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『バリーターク』  演出:白井晃  世田谷パブリックシアター(シアタートラム)

theater
05 /21 2018

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アイルランドの劇作家・脚本家エンダ・ウォルシュによる戯曲『バリーターク』を、白井晃演出により日本初演
出演:草彅剛、松尾諭、小林勝也
ストーリー
広い部屋に2人の男がいる。
彼らは目覚まし時計の音で起き、
80’sの音楽を聞きながら、部屋をかけまわって着替えて食べて踊ってフィットネスをして、
バリータークという村の話を語る。
ふたりはだれか。
どこにいるのか。
そして壁の向こうには何があるのか?

三軒茶屋の250席ほどの小さなホール。前から4列目真ん中の席なので、役者の息遣いが聞こえるようなお芝居でした。
草彅くん目当てなのか?平日昼のためか、観客は9割方女性でしたが、劇の内容は、全然わけが分かりませんでした。
でも退屈では全くなくて、笑ってしまうところもあり、ラストは意味不明ながらも不思議な感動がありました。
人生は日々のルーティンワークの連続だけれど、「死」が見えてきて初めて「生」を強く感じる、とざっくり言ってしまうと、なんだか全然違う気もするのですが、私はそんな風に感じました。

二人が話題にするバリータークという村。彼らは話しながらいろんな村の人物を演じるのは、何を示しているのでしょう?
家族なら母とか妻とか娘とか、仕事での役割もある。人生とはそんな役割を演じることを表しているのか?
しかし閉ざされた部屋の中で草彅くんがヘッドギアを付けていて、時々発作を起こすあたりは、舞台が精神病院のようにも思えたり、う〜ん分からん。
でもそんな意味を考えなくても、二人が激しい動きで本当にゼーゼー言っているのを見ているだけでも面白かったです(笑)

ところでついに犬の訪問介護を頼むことになりました。
どこまで続く介護生活。こうなってくると、かえって強欲なまでに時間を作って遊んでしまう私。
介護というルーティンワークは人生のスパイスなのか?その見返りにお金がどんどん飛んでいく〜。
(あ、犬の介護費用は飼い主である親に負担してもらいます(;^ω^)

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『ドライヴ』 『ナイスガイズ! 』『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』『僕と世界の方程式』 DVD鑑賞 

cinema
05 /17 2018
全て WOWOWで録画、1時間ずつ細切れに見るという映画に申し訳ない見方ですが、一応メモっておきます。

『ドライヴ』 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
『ナイスガイズ! 』 監督:シェーン・ブラック
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』 監督:ティム・バートン
『僕と世界の方程式』 監督:モーガン・マシューズ


『ドライヴ』 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
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スタントマンと逃がし屋の二つの顔を持つドライバーの姿をクールに描き、欧米の評論家の称賛を浴びたクライム・サスペンス。昼と夜では別の世界に生きる孤独な男が、ある女性への愛のために危険な抗争へと突き進んでいく。メガホンを取ったデンマーク人監督ニコラス・ウィンディング・レフンは、本作で第64回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。(シネマトゥディ)

ライアン・ゴズリング君が昼は車の修理工&カースタントマン、夜は強盗の逃し屋として働くドライバーを演じています。静かな微笑みをたたえつつ、何を考えてるのか分からないクールで謎めいた男。そんな中に繊細さが漂うところがゴズリングの一番魅力的なところ。
アパートの隣人で子持ちの女性、キャリー・マリガンに恋します。彼女の幼い息子にも慕われ、いい雰囲気に。
昼間、彼女と息子を乗せて走るドライヴは夜の顔と全く違う、明るい光に包まれた和やかさがとても印象的。
やがてキャリーの夫が出所、刑務所で作った借金のために再び犯罪に巻き込まれるのですが、彼が拒めば家族も犠牲になることを知り、ゴズリング君、彼女を守るために逃し屋として協力するも、やがてこの犯罪はとんでもない様相を呈します。
マフィアの裏金に手を出すという、命じた地元ヤクザもなり行きにビビり、関係者一同殺し合いの後半。

