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介護のカオス

dog
04 /28 2018
あ〜腰が痛い。
両親ともに要介護老人になり2年目。それに加えて親の家の番犬16才がついにひと月前から完全寝たきりに…。オーマイゴッ!
 父90代前半。かってはお勉強が好きで、温厚というのか気が長くて、わがままな母とそれなりにいい夫婦だったと思います。今はボケて、ほぼアル中じいちゃん。昨年初頭、入院をきっかけに脚が萎えてしまい、同時にボケ始めて1年数ヶ月。最近おもらし率が高く、洗濯物とトイレ掃除を増やしてくれるのが難ですが、酒さえ与えておけばご機嫌。

母80代後半。自分を中心に地球が回ってると勘違いしている人がたまにいますけど、そういう人がそれなりの地位にいたりするとそれはそれで被害甚大ですが、うちの母は人生で一度も働いたことがなく、被害者は主に家族。
かっては旅行が趣味で「お母さん、明日からフランスに行くから」といって旅行に出かけてしまうほどフットワークが良く、お嬢様育ちのせいかワガママな反面、鷹揚なところもあり、お友達も多かったのですが、友人も次々他界。それでも昨年までは、ずいぶん年下の友人がドライブに連れてってくれたりしてましたが、さすがにボケが進み最近は家でTV見てることが多いです。
母はまだ足はしっかりしているものの、記憶の持続時間が5秒ない時も。最近ではレンジでチンのやり方も分からなくなり、いろんなものを勝手にどこかに仕舞ってしまうのが一番困る。
炊飯器のお釜をとんでもないところに片付けたり、様々なものを自分では片付けてるつもりで隠してしまうため、何かをするたびに捜しものから始めなくてはならず、周囲のストレスを高めてくれます。そしてこちらが文句を言っても絶対謝らない。
母の兄弟は誰もボケていないどころか、85才の叔母など、スマホからパソコンまで私より詳しいくらいしっかりしているし、母も手先が器用で洋裁の腕はプロ並みだったことを考えると、長年飲んでいた降圧剤の副作用ではないか?と疑っています。

近所に住む私と姉で協力して介護に当たっていますが、この姉も60代後半、私ももうすぐ還暦。もはや老老介護状態です。
姉は自宅はゴミ屋敷、整理整頓能力ゼロ。手先の不器用さは人一倍。
自分でも「私って頭いいけど(やたら学歴高い)、生活能力ないの」と言ってます。
でも料理は大好き。親の食事担当。
私が身の回りおよび病院連れてく担当。
しかしこの姉と母が仲が悪い。
本人申告によると、子供の時から母が大っ嫌いだそうで、最近やたらブチ切れる。お互い「あんたの顔も見たくない」とまで言ったりしているが、もちろん親子だから母の方は姉にちゃんと情はある……と思う。でも姉の方は本当に嫌いみたい。姉が、仲裁に入った私にまで八つ当たりしてくるため、そう出るなら話は別。いきなりすごんでどやしつけました。私は姉と違って勉強は苦手ですが、恫喝は得意なんです(笑)
そんなわけで、今は何となく父担当は姉、母担当は私となってます。

そこへ持ってきての、老犬16歳が完全寝たきり犬に!
いわゆる番犬で、庭を自由に走り回り、ウッドデッキに犬小屋置いてる外飼い犬で、性格も愛想がなく、可愛がってもいなかったのですが(ひどい)、この雑種中型犬16〜7キロが寝たきりに。昨年の夏に足が弱り食欲がなくなり、この夏は越せないかも?と言われてたのに秋には復活。でもこの冬寒いので、家に入れて飼ってるうちに更に足が弱ってしまい、3月には10Mくらい歩くのもやっとに。そして3月末から完全に立てなくなり、獣医さんに往診を頼むと、毛艶も良く、痛むところもなく、顔つきも穏やかなので、老衰でしょうとのこと。その後、血尿が出て、また獣医さんに来てもらうと膀胱炎の薬をくれ、長くても夏まで持たないとの余命宣告。しかし、膀胱炎は治り、その後食欲は完全復活。しかし足は萎えたまま。

