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『シン・ゴジラ』 監督 : 庵野秀明  樋口真嗣

cinema
08 /28 2016
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「シン・ゴジラ」を見ました。
第1作のゴジラは1954年、62年前!
大人になってからテレビで見たことはあります。他にもハリウッド版も見たはずですが、どちらもあまり記憶にありません。
今回の「シン・ゴジラ」、友人の誘いがなければ、まず自分からは見なかったと思います。
しかし意外や意外、すごく面白かったです。
夏休みの半額デー、子供も来ていましたが、結構年配の人も多くて、これは大人には面白いけれど、子供にはどうなんだろう?とも思いました。

ゴジラが突然東京に上陸。
巻き込まれる一般の人々は逃げ惑う俯瞰図で出てくるだけで、そこにスポットを当てたドラマはありません。
では人間側のドラマは何か?
日本政府が想定外の事態にどう対処したかのドラマなのです。
だから会議のシーンが多く、そして台詞がかなりの早口。
この辺り、お子様にはつらいかも?

いやでも東日本大震災と福島原発時の政府の対応を内側から見ているような気分になります。
最初は前例がない、と無能を晒す政治家や官僚、御用学者の実態がこれでもかと皮肉に描かれ、やがて各省庁のはぐれもの、学者界の異端児が集められ、立場や地位を超えて未曾有の事態に立ち向かいます。
これを組織しまとめるのが、2世政治家である長谷川博己、彼と反発しあいつつもタッグを組み、現実的に立ち回るのがたたき上げ政治家竹野内豊。
総理大臣大杉漣と側近は途中退場、臨時代理の総理はコネと人脈だよりの見るからに無能なおじさん。
しかし最後は彼も含めて、やるときゃやる日本政府の面々。
中でもやっぱりこういう時に頼りになるのが自衛隊。
斎藤工が戦車搭乗員のちょい役で登場するなど、キャスティングはかなり贅沢です。

アクション映画が苦手でアクションシーンが始まると直ちに睡魔に襲われる私ですが、多摩川でなんとかゴジラが東京都内に入るのを阻止しようとするものの、通常兵器では効果がなく、ついに在日米軍がミサイルを撃ち込むがそれもダメ。
こういう際の法律問題のやり取りが出てきたり、スパコンを使って作戦をシミュレーションする際、日本のスパコンだけでは足りず、どこの国に協力を仰ぐか国際関係の問題やら、その辺りの政治的決断とか、妙にリアルな対応がきっちり描かれているあたりも面白かったです。
いちいち実際の戦闘機や爆撃機の名称や砲弾名が文字で出てくる辺りは、我が家のミリタリオタク夫にオススメだわ。
自衛隊の全面協力があったのでしょう。

数多い出演者を上手に捌きますが、やはり一番魅力的なのは日本を救うはぐれものオタク集団。
いよいよの作戦決行の際も、(ちらっとスマホの待ち受けに妻子の写真が出てくるくらいで)家族が出てきたり、ベタベタした描写がないのも好みでした。
こういう時に愛する家族のため、みたいな紋切り描写が出てくると、どっと白けるのは私の性格に問題あり?
友人と唯一、文句が出たのは石原さとみちゃんの役。
あまりにメイクばっちりで変に色っぽく、ファッションもピンヒールカツカツ。
もうちょっとサバサバした方がいいんとちゃうかいな?

でもこれ、ゴジラだからいいけど(よくないけど)、原発事故や関東直下の大地震に置き換えて考えると、面白がってはいられない。
現実の政治家で長谷川博己になってくれるのは誰だろう?と思わず考えてしまいました。













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『カラスの教科書』   松原 始 :著  

book
08 /24 2016
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秋田の温泉に行っていました。
7〜8種類の温泉がある旅館、計3け所を入りまくるという、温泉三昧の夏休み。
そのうちの一つはガンに効くとの評判もある温泉です。長期療養している人も多いそうです。
酸性が強すぎるとのことで、まずは50%源泉に入り、なれたところで100%にもトライ。
ヌルいので普通じゃない?と思いきや、はねたお湯が目に飛び込んでしまったら、レモン汁が目に入ったような感じで、慌てて飛び出し洗い場の水で流しましたが、この水がまた温泉水。
ずっとお天気も良く、山をハイキングして日に焼けた顔をうっかり温泉で洗ったら、これまたヒリヒリ痛い。
確かに個性的なお湯でした。
さらに近くの別の温泉にある、火山現象を観察できる珍しい自然観察路は、ガスが噴出しててすごい臭気。まずい!これって肺に悪いんじゃ?と、途中で気がつき慌てて戻ってきました。