この映画、前半は光&音楽が凝っていて、おしゃれな雰囲気だったのですが、後半一転します。
ゴズリング、実はとんでもない過去を抱えていると思われる戦闘能力です。
キャリー・マリガンとの唯一のラブシーンのエレベーター内のキスの直後、そのエレベーターに同乗している殺し屋との戦いでバイオレンス炸裂。キャリー・マリガンと共に見ているこちらもドン引きしました。
あとはもう血みどろの戦い。普通のアクション映画とは違って、バイオレンス描写が独特な残酷さです。これはR15だわ、引いたわ〜。
最後の黒幕と戦う前に、彼女に「もう帰れないところに行くけれど、君や息子と過ごした時が一番幸せだった」と電話します。
他の人たちはみんな役名があるのに、ゴズリングだけ「ドライバー」とだけ呼ばれていて、名前がない。そんなところも「ブレードランナー2049」に通じる、どこかこの世界に居場所のない切なさを感じます。こういう切なさがよく似合っています、ゴズリング君。

印象としては、純愛➕バイオレンス映画です。
照明がかっこよくて、全体にスタイリッシュ。逃し屋の仕事ぶりもスピードやカーアクションだけじゃなく、暗闇に隠れてパトカーをやり過ごしたり、頭脳的で面白い。
キャリー・マリガンが日本人から見てもすごい童顔で小柄な印象。アングロサクソンもついにネオテニー進化か?(違)
でもアメリカ女優のベビーフェイスとはどこか違う、凛とした空気感のある女優さんです。「華麗なるギャッツビー」でもディカプリオの純愛の対象でしたっけ。「わたしを離さないで」のヒロインも印象的だった好きな女優です。
主演の2人がとても良かったです。

『ナイスガイズ! 』 監督:シェーン・ブラック
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同じくライアン・ゴズリングがラッセル・クロウと組んだ’77年を舞台にしたコメディタッチのバディ(相棒)映画。
70年代色が懐かしい。車、音楽、ポルノ、大気汚染と当時の世相を反映。全体に荒っぽいアクションも、13歳の女の子が車を運転しているのも、主人公が酒浸りなのも、70年代らしいちゃらしい…のか?(笑)
『ドライヴ』と正反対の妻に先立たれたへなちょこで情けない私立探偵をゴズリング。「グラディエーター」の肉体はいずこ?のブヨブヨなラッセル・クロウ。ひょんなことから2人は組んでポルノ女優殺人事件&司法庁長官の娘アメリアを探るうちに、自動車業界と結託した国家の陰謀にぶつかる。国家がここまで自主制作映画の連中を殺すか?という疑問はおいといて、その辺の乱暴すぎるドンパチも70年代風。ゴズリングのしっかり者の娘がかわいい。
酔っ払って居眠り運転中、車が完全自動運転になる幻想、最後の長官(キム・ベイジンガー)の3大自動車産業が潰れたらアメリカ経済は終わりという話、近いうちに日本の電気自動車に取って代わられるというセリフ。その後の経済史を示唆します。

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』 監督:ティム・バートン
Miss Peregrine

ティム・バートンワールド全開のファンタジー。
映像、キャラクター造形、ストーリー、すべてがティム・バートンの世界観。(原作ありだけど)
ティム・バートンの世界観といえば、世界から疎外された、この世界に生きづらい子どもたちを繰り返し描いている。『奇妙』で『異様』で『迫害された』子どもたち。
でもこの映画ではそういった子どもたちにも安全に暮らせる世界があって、同じ一日を繰り返す閉ざされた世界に住んでいる。
その世界を壊しにやってくるモンスターたちと戦う物語。
「ハリーポッター」もそうだが、異界のものたちが世界の覇権を争うのは、結局ファンタジーも人間が作った物語だからだろう。
少年にきっかけを与えるおじいさん役がテレンス・スタンプ。
若い頃は女を蝶のように捉える変態役(コレクター)で一躍有名に、中年ではドラッグ・クイーン(プリシラ)、老年でついに普通のおじいちゃん(全然普通じゃないけど)。優しいおじいちゃん役が似合ってました。