完全寝たきりになってしまった直後は、もともと動物嫌いの姉とこの犬に情のない私とで、「どうする?」となりましたが、獣医さんも見かねたのか、「安楽死は麻酔で眠るようになくなりますから、苦しみません」とまで言ってくれたけど、痛みがあるなら選択するけど、動けなくなっただけなので、当然そんなことはできません。
で仕方ない!親はいざとなれば老人ホームがあるけれど、犬は最後まで面倒みよう、となりました。でもうちのトンちゃんと違って、中型犬抱っこして、シーツ替えたり、糞尿だだ漏れでひどい時にはお風呂場でお湯で洗ったりが、結構重くて腰が痛い。
おまけに近所のおじさんに、この犬と似ているワンコが寝たきりになって1年もった、という話を聞き、「え?1年?(汗)」となりました。
でも不思議なことに、毎日、シーツを替えたり、体を拭いてあげたり、手からご飯食べさせているうちに、私も姉も情が湧いてきました。姉なんか、栄養つけさせようと、高い八海山の甘酒を豆乳で薄めて飲ましたりしてる(笑)
現在一番の問題点は、同じ側をいつも下にして寝ていたため、気がついたら褥瘡(ジョクソウ=床ずれ)が!
ゲゲッ、結構グロくてドン引きした我々ですが、3日もしたらなれました。しかし何度褥瘡側を上にしても体自体がゆがんでいるのか、すぐにそちらが下になっています。
いろいろ、試行錯誤して背中側に取っ手のついてるベストを着せ、その取っ手に2本のロープを通し、斜めから釣り上げるように固定、褥瘡側を下にできないようにしました。見た目、動物虐待っぽいけど、これで褥瘡側がマシになったので許せワンコよ。
犬介護の本を買って、ハサミで毛を刈って、薬塗ってラップ貼って、湿潤療法したり。
昨日また獣医さんに来てもらいました。
褥瘡からばい菌が入るといけないということで、抗生剤の注射と褥瘡の薬をもらいました。
獣医さん、往診頼むとめっちゃ高くて、万札が何枚も飛んでいきます。でもいいの、だって親の犬だもん。支払いは親のお金でしてるから(笑)
しかしふと、この犬に全然情がなかったはずの私たち、え〜と何やってるんだっけ?と思います。
なんというのか、世話しているうちに楽しいとは絶対に言いませんが、いろいろ工夫したりするのが、それなりに世話のしがいがあるというか、なんというか。

それでも姉と犬の面倒見ながら、これと同じことを親にできるか?と話し、絶対ムリ!となりました(;^_^
今は痩せて10キロ位になった中型犬でもぎっくり腰になってしまったのに親は無理。動けなくなったら施設に入ってもらう。
でも安倍さんは老人を病院や施設から締め出して、家で面倒見させる方向にシフトしてます。福祉予算を削りたいのは分かるけれど、何から何まで家族に押し付けようというのは、時代に逆行してない?よっぽど戦前の日本が理想なのね、この人。そのくせ「女性が輝く」って結局何から何まで女に押し付けようって魂胆じゃないの?(ほとんど八つ当たり?)
我が家だって、兄なんて最も親の恩恵に浴してきたくせに、年に1日しか顔も見せない。
私も姉も、もとは東京の西側にいたんだけど、西よりも東の方が家賃も安くて、交通の便の割といいところに実家があったもんで、将来親の面倒見るにも便利かも?と思って近所に家買ったのは、まあ正解だったわけなんですが、今となっては近所に来なければ、こんな苦労も背負わずに済んだのか?と、チラッと思ったり(;^_^
でもでも介護優先の生活にはしたくない。旅行にも行って、やりたいことを諦めないようにしよう!
その点、2人いるというのは心強いです。
姉と私は世代が違うせいか、子供の頃、遊んだ思い出は一度もなく、仲がいいとは言えませんが、まあいてよかったわ。もっときれい好きで、器用で、性格よければ言うことなかったけど。
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『ダンガル きっと、つよくなる』 監督ニテーシュ・ティワーリ

cinema
04 /18 2018
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『きっと、うまくいく』『PK ピーケイ』などのアーミル・カーンを主演に迎えた、実話を基にした感動作。オリンピック出場を諦めた男が、娘たちをレスリングの世界で羽ばたかせようとする。(シネマトゥディ)