山の中の温泉旅館、夕飯食べて、何度目かの温泉に浸かったら、オリンピック見て、本読むくらいしかやることがない。
そこで山の中で読んだのが「カラスの教科書」
カラスに興味がないどころか、鳥全般に関心のない私ですが、最近喰わず嫌いだった理系の本も読むようになりました。
算数の繰り上がり算ですでにつまづくような人間だったこともあり、すべての理系ジャンルを今までの人生で避けてきた私ですが(じゃあなぜ理系男と結婚したのかって?さあ?)、なんせ病気はジャンル的には生物?だし、苦手だった動物もトンちゃんでとりあえず犬は克服、この年にして理系の中でも「生物」の面白さには少しだけ目覚めた、、、かも?

福岡伸一氏と同じく、軽快で読みやすい文章。
ジャンルを問わず、一つことにのめり込んでいる人の話は面白いものです。本人がその魅力にぞっこんハマり、他人に何とか伝えたいという情熱が感じられますから。
カラス、都会のゴミをあさっている印象が強いですが、これはハシブトガラス。
大きくてくちばしも大きいのが特徴。
近くで見るとまずその大きさに恐怖を感じます。
農村や河原等、開けたところで、地面を歩きながら餌を探しているのはハシボソガラス。
日本で身近に見られるこの2種は、出没地域もテリトリーも異なり、微妙にライフスタイルも性格も違う、なんてカラスに興味のない人間にはどうでもいいことながら、この人の文章にかかると、「へ〜」となぜか面白い♪

カラスは他の鳥類と同じく、一夫一婦制らしいのですが、春頃生まれた雛は夏の終わりから秋にかけて、親元を離れ独立するものの、すぐにツガイになり次世代の繁殖に入るわけではなく、3歳くらいまで若者同士でたむろし、餌を探してぶらぶら暮らすらしい。
カラスが公園に集まっていると怖いけれど、これらは大体非繁殖集団で、家庭を築いていないため守るべき雛もいないし、人間を襲ったりしないから怖がらなくて大丈夫、だそうです。
独立しても時々親のところへ戻り、餌をもらったりするあたり、なんだか今時の人間社会に似ています。
独身時代はぶらぶら餌を探して気ままに暮らしているように見えるカラスも、ツガイになり巣を作ると、外敵から巣を守るために、最適な場所を求めて、縄張りの確保が大変みたいです。
著者は長らく京都で観察を続けていたのですが、下鴨神社の森では、ハシブトとハシボソのテリトリー争いや、年老いて伴侶が亡くなった未亡人の巣を若いカップルが追い出して横取りしたりと、様々な縄張り争いが展開しています。
私の若い頃は、バブル期で持ち家は若い夫婦にとってとんでもない高値になり手が届かず、その後不動産価格が下がったものの、今度は永遠に上がり続けると思っていたお給料も下がり、巣の確保はいつの時代も簡単ではないことを痛感しましたが、それは人間もカラスも同じだったのですね。

カラスは「賢い」とよく言われますが、確かに記憶力の良さ、学習能力の高さ、種類と状況によっては道具も使い、群れのメンバー間での社会的知能の高さを見せる種類もいる。
しかし人間の言う「賢い」基準を他の種類に当てはめることに著者は慎重です。
身近な動物であるカラスですが、研究者が少ないこともあり、まだまだ分かっていないことも多いことも知りました。
それでもカラスがどれほど興味ふかい動物であるかは伝わってくる文章で、カラスに頭を蹴られないための注意も、どこまでもカラスの立場に立って、弁明しているカラス愛に溢れる本です。
時々本編とは別に挟まる短いコラムが一段と砕けた文章で笑えます。
カラスに興味のある方もない方も楽しめる生物の本でした。






