示を受け、透析の医師に嘘ついてお金を借り、最初ヨットでパキスタンに渡ろうとして失敗、次にイスラエルからパラグライダーでパキスタンまで飛んで行こうとするも当然ムリ。結局日本刀持って飛行機で渡り、倒れているところをパキスタン政府に拘束される。
ともかくおバカな変人ですが、なぜか優しい友人や医師やガールフレンドに恵まれ、最後はなんとなくハッピーエンド。
ともかくけたたましくておバカな人で、あまりの台詞の多さに感想としては「ニコラス・ケイジ、ご苦労様でした」と言う感じ。

ボン・ボヤージュ〜家族旅行は大暴走〜(2016) 監督:ニコラ・ブナム
 bon voyage
新車でバカンスに出掛けたものの、ブレーキが制御できなくなりハイウェイを猛スピードで暴走する羽目になった家族の姿。自動車内を舞台にした密室コメディー。
精神科医で臨月の妻と、美容整形医の夫、二人の子供と夫の父、サービスエリアで乗せた若い娘の6人が乗った新車の自動制御装置が160キロのまま壊れ、ブレーキも効かなくなり、高速を暴走するドタバタコメディ。ほぼ全編ドタバタ&カーチェイス。さすがフランスと思うのは夫の父の老人がこの10年で30人の女性に振られ続けてもまだ女性に対する興味を失わないところ。それにしてもフランスの車といえば、ゴーンさんがらみのニュースで取りざたされるルノーくらいしか思いつかないけれど、この映画どう考えてもフランス製の車は危ないって印象が残ります(笑)
最近のフランス映画は分かりやすくて万人ウケするハリウッド路線が増えた気がします。長らくフランス映画は作家性の強いイメージでしたが、私にとってフランス映画といえば、フランソワ・トリュフォー監督作品と、他にはやっぱりアラン・ドロンぐらい。私的フランス映画究極の1本、いえ2本は「大人はわかってくれない」と「太陽がいっぱい」かな。年がバレますね(笑)

『孤狼の血 』(2017) 監督:白石和彌
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ヒエ〜、出だしから思わず目を背けるシーンの連続。よっぽど止めとこうかと思いつつ、評価が高いので我慢して見続けました(もはや苦行?) 結論から言うと、すごく面白かった!見てよかったです。
昭和の終わりから平成元年にかけて、暴対法施行以前の広島県を舞台にした凄まじい暴力団抗争&ヤクザより怖い刑事のドラマ。ヤクザな刑事、大上に役所広司、新人刑事、日岡に松坂桃李。
見終えた感想は意外にも「平和というのは綱渡りの上の努力の連続なんだなぁ〜」というカタギな感想。
この原作者って女性なんです。こんな血みどろバイオレンス暴力団小説書いたのが、まだ若い美人作家なことにびっくりしたのですが、例えば…
あまりの違法捜査に「法に沿って暴力団を撲滅すべき」と抗議する日岡に大上が言うセリフ。
「正義とはなんだ?極道を法律で縛ったら、バッジ外して背広着て、堅気と区別のつかん姿になるだけ。」
オレオレ詐欺等、今時の犯罪を考えると確かにそうなりました。
また全面戦争になりそうな時、組の幹部に言うセリフ。
「戦争になって死ぬのは若いもんだ。奴らの命守るんがあんたの役目」等々。
もしかしたら、こういうところが女性の目線な気がします。男の言ういわゆる「正義」の持つ単細胞さを否定しているところに好感が持てました。
新人刑事日岡(松坂桃李)は実は県警から言われて大上をスパイしているのですが、その裏には県警のしょうもない思惑があったり、伏線もちゃんと回収されてます。
最初どうしようもない悪徳刑事に見えた大上がギリギリの綱渡りをしながらカタギを守っていることに感動します。そして頭でっかちだった松坂桃李の新人刑事の成長物語にもなっています。

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映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。