これは先週の水曜日、映画半額デーに観ました。
先日から親の介護に加えて、親の家の老犬が完全寝たきり犬になり、親はいざとなれば老人施設があるけれど(;^_^、仕方ない、犬は最後まで面倒みるしかない!と朝一で犬の世話に行き、親の世話はついでに手抜きでちゃちゃと済ませ、急いでママチャリをこいでいざ映画館へ!
てなわけで、万難排して映画は見に行ったものの、感想記事は忘れてしまい、今頃ですが感想です。

とても面白かったです♬
『きっとうまくいく』も映画の楽しさ満載でしたが、インド映画はサービス精神満載です。しかも実話ベース。
驚いたのは主役の(パパ役)アーミル・カーンが回想シーンで普段の本人なんですが、現在のパパと同じ俳優とは思えません。
いわゆるカメレオン俳優という、役のために体重を変えたり、別人のようになるタイプ。
有名どころでは、『レイジング・ブル』のロバート・デニーロ、 『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒー とジャレッド・レト、クリスチャン・ベールも痩せたり太ったりしてますね。ダイエットで苦労している大多数の人たちから見ると、なんでこんな短期間に太ったり痩せたりできるのか?その意思の強さに感心してしまいます。

インド映画はハリウッド映画と同じような省略の仕方、盛り上げ方で、退屈させない作りです。
しかしやはりインド独特の描写に面白さを感じました。
「きっとうまくいく」でも思いましたが、インドの父親の権威の凄さ。どんな理不尽も父親の意見は絶対です。
自分の子供だけでなく、甥っ子に対する権限もすごい。こんな叔父さんがいたらたまりません。
巷でも例えられているように、完全に「巨人の星」の星一徹です。思えば日本もあの時代まではこういう父ちゃんってアリだったんでしょうか?
娘たちに有無も言わせず、毎日朝5時起きで特訓また特訓。
インドの女の子はみんな髪が長いのですが、パパの命令で2人の娘は坊主。
もちろんレスリングの特訓が嫌で嫌で仕方のなかった娘たちですが、14歳で結婚する友人が彼女らに「14歳で顔も知らない男の元に嫁ぎ、子育てと家事の人生を送るのに比べ、あなたたちのパパは娘に未来を与えている」という言葉を聞いて、やる気になります。
14歳で顔も知らない人と結婚する、というインド女性の生き方は衝撃でした。

主人公の家庭は菜食主義のようで、レスリング向けの体を作るために、パパは娘たちに鶏肉を食べさせそうとしますが、従順な奥さんもこれには抵抗します。
台所は使わせず、鶏を煮るのに使った鍋は捨てるように言います。
菜食主義にしてはこのパパ、めっちゃマッチョですけど(笑)

順調に強くなる娘たち。
故郷では女の子がレスリングというだけで、奇異な目で見られていたのに、強化選手に選ばれて合宿するスポーツセンターの立派なこと。女子選手もいっぱいいます。さすがインド、広くて人口多い国です。都市部と地方の差が大きいのでしょう。
最後までハラハラさせ、手に汗握ります。
インド映画を見ると、カレーが食べたくなりますが、映画の後のランチはフードコートでシンガポールラクサ(ココナツミルクカレー味の麺)で簡単に済ませました。







『NHKバレエの饗宴 2018』 NHKホール

theater
04 /07 2018
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毎年やっているNHKの「クラシックからコンテンポラリーまで、いろんなバレエ芸術の魅力が詰まったステージ」というバレエ公演に行きました。
特にバレエにもオペラにも興味はなく、知識はさらに無いわりに、なぜかご招待にあずかることが多い私ですが、今回は娘がチケットを買ってくれました。世の中には買い物やらコンサートやら旅行やら母娘で一緒に行く方々も多いようですが、我が家は全くなし。私も自分の母と遊びにいくなんて考えたこともない娘でしたし、母も一人暮らしの娘のところに一度も来たこともない人でしたので、そんなもんかと思っていたので、娘に7日バレエだから空けといて、と言われた時には「へ?」と驚いてしまいました。
娘は今時の若者らしく、念入りに化粧しておしゃれしてるので、私も一張羅のワンピースにこの春作った手作りのコートを着ました。
「え?それ着てくの?」とひかれたところを見ると、自作のコートというのはおしゃれというよりは…結構ビミョ〜なモンのようです(^_^;)