『僕と世界の方程式』 監督:モーガン・マシューズ
A Brilliant Young Mind

偶然にも上の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の主演のエイサ・バターフィールドがこちらでも主演ネイサン役でした。お母さんはサリー・ホーキンス。自閉症スペクトラムと診断されながらも人並み外れた数学の才能を持つ少年が、国際数学オリンピックを目指す中で成長を遂げていく物語。
英国16人に選ばれ、世界各国の数学の天才児と共に台湾で合宿。そこで組んだ中国の少女とほのかな初恋。
さらに6人に選ばれ、ケンブリッジの数学オリンピックに出場するも、まさかの展開。
しかし人間としてのネイサンの成長を見せてハッピーエンド。
事故で亡くなったネイサンの父親は常にユーモアを忘れず、理想の父像を見せてくれます。
母親と多発性硬化症を病む数学教師との淡い恋模様も印象深い。

劇中に出される問題は何を言っているのか全く訳がわからない。
数学といっても我々が普通に学校で習ったものとは全然違って、文章で出される問題を徹底的に論理的に証明するものらしい。一つの問題の時間制限が4時間半!
オリンピックの引率者の教師が言うセリフ。
「数学はそのセンスのない人には絶対理解できない美しさがある。etc」
数学者は数式や数字を「美しい」と表現しますが、こればっかりは特殊な才能のある人にしか見ることのできない風景なんでしょう。美術や音楽なら才能なくても「美しい」と共感できるでしょうが、数学の美しさ、これは本当に選ばれしものにしか到達できない世界なんですね。
興味深かったのはネイサンは仲間が合宿所でピアノを引いてる隣で初めてピアノを引くのですが、すぐに同じメロディを奏でるのです。数学の才能と音楽の才能はどこかで繋がっているのかな?すると悲しいかな、私が小学校の算数でつまづき、音痴なのも納得です。

『君の名前で僕を呼んで』 監督:ルカ・グァダニーノ

cinema
05 /10 2018
call me

北イタリアの避暑地を舞台に、男性同士のひと夏のエピソードを描いたラブストーリー。アンドレ・アシマンの小説を基に、17歳の少年が大学教授の父親に招かれた大学院生と出会い、惹(ひ)かれ合うさまをつづる。(シネマトゥディ)

今年のアカデミー脚色賞を受賞した『君の名前で僕を呼んで』 を毎度おなじみディズニー隣のシネコンで見ました。
脚本は『眺めのいい部屋』『モーリス』『日の名残り』の監督、ジェームズ・アイヴォリー、御年90歳!
感想は「美しい!」「みずみずしい!」につきます。
男同士と言ってもゲイっていう印象は正直なかったです。
ただ正直に言ってしまうと、恋愛映画に関してはベタベタの手垢のついた表現でないと私は読み解けないところがありまして、二人がいつ恋に落ちたのか、さっぱり解らなかったです。後半オリヴァーの告白からすると、どうも年上のオリヴァーの方が若いエリオに一目惚れだったみたいで、17歳のエリオの片思いから始まる恋愛だと思っていたので、「へ〜?」と意外でした。

それよりも、なんですか!この暮らし?この場所?
もう天国ですよ。天国♪
素敵な家、広い庭には果樹園まであって、おいしそうなプラムや杏がたわわになってて、青い湖で泳いだり、サイクリングしたり。エリオの奏でる美しいピアノの音色。
料理上手なお手伝いさんや、家族と仲の良い使用人がいて、恋する二人よりも、
私はエリオのママが羨ましいぞ!!
エリオのパパは大学教授で、考古学だったかな?大学教授ってこんないい暮らしをしてるのか〜!?
もうともかくここの風景、家、料理、どれもスンバラシイ。恋愛よりもここの暮らしの方に心を奪われてしまった私です。