ジャパンキャンサーフォーラム 2016    「どこへ向かう日本のがん医療」

disease(闘病記)
08 /09 2016
『ジャパンキャンサーフォーラム 2016 』後半はフォーラム最終プログラム、
クロージングセッション:どこへ向かう日本のがん医療?〜混迷を深める日本のがん医療。私たちの選択は?〜
というタイトルですが、すみません、殴り書きのメモが2、3あるだけで、この「?」に対する答えは分かりません。
リンクを貼っておきますので、ご覧になってください。→こちら
まずパネリストは7人、プラス司会の女性の8人が、それぞれ話す感じで、1テーマについて討論する感じではなかったと思います。
印象と記憶に残ったことだけ書いておきます。

え〜と、最初の頃にメディアの問題が指摘されたと思うのですが、誰がパネラーだったか?記憶がない。
多分この人→「大橋 靖雄(おおはし やすお) 中央大学理工学部 教授」
海外ではメディアドクターがいて、メディアの誤った情報をチェックしている話があったかと。
ともかく日本のネット上の医療情報は質が悪すぎるそうです。
信頼できる医療データの見方として中山健夫「疫学情報」という名前が挙がっていました。

またメディアだけでなく、医学者の発するいい加減な情報の問題も出され、その代表例として「コレステロールが下がると死亡率が上がる」という話が出ました。
これは肝硬変の人はコレステロール値が低く、それらの人を含んだデータで発信した話と解説されていました。

結論としてはデータの見方を学ぶこと。
またネットのプラットフォーム作りの必要性が言われていました。
さらに「週刊現代」のトンデモ医療記事の話も出ましたが、私は知らなかったので、どんなこと書いてあるのか興味が湧きました。
だってトンデモ記事って無責任に読む分には面白そう(笑)


「勝俣 範之(かつまた のりゆき)日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科 部長」
この方は長年勤めていたがんセンターをやめ、とことん患者に付き合う理想のがん診療を目指しているそうです。
この人の話で印象的だったのは、我々が怪しいと言っている「リンパ療法クリニックの先生は優しい。標準治療でやることがなくなって見捨てられた患者に対し、「まだ希望はあります。一緒に戦いましょう」と言ってくれる」、と患者さんに言われたそうです。
この先生が目指すのは『Narrative-based Medicine(NBM)=対話を重視した医療』 と 『evidence-based medicine(EBM)=エビデンスを重視した医療』 の重なり合う医療だそうです。
これは里見清一氏の「医師と患者のコミュニケーション論」にも通じる部分があるなぁ〜と思いました。
個人的にはこういう先生が近所にいたら心強いと思います。


「藤原 康弘(ふじわら やすひろ) 国立がん研究センター中央病院 副院長(研究担当)」
この先生は里見先生の本でもあったオプシーボ(ニボルマブ)が日本の保険制度を破綻させるとの声に対し、製薬会社は外資が多い。外資は薬価の値下げを求めたら、さっさと日本から撤退し日本では売らなくなるだろう、と。(外資って本当にシビアね!)
また今から続々と出てくる薬はさらに高額になる予定で、オプシーボはまだかわいい方だそうです。

さらに一番衝撃的だったのは、なんやかや言ってがんの薬は高額とはいえ、投与の期間が短いので、実は本当に日本の保険制度を圧迫しているのは慢性疾患の薬だそうです!
特に降圧剤!他には糖尿病の薬など。大勢の人が長期間飲む薬こそが問題だ、との指摘です。
特に降圧剤はこの薬によって、寿命が延びる科学的根拠はないそうです。
これは個人的に衝撃で、私の母はもう何十年も8種類くらいの降圧剤を飲んでいるのです。
本態性高血圧で、心臓や脳に何の疾患もないのですが、ともかくこれだけは飲まないと怖いと本人も思い込んでいたのですが…。
先日薬をもらいに行くと、10数日も間が空いていると言われ、結局飲まなくても体調に変化はないどころか、長年飲んでいるこの薬のせいでボケたのではないか?との疑いを最近持っていたところなので、ショックでした。
この先生のお考えでは、癌のような重症疾患はこのまま国民保険の適応で良いと思う。
逆に高血圧、糖尿のような慢性疾患こそ、収入のある人は5割にするなど、見直しが必要なのでは?とのことでした。
さらに薬価改定は短期間での見直しが必要と言ってたような…(ちょっと怪しい)