肝心のバレエですが、春休みということで、いかにもバレエ習ってるお子様連れも多く、圧倒的に女性多し。休憩時間のトイレの行列がすごかった。

プログラムは新国立劇場バレエ団が「くるみ割り人形」第2幕から
夢の世界で、クララがこんぺいとうの精になり、アラビアだのスペインだの中国だの、各国踊りの饗宴みたいな場面です。一番有名で衣装が色とりどりで、見ていて楽しく分かりやすいバレエ鑑賞入門編といった面持ちで楽しめました。
プリンシパルは小柄で華奢な感じ。日本人は体型的にバレエ向けではないと言いますが、可憐な感じが出て、欧米人にはない美しさがあると思いました。

次がガラッと変わってコンテンポラリー。平山素子、他「キマイラ」
ボロ布っぽい衣装の4人が不協和音のいかにもな現代音楽をバックにくねくね踊るのですが、照明も暗くて眠気に襲われながら、このダンスは何かに似ている、と思ったら…
昨年見た「新感染 ファイナルエクスプレス」のゾンビの動きです。いきなり腕や身体を変な角度にひねるくねくねとした動きはゾンビを彷彿とさせました。

吉田都&マティアス・ディングマン&スターダンサーズ・バレエ団「Flowers of the Forest」
前半は明るい曲調で、キルト(あの男性用スカートね)を着たダンサーのスコットランドダンス?、後半哀調を帯びた曲になり、吉田都&マティアス・ディングマンの踊りが象徴するのは、イングランドと繰り返した戦争の悲劇だそうです。
この「Flowers of the Forest」の衣装はオペラグラスで見るととても凝った衣装なのですが、全体がモスグリーンという渋い色合いのため、全体に地味で落ち着いた印象です。

最後が東京バレエ団の「ラ・バヤデール」から『影の王国』
これはパンフレットを読むとかなり変なお話で、「古代インドを舞台に、寺院に使える巫女兼舞姫ヒロイン=ニキヤ、戦士のソロルと恋仲ですが、藩主が自分の娘とソロルを結婚させようとし、ソロルも藩主の娘の美貌にくらっときて結婚。ニキアは毒蛇に咬まれ絶命し、ソロルは罪の意識に苛まされ阿片中毒になり、影の王国でニキヤと再会。でも現実世界では藩主の娘と結婚式。神の怒りで寺院崩壊。」ってなんちゅう話やねん。バレエ男子は「白鳥の湖」と言い「ジゼル」といい、いともたやすく誘惑されちゃう男子ばかりです。いやいやこれが男という生き物なのか?ま、それはどっちでもいいんですが、舞台は「影の王国」の場面で、冥界のような暗闇の中、全員真っ白のチュチュで東京バレエ団お得意の群舞も見所です。
ニキヤは上野水香、ソロルは「ザ・カブキ」でも主役の柄本弾。マッチョイケメン君です。
娘はこの霊験な雰囲気の舞台が一番良かったと言ってました。

私でも知っている吉田都と上野水香はひときわ大きな拍手で、見応えもありましたが、パンフを見ると吉田都さんはもう50歳を過ぎています。バレエダンサーの体のしなやかさにびっくりしました。
このバレエ公演を鑑賞して一番思ったこと。
それは立って靴下履くだけで思わずよろめいてしまう自分の体の硬さ。悲しいです。




『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』  『映画 鈴木先生』(DVD)

cinema
04 /02 2018
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』  監督:ギャヴィン・フッド (2015年)
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ドローンを使い、戦場から遠く離れた場所で進められる現代の戦争の闇を描く軍事サスペンス。罪なき少女を犠牲にしてまでテロリストを殺害すべきかという究極の決断を通し、真の正義やモラルを問い掛ける。(シネマトゥデイ )