ところで「君の名前で僕を呼んで」ってどういう意味かと思ったら、文字通りなんです。
エリオがオリヴァーに「エリオ」と呼び、オリヴァーがエリオに「オリヴァー」と自分の名前で相手を呼びながら愛し合うのですが、これの意味するところは何なんでしょうか?
相手が自分にとって理想像で、相手になりたいってこと?自分と相手の区別もつかないくらい一体化したいってこと?
確かにこれを男と女でやるのは無理があります。同性同士だからできるのですね。
正直、この意味はよく分かりませんでしたが、人が人に恋する切なさ、その切なさは十分伝わりました。
思わず花のない自分の初恋を思い出してしまったほど。そして友人にその相手が佐藤二朗みたいな人だったと言って、バカにされてしまったわ。わたし的にはジャストマイタイプだったんですけど(笑)

エリオ役ティモテ・シャラメ君。細っこくてかわいい。この撮影時20歳過ぎてますが、10代に見えます。
オリヴァー役アーミー・ハマー。この人はディカプリオの「J・エドガー」でもディカプリオのゲイの相手役だったっけ。「ソーシャル・ネットワーク」ではお金持ちのボンボンにして、ボート選手の双子役。
アングロサクソン代表みたいな印象があって、身長190はありそう。まっすぐの長〜い脚、金髪、碧眼。ケチのつけようのないハンサムなんですけど、どこかマネキンとかアンドロイドみたいで、人間離れしてる印象です。私がアジア人すぎるせいかもしれませんが。

エリオの父は二人の関係に気づきますが、怒るどころか、彼の初恋を祝福します。
文化人とはいえ、なかなかこんな理解のあるお父さんっているでしょうか?
切なくも幸せな美しい17歳の少年の恋。

見終えた後、やっぱり気分はイタリアンと、イタリアンレストランでランチしました。
話の内容はほぼあの暮らしが超羨ましいってこと。
悲しいかな、花より団子のおばちゃんたちです。

読書メモ 小説(『イノセント・デイズ』、『孤島の祈り』、『猿の見る夢』)

book
05 /08 2018
『イノセント・デイズ』 早見 和真 :著 
『孤島の祈り』 イザベル・オティシェ :著
『猿の見る夢』 桐野夏生 :著


『イノセント・デイズ』 早見 和真 :著
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田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。(「BOOK」データベースより)

どうもこのヒロインが私には個人的にそれほど魅力的とは思えず、彼女の「誰かに必要とされたい」と思う気持ちは分かりますが、だからと言ってこんなダメンズ恋人に振られて世をはかなむ必要あるのか?と思ってしまうのは、私が恋愛に疎いおばちゃんだからなのか? 「ガール・オン・ザ・トレイン」のヒロインもそうでしたが、男の数は35億5千万!(by ブルゾンちえみ)
おまけにラスト、そんなぁー!?という後味の悪さ。
ミステリーとしてはあまり感心しませんでした。
しかし冤罪物として読むと非常に怖いものがあります。


『孤島の祈り』 イザベル・オティシェ :著
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冒険に繰り出した、楽天的なリュドヴィックと慎重派のルイーズ。南極近くの無人島の美しい絶景は若い夫婦を魅了した。突然の嵐が、彼らの船と希望を奪い去るまでは―。ペンギンを捕獲して腹を満たす極限の生活が、人間の身体と心を蝕む。ふたりは、お互いの信頼の絆を失っていく…。女性で初めてレースにおける単独ヨット世界一周を果たした冒険家が描く、驚異のサバイバル小説。(「BOOK」データベースより)