「長谷川 一男(はせがわ かずお) NPO法人肺がん患者の会 ワンステップ!代表」
医者のコミュニケーションの問題についてかなりきつい調子で批判をしていたがん患者の方。
この方はステージ4の肺がんですが、7年目も見るからに元気そうに肺がん患者の会の代表をしているまだ若い男性です。
この人の話もちょっとショックで、お父様がかって(日本で一番のがんの病院という表現から多分)がんセンターの患者で、そこの医師に「やることがなくなった」からと見捨てられたことを未だに許せないと語気を強めて怒っていました。
そしてその医師のことを今も恨んでいると言った後、「名前はいいませんが「オプシーボが日本を滅ぼす。75才以上には保険適応外にしろ」と主張している医師です!」とのこと。
え!?それってもしかして里見先生?とちょっとびっくり。
う〜ん、本にも告知を推進していた時期のことを書いてあったから、その時期の話なのか?もしくはまだコミュニケーションの必要性に目覚める以前の話なのか?
ガンちゅう病気は治らなきゃ恨まれる、医師にとっても辛い病気だなぁ。未だに患者の遺族にこんな公の場で”今でも恨んでる!”と宣言されちゃうんだもんなぁ。と複雑な心境になりました。


「鈴木 美穂(すずき みほ)  日本テレビ報道局社会部記者(厚生労働省担当)」
NPO法人maggie’s tokyo 共同代表理事
乳がん経験者
若年性がん患者団体STAND UP!!副代表
この方は見るからに元気いっぱいなきれいな若い女性ですが、24歳の時、ステージ3の乳癌になり、フルコースの治療を終え、その後がん患者の情報発信や生きやすさを求めて精力的に奔走している若い記者です。
今年の10月にはmaggie’s centreを東京・豊洲にオープン予定。
先の長谷川さんの話を受け、女性司会者から医師の態度を問われた彼女、最初の乳がん宣告をした医師に「私、生きられないのでしょうか?」と聞いたら、「さあ知りません」と言われたことが未だに忘れられないそうです。

で、しばらく医師の配慮のない言葉に盛り上がり、パネラーの医師は苦笑。
がんセンター藤原医師(だったと思う)の話では、告知の際の配慮の必要性を理解しつつ、しかし時間と人員が足りない現実の問題、昔は診察室に看護師がいて患者さんの気持ちに(医師がダメでも)配慮があったが、現在では看護師は病棟にいないと診療報酬が支払われない現実が指摘されました。
なるほど〜!、だから最近の病院では看護師さんが診察室にいなくなったのね。


この診療報酬の話から若い厚生省の役人君「丹藤 昌治(たんとう まさはる) 厚生労働省健康局がん・疾病対策課 がん対策推進官」が矢面に。
女性司会者はこの役人君のスライド資料がいかにも役所の資料で見にくいことこの上ないことをいびり、会場の笑いを誘いました。
役人君、「もっと火だるまになることを覚悟してきたので、皆さんまだ優しくて助かった」と笑わせていました。
いつの間にか日本では役人はいびられキャラになってるなぁ。
あんまりいびると、優秀な人が官僚になってくれなくなって、将来やばくない?と思いつつ、やはり笑ってしまいました。


「関原 健夫(せきはら たけお) 日本対がん協会 常務理事」
この人は39才の大腸ガンから始まり、肝転移から6回の手術を受け、克服。
金融業界の最前線に復活。役職を歴任し、みずほ信託銀行副社長etcで、現在「がん対策推進協議会」委員として現行の「がん対策基本計画」作りに参画。というツワモノの方です。
役人や医師の心無い告知への批判でセッションが盛り上がる最中、静かに水を差してくれました。
でもこの人の言葉がセッションの中で一番心に残りました。
「5年生存率50%と言われたら、それは5年後には半分の人はもう死んでいるということ」「5年後死んでもいいという覚悟を持って生きることも必要」と言われたのです。
また「患者は希望ばかり見てはいけない」とも。
会場から反発した声も上がりましたが、私はどこか自分探しのお祭りのような明るいパネラーの声よりも、なんだか妙に心に響いてしまったなぁ。いやいや、まだ全然死ぬ気はないですけれども。


最後に会場全体が若い方が多く、運営側もなるべく明るい色を出そうと努力していることは分かりました。
それはSNSを中心に情報発信していることもあり、そうすると現実の中心である高齢患者には伝わらない恐れもあるのでは?と感じつつも、このNPO、若い患者の受け皿として大きな役割を果たしていくと期待されます。
来年は2017年8月19日(土)、20日(日)予定だそうです。