今時の戦争をリアルに描いた作品。その戦い方にもうびっくりして、戦争というものが根本的に変わったことを知りました。
そして見終えた後、なんともざらついた気持ちにさせられました。
もはや戦争は会議室と作戦本部で画像を見ながら行われ、戦いの現地はケニアのナイロビですが、そこを爆撃するパイロットは遠くアメリカの空軍基地、会議と統合司令部はロンドン、コンピュータ解析はハワイと、摩訶不思議な戦争の実態が描かれます。標的は自爆テロの準備をしているテロリストですが、その潜入家屋の部屋の内部まで鳥や虫型のドローンが詳細を刻々と映し出します。
『ワールド・オブ・ライズ』(2008年)でも、現地(中東)の工作員(レオナルド・ディカプリオ)にアメリカから上司( ラッセル・クロウ)が次々指示を出す話でした。遥か上空からの監視カメラが地上の情報を画像で送り、自分の子供のサッカーの試合を見ながら携帯で指示を出すことに驚きましたが、そのレベルが格段に上がっています。部屋内部の詳細画像から、どの角度からでも人物を当人か判別するCP解析。はるか上空の無人機から一軒の家のどの部屋でもピンポイントで爆撃できる。内部にあるテロ用の爆弾とともに爆発した時の殺傷範囲まで瞬時に計算。
今まさに爆撃しようとした時、その家の塀沿いでパンを売る少女がいることに、彼らは究極の選択を迫られます。軍人は6年追ってきたテロリストを何としても壊滅したい。政治家は少女を巻き添えにした場合の責任の所在に決断できず、パイロットは少女を見殺しにすることに抵抗します。
一人の少女を助けるか、自爆テロで失われるだろう(推定)80人の市民の命を助けるために少女を犠牲にすべきか?
法的、政治的、軍事的、それぞれの言い分があり、途中、法廷劇のような議論劇が面白い。
面白いのは、大佐(鉄の女ヘレン・ミレン)や政務次官(モニカ・ドラン)、女性たちは対立する役割ながら、どちらも自分の主張に迷いがないのに比べ、男性陣は大臣や外相まで責任逃れから決定をたらい回しにする描写。女の方が肝っ玉座ってます。
この映画では、誰一人英米兵士の命は危険にさらされることもありません。しかしなんの罪もない一人の少女の命は正義の名の下で守られない。政治家たちはもしこの映像が世界に流失したら非難は免れないと責任逃れに汲々とし、軍人はこのチャンスを逃したくないと躍起になる。パイロットを子供を殺したくない心ある人に描いているのが救いで、現実にははるか遠く離れた場所から操縦している人間には、人を殺すという感覚すら持てないのかもしれない。
もはや戦争は兵士同士の友情だの、愛する者を守るだの、そんなロマン?の余地もない、凄まじいメカと、計算上の確率と、それぞれのジャスティスの元に、ボタンひとつで行われるものになった実態がリアルに描かれます。
しかし爆弾を落とされる下にいるのは紛れもない肉体を持った人間なわけで、そう考えると、ホラーよりよっぽど恐ろしい映画でした。
一度は上官の命令に背くパイロットを「ルイの9番目の人生」でも優しいパパ役アーロン・ポールが演じていて、この役者には子どもに優しいイメージが刷り込まれそう。
この作品はクレジットタイトルでアラン・リックマンに捧げられています。スネイプ先生の時に比べ、ずいぶん太ってて元気そうに見えるのに惜しい役者を亡くしました。


『映画 鈴木先生』 監督:河合勇人(2013年)
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武富健治原作の漫画を基に、普通の教師が真摯(しんし)に教育問題に取り組む姿を描いたテレビドラマの劇場版。
緋桜山中学の国語担当教師鈴木(長谷川博己)は、独自の教育理論「鈴木メソッド」に基づいた理想のクラスを構築しようとしていた。彼はその中心となる女子生徒小川(土屋太鳳)に重きを置くうちに、少しずつ彼女の魅力に引き込まれていく。生徒会選挙と文化祭の準備がスタートするなか、卒業生による女子生徒を人質にした立てこもり事件が起きる。