サバイバル小説は吉村 昭の「漂流」くらいしか読んだことがありませんが、同じように生き延びるための食料確保などサバイバル描写はあるものの、「漂流」と決定的に印象が違うのは、極限状態の心理の変化に重点が置かれている点です。
三人称で書かれているものの、楽天家で高身長ハンサムな夫と小柄で地味でクライミングが趣味の慎重派の妻の二人のうち、完全に妻ルイーズよりの目線で書かれています。
そもそもの船を失ったきっかけも夫の自然に対する甘さにありますし、沖に船を見つけた時の二人の対応が対照的です。
妻は大切に使っているガソリンを海岸で焚き火を起こし救助信号に使おうとするのに対し、夫はゴムボートのエンジンに使い、いきなり沖の船を追いかけようとします。そのガソリンの取り合いで突き飛ばされた妻は夫に強い憎しみを覚えます。
とはいえ、その後も二人はなんとか二人でこの状況を生き延びようと奮闘努力を重ね、かって捕鯨船の基地だった島に残るボロボロの船を直そうとしたり、二人して共同作業することで生への希望と2人の関係をなんとか保とうと努力します。
しかしついに夫は生への執着を失い、妻は夫を捨てる覚悟を決めます。
生き残りをかけて争いになるわけではなく、生き残り戦略に関する二人の性格の違い、そして最終的に生を諦めない強さの差。楽天家だった夫の方が精神的にもろいというのもリアルに思えます。

そして後半、ルイーズが文明社会に戻ってきてからの心理。
懺悔の念や真実を誰にも言えない苦しみ、そして胸を締め付けられるのは亡くしたものへの愛。これは”いわゆる”サバイバル小説というより、人間の極限状態における精神状態、それがとてもリアルで説得力があるのです。ヒロインはクライミングが趣味だけあって、普通の人よりも精神も肉体も辛抱強い。私だったら、ペンギン捕まえる段階でもうお手上げ(涙)
だから後半の助かってからの彼女がとても痛々しい。
ラストに希望を持たせる終わり方は良かったです。

昔々、「キリングフィールド」というカンボジア大虐殺を生き延びた実話を基にした映画がありました。極限状態の中にある主人公は常に信念と友情を忘れないのですが、見終えた後、友人が「何週間も漂流した漁船が助かったニュースで、漂流中、家族のことを考えていたのか?」とマスコミに聞かれた漁師は「全く考えなかった」と言ってた。だからこれは嘘くさい」と感想を言ったのです。
あらま、感動映画にシビアなコメントと思ったものですが、人間にはまず「生存」という土台があって、その上に「愛」が存在するのかもしれません。
作者は単独ヨットで世界一周をした初の女性で、科学調査や環境保全活動で活躍し、世界自然保護基金(WWF)フランス会長をしているといいます。いわゆる体育会系や自然保護派らしくない、人間の心理に対する洞察の深さを感じました。

『猿の見る夢』 桐野夏生 :著
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薄井正明、59歳。元大手銀行勤務で、出向先ではプチ・エリート生活を謳歌している。近く都内に二世帯住宅を建築予定で、十年来の愛人・美優樹との関係も良好。一方、最近は会長秘書の朝川真奈のことが気になって仕方ない。目下の悩みは社内での生き残りだが、そんな時、会長から社長のセクハラ問題を相談される。どちらにつくか、ここが人生の分かれ道―。帰宅した薄井を待っていたのは、妻が呼び寄せたという謎の占い師・長峰。この女が指し示すのは栄達の道か、それとも破滅の一歩か…(「BOOK」データベースより)

