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読書メモ

book
06 /20 2017
「楽しい夜」 岸本佐知子:訳/編集
「妻が椎茸だったころ」中島京子:著
「イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む」  宮本 常一 (著)
「イギリス人はおかしい」 高尾慶子:著

何の一貫性もない読書だけれど、一応メモしておきます。

「楽しい夜」 岸本佐知子:訳/編集
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図書館から連絡が来て取りに行ったのですが、何でこれを借りたのか?思い出せないまま読み始め、途中で思い出しました。
朝日新聞の書評欄に人生相談コーナーがあり、そこで夫に何の不満もない50代の妻が、瀬戸内寂聴の「100冊の本より1つの恋」という言葉を見て、このまま恋をしなくていいのか?みたいな悩みに三浦しをんが答えているのもの。
私は免疫アップのために「ときめき」を求めていて、動機は全然違うものの、この50代主婦の相談に興味を持ったのでした。
そこでの三浦しをんの回答に感心して、相談者に勧めているこの本を予約したのでした。
確か三浦しをんの回答は、「恋なんざ思い込みでいくらでもできる。それよりも難しいのは、日常の愛の持続だ」みたいなこと言ってたと思う。
三浦しをんは小説がすごく好きというより、本人が友達になりたいタイプ。瀬戸内寂聴は1冊も読んだことがないので、なにも言えないけれど、おそらく私には理解不能な気がする。
で、「楽しい夜」です。海外の短編を岸本佐知子が編集・翻訳しています。
当初考えていた、家族や日常の愛についての物語を想像していたのですが、不気味系やSF的(「亡骸スモーク」「アリの巣」「家族」)もあり、ジャンルが多岐にわたっていました。
私が心に残ったのは、太古の巨人の切ない愛を描いた「テオ」、楽しくてやがてちょっとほろ苦く、このハリウッドスターのモデルは誰?とつい考えてしまう「ロイ・スパイヴィ」、不気味さと切なさが残る「三角形」、幸せな最期を迎えた老婆の「安全航海」。願わくば私もこんな最期がいいな。

ところで三浦しをんは「結婚生活に不満はないけれど恋を求める主婦」に何でこの本を勧めたのか?
実はその辺りはよく分からなかった。
日常が病気で崩れる「赤いリボン」「楽しい夜」、うまくいかない離れた家族への想い「ノース・オブ」あたりは「日常の愛の持続こそ難しい」という内容かも。
「みんなみんな愛していた」と人生で出会った人々を思い、冥界行きの船から海へ入る老婆(「安全航海」)が相談者への回答に一番ふさわしいかもしれない。
願わくば私も、ムカつく〇〇も、イラっとする××も、人生で出会った人すべてに、最期の時に感謝の念を持てたら幸せだと思う。でも今のところは、ムカついたり、イラっとしたりできる自分はまだまだ行け(生け?)そうな気がするので、それでよしっ!って感じですね(笑)
人は誰でも寂しさを抱えて生きている。太古の巨人も、ゲイの学者も、飛行機でハイウッドスターと隣り合わせた女性も。それは分かる。
しかしそもそも瀬戸内寂聴が好きな人に、三浦しをんを回答に当ててきて、相談者はこれを読んで納得したのか?謎です。


「妻が椎茸だったころ」中島京子:著
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奇妙な味わいの短編集
『リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出合い』はラストにオチのあるミステリー。
『ラフレシアナ』登場人物の誰にも共感できないようでいて、このホロ苦い思いは分かる気がする。
「妻が椎茸だったころ」これは好きです。ラストもいい。私もこんな料理を残せるかな?
「蔵篠猿宿パラサイト」「ハクビシンを飼う」石への偏愛オタク男と、亡き叔母の家で出会う美形の青年。
どちらも動物の精?かも的な不思議な青年との交流。
こういう短編集は病院の待ち時間に持っていくのにちょうどオススメ。


「イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む」  宮本 常一 (著)
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イザベラ・バードは明治維新まもない日本の東北から北海道を旅したという英国人中年女性。
その存在を昔知った時は、その時代に未踏の地をイギリス人のそれも中年女性が単独で旅するって、世の中には変わった人がいるなぁ〜としか、思いませんでした。
その後、中島京子の小説「イトウの恋」で親子ほど年の離れ、衝突を繰り返す通訳イトウ青年のイザベラへの恋心を描いた異色小説を読み、さらに最近「ふしぎの国のバード」という漫画を読み、これがとても面白くて、今回宮本常一という民俗学者が彼女の『日本奥地紀行』から当時の日本の姿を読み解く解説書を買いました。
肝心の彼女の著作『日本奥地紀行』は読んでないのですが、民俗学者が彼女の目を通して、維新直後の日本の姿をポイント解説してくれるので分かりやすく面白いです。
そこに描かれる明治初期の日本の姿は今の日本からは想像もつかない世界です。
何がびっくりって、日本中、ノミとシラミがそこら中にうじゃうじゃいるのが日本だったのですね。
会津街道のぬかるみだらけの道といい、住んでる人々が若い女性も半裸で生活していること。なぜかというと、着るものを1枚しか持っていないため、なるべく着ないようにしているとか。
通訳の伊藤青年もショックを受けるほど、当時の日本の都市部と貧しい辺境との格差がすごいです。
ところでアイヌ人って昔コーカソイド(いわゆる白人?)と習った気がするけれど、今は否定されてるようですね。
アイヌ人といえば、小学校の頃読んだ「コタンの口笛」が忘れられない。50年ぶりくらいに読んでみたくなった。


「イギリス人はおかしい」ー日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔  高尾慶子:著
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これはクロエさんのブログで知って、読んでみました。
リドリー・スコット監督の大邸宅のハウスキーパーとなって13年。その間に見聞した貴族や大富豪から一般大衆までの、イギリス人の赤裸々な姿を辛口とモーモアで綴った英国暮らし体験記。
イギリスに特に興味はないのですが、リドリー・スコットと聞いて、早速読んでみました。
リドリー・スコット。知らない人のために説明をしときますと、あの「エイリアン」、あの「ブレードランナー」の名監督です。
私が好きなのは「ブレードランナー」と「グラディエーター」と「ワールド・オブ・ライズ」と「オデッセイ」かな。
でもそんなイギリス上流階級出身だとは知らなんだ。
個人的に大ウケしたのは、彼女が若い頃、シベリア鉄道経由でヨーロッパに行った時の話。
ソ連ですれ違うロシア美女たちもこの固い紙で拭いているのか!?と呆れる程のトイレットペーパーの話から、ヨーロッパに入って資本主義圏の快適な暮らしに感動してたのに、イギリスに渡った途端、「ソ連に戻ってきた!」と友人と叫ぶところ。
(ソ連の固いトイレ紙は知っています。若い頃、安いというだけで選んだアエロフロートの乗り継ぎで、モスクワ空港のトイレでこの紙を見た時、心底驚きました。固いわら半紙を4つ切りに切って、上部に切り込みを入れ、棒に突き刺してあるんです。友人はお土産にとこの紙を持ち帰って周囲に「これは非常に貴重な紙だ」と配ってた/笑)
そこらじゅうの行列、救急車を呼ぼうものなら、まずお湯を沸かしてゆっくりお茶を飲んでから来るのか?と思う遅さ、ダサい服しか売っていないデパート、しょっちゅう壊れる機械。へ〜?イギリスってこんなに不便なの?イギリス人の気の長さに感心してしまいました。紅茶とスコーンとダウントンアビーのイギリスの素敵なイメージがガタガタと崩れます(笑)
でもさすがイギリス!動物には優しい。ここだけは期待にたがわずです。
彼女の猫が亡くなる時の話は涙無くしては読めません。
後半、サッチャー政権に対する批判など社会派の面が強く、ユーモアよりは怒りのトーンになりますが、さんざんイギリス人をこき下ろしても、この人はやっぱりイギリスを愛しているんだなと分かる、ひねくれおばさんの面白いエッセイ。
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tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。