このドラマはTVで途中から見ていました。
今まで見たことのない相当変わった学園ドラマで面白かったので、wowowで録画、見てみました。
学園ドラマというよりも、メッセージ性のある社会派ドラマでした。
脚本はあの「デート」や「リーガル・ハイ」の古沢良太。
一言で言うと、「息苦しい世の中はイヤダ!」というメッセージです。

先生なのに、クラスの大人びた女子生徒にあらぬ妄想を抱く鈴木先生。
具体的には「若い男の教師が女子生徒にムラムラするのは当然だ!」、「タバコを吸える場を奪うな!」、「選挙を棄権する権利を奪うな!」と言ってます。(←すごい乱暴なまとめ方)
私も「人はそれぞれ好き好きにすればいいさ」という考えなので、概ね賛成ではあります。
でんでんと長谷川博己が学校内の喫煙室で話す内容も理解できます。
「健康な若い男が女子生徒にムラっとするのは当然だ」とでんでんが言うと、ハセヒロも「妄想することと、実行することの間には大きな隔たりがある。」と話します。
この言葉に30年前の幼女連続殺人事件を発端に起きた騒ぎを思い出しました。
「オタク」という言葉が世間を騒がせ、教育上よくない映像、漫画等が槍玉に挙げられ、規制すべきとの声が上がったのです。
実は私もこれには賛成でした。刺激的な表現が犯罪を誘発するのでは?と思ったからです。
しかしこの映画は清く正しく公正を求めることの弊害が描かれています。
人間にとって、せめて「逃げ場」を奪うな、と主張しています。
何が正しいのか?
例えば、やはり女性としてはセクハラは許せないけれど、あまり目くじら立てるのもどうかと思います。いい男やいい女がいたらジロジロ見たくなるのが人情でしょうし、赤ちゃんのほっぺと同じでちょっと触りたくなるのも…人情かな?(笑)
表現の自由は、う〜ん、この辺は迷うところ。心理学や脳科学の見解を待ちたいと思います。
以前、CIAが工作員の心理的抵抗をなくすために暴力映像を見せるというドキュメンタリーを見たので、やはり暴力表現は特に子供には厳しくして欲しいと個人的には思うのですが、どうなんだろう?
タバコは肺がんになった人間としてはもちろん規制して欲しいです。でもタバコ全面禁止な世の中は望みません。
以前山登りして、頂上で「いい空気だな〜」と思いっきり空気を吸ったら、隣からプ〜んとタバコの煙が。そして夫が「いい空気のところで吸うタバコはうまいな〜」と幸せそうに言ってるのを見て、腹が立ったけれど、同時に笑ってしまった。
ま、私のタバコに対する意見はそんな感じ。人の小さな幸せを奪うほど心が狭くはないけれど、だからと言って調子にのるなよ!ってとこですかね。
校内の喫煙所は廃止されようとしており、学校の近所の公園にこの中学の卒業生の2人の引きこもりが毎日会って、タバコを吸っているのですが、これを許さない潔癖教師の富田靖子が市に働きかけ、公園に「不審者出没」の立て看板を立てさせ灰皿を撤去させます。彼らなりに少しでも家から外に出る訓練としてこの公園は最後の砦だったのですが、それを奪われ居場所のなくなった一人(浜野謙太)が母親をバッドで殴る事件を起こし、それに絶望したもう一人(風間俊介)は生徒会長選挙の日、鈴木先生のクラスの生徒(土屋太鳳)を人質に立てこもります。

土屋太鳳が犯人(風間俊介)に言う「壊れることを自分に許すな」という言葉は、息苦しい社会に対する批判と対に、それに負けるなというメッセージだと思います。
「息苦しい社会は嫌だ、だからと言って、壊れることを自分に許すな」
とても真面目な子供たちに対するメッセージだと思います。
息苦しい派代表の足子先生(富田靖子)もズレてるけれど愛すべきキャラとして描かれているのが良かったです。
こういう昔の女子校の監督官みたいなキッチキッチの人も自分のペースで生きられ、ユルユル派とお互い主張しバトルしあえるのがいい世の中なのでは?と改めて思います。だからやっぱり忖度はいかんよね。そんなことしてたら酸欠社会になりそう。

tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。