桐野夏生、相変わらず面白い。寝る前にちょっと読み出したら、止まらなくて気がついたら3時!寝不足です。
主人公59才。私と同世代。59才の男性の頭の中って、こんななのだろうか!?
作者は「これまでで一番愛おしい男を描いた」と言ってますけど、このアホぶり、女同士で悪口のまな板にのせるには絶好の酒の肴。ともかく自分の都合の良いことしか考えない幼児性、行き当たりばったりで右往左往し、そのくせやたら小心者。
妻がマンション1階の庭にゴミが落ちてるのを上階からの嫌がらせだと話すと、主人公も成功している自分に対する嫌がらせかも、と思う辺りが、考え方が似ててこれはこれでいい夫婦なんじゃないか?と笑ってしまった。
常に考えているのは、会長と社長のどちらについたら有利か?etc、長年の愛人か会長秘書の美女か?etc、15年も寝たきりの母の介護を妹に任せっぱなしのくせして、母の土地に2世帯住宅立てる老後計画etc
超鈍感で妻や妹や愛人がなんで怒ってるか理解不能。そのくせ冷たくされると、たった二人の兄弟なのにとか、急に母親の死が悲しくなったり、離婚は絶対したくないって。しかし女たちも友達になりたくないタイプばかり。
なんなの?このアホ(主人公)は?と思いつつ、人間らしすぎるしょうもなさを見せてくれて、なんだか憎めなくなってきます。
でも愛人へのメールの書き出しが毎回「みゆたん」ってのが本当に気持ち悪い!!!
そういえば周りの女たちや、会長、社長も外見に関する描写があるのに、主人公だけは何も書いてない。ラスト近く、葬儀に来た愛人の件をからかって会長が「君は真面目な銀行屋さんだと思ってたのに」と言うくだりや、会長秘書も社長には非常に腹を立てセクハラ問題にまで発展させたのに、この薄井には好感を持っている様子。きっと外見は誠実そうなイケメンなのかも。わざと彼だけは外見の描写がなくて、彼の頭の中身を書いて彼という人間の本質を描いているのかもしれない。
それから何と言っても怪しいおばさん占い師長峰のキャラクターが人々の心の不安を操る巫女のような存在で強烈。
後半、主人公の目論見がいろいろ外れたけど、ちょっと甘い。もっとひどい目にあえばいいのに(笑)
あ〜面白かった。


この3冊はここ1〜2週間ほどで読んだ本です。小説は読むの早いし感想も言いたいこと書けばいいので簡単です。
それ以前に読んだ『こわいもの知らずの病理学講義』『進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』etcは面白かったのですが、理系の本は内容が理解できてない…

GW 上野の森バレエホリディ 『真夏の夜の夢』 東京バレエ団

theater
05 /06 2018
GW、終わりましたね。
2日だけ遊びに行きました。
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一日は上野の東京文化会館でバレエ公演 『真夏の夜の夢』 
またまたご招待にあずかりました。バレエ全然知らないんですが、ずいぶんいい席でありがたや。
どうもチケットを頂きやすい性格(どんな性格?)のようで、思い起こせば、前から3〜4列目真ん中で歌舞伎とか、一番ビビったのは真ん中一番前でクラシックピアノコンサート。クラシックなんて居眠りしちゃうだろ〜な〜と行ってみたら、その席でびっくり!すみだトリフォニーホールでしたが、ここはステージと客席が近くて、ピアニストが手の届きそうなところにいるため、間違っても居眠りしないように緊張したり(笑) 豚に真珠、トントンにクラシックです。
バレエは最近バレエに興味のある娘と行きましたが、お子様連れでいっぱい。
上野の森バレエホリディというイベント企画で、屋外でコンサートやダンスパフォーマンスや、文化会館内でも様々なバレエに関するグッズ販売やバーも出てて、女子率高い。
『真夏の夜の夢』 はご存知シェークスピア原作ですが、よく知らなくて、主役の夫婦(妖精)がさらってきたインド人の美少年の取り合いって設定にびっくり(笑) コミカルで陽気な舞台でした。
娘の好きなイケメンプリンシパル柄本弾は主役の妖精王の役ですが、この舞台では妖精パックの方が断然目立ってます。小柄で細くて身軽、バレエダンサーだけじゃなくサーカスとかアクロバットもいけそう。

GW中の上野公園、人人人。シャンシャンついでに見て行こう、なんてことは到底無理で(駅前に「シャンシャンチケット終了」と看板持った人が立ってました)、上野駅中で適当にお茶して帰ってきました。

もう一日はちょうど1年前のGWに友人宅のマンションの壁塗りを手伝ったメンバーでマンションにお呼ばれ。
美味しい肴に美味しいお酒でおしゃべり。なんやかや言って、こういうのが一番楽しかったりします。
家族はそれぞれ美術展に行ったり、旅行に行ったりしてましたが、あとはいつも通り。
遠方に住む姪っ子がわざわざワンコ看護のために帰ってきてくれてるので、GW明けの今週はのんびりしよう。


tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。