ジャパンキャンサーフォーラム 2016 『がん免疫療法』

disease(闘病記)
08 /09 2016
日本橋で行われた『ジャパンキャンサーフォーラム 2016 』に参加してみました。
猛暑の8月6日(土)、7日(日)、日本橋「コングレスクエア」のホールにて、100名を超える講師、司会者が様々なテーマで講演を行いました。
主催はNPO法人キャンサーネットジャパン。今回は3回目のフォーラムだそうです。
講師の先生方は全員無償で交通費もなし、会場はやはり無償で借りたそうで、どういう人たちが中心なのか、よく分かりませんが、進行係りやボランティアは若い女性が多いように見受けられました。最終のセッション後に総合司会の男性から紹介されていた、この団体の会長さんも若くて美人でバツ2のシングルマザーさんでした。
参加者の方も若い女性のグループで来ている人も多く、患者自身だけでなく、看護師さんや患者の周辺の人なども多いのかもしれません。若い女性が多いため、華やかさすらあって、フォーラムというよりフェスタみたいな雰囲気が漂っていました。

数多くある講演の中で、本当は「がんと漢方」の講演を聞きたかったのですが、2日目午後しか参加できなかったので、「がん免疫療法」とフォーラム最後のクロージングセッション「どこへ向かう日本のがん医療」の2つだけ拝聴しました。

「がん免疫療法」
「がん免疫療法」は今までのがん免疫療法の歩み、がんワクチン、そして免疫チェックポイント阻害剤の話が中心です。
最初に注意されたのは、いわゆる高額な自由診療の免疫クリニックのリンパ療法は何の根拠もないそうです。(しかしだったらどうしてあんなにいっぱいあって、医師免許のある人が堂々とやっているのか?)

講演者はガンセンター中央病院 先端医療開発センターの北野滋久医師です。
司会者によると、この先生は一貫して免疫でがんを治す研究をしている方だそうです。
資料スライドの内容に「すみません、これは私の暴走で、まだ未承認です」との注意点があり、そんなところにも自分の研究に対する愛を感じました。免疫療法には大きな期待を抱いている多くのがん患者にとって、希望の星のようなお医者さんです。

以下、メモを見ながら書いてみますが、いかにせんメモ自体が怪しく、自分ではさっぱり意味が分からないため、話10分の1くらいの感じで読んでください。
そもそも最初にガンの免疫療法が注目されたのは、19C後半肉腫の患者が感染症にかかったら、肉腫が消えてしまったことから、コーレーという医師によって始められたそうです。そんなに昔から始まっていたことに驚きました。

その後、主に免疫細胞自体を強化する方向(リンパ球療法、樹状細胞療法、ガンワクチン療法、etc)の研究が続きましたが、この中で免疫細胞を移入するタイプの療法は抗原受容体遺伝子導入が研究されている模様。(これはただのリンパ球ではダメで、リンパ球を武装させる、とメモってますが、よく分からない)
と、ここまではすべて現段階では未だ科学的に効果が証明されていない免疫療法のお話です。

そしてついに科学的に効果が証明されたガン免疫療法、免疫チェックポイント阻害剤に関する話がメインテーマ。
今までのは免疫細胞を強化、または外から武装させて移入の方法でしたが(多分?)、これはガンが免疫細胞にかける抑制(ブレーキ)を掛けられないようにする、間接的にガンを攻撃する方法です。
ニボルマブとイピリムマブ。まだ今の時点では悪性黒色腫と肺がんだけですが、今年度中には腎がん、近いうちにはさらに多くのがんの適用になるようです。

以下もらってきた資料によると、例として「ニボルマブ」の仕組みは、、、
T細胞の表面にあるタンパク質PD-1に がん細胞の出すタンパク質PD-L1がくっつくとブレーキがかかるので、ここにガンに先回りして抗PD-1抗体薬をくっつけてブレーキがかからないようにするとか?反対にがん細胞のPD-L1側に付くタイプの薬も開発中とか。
アレルギーの薬のCMでよくある図を思い浮かべれば、なんとなく分かるような気がします。
ところで、このPD-L1とかPD−1とかの分子は他にも10を超える分子が明らかになっていて、次々開発されているそうです。
この仕組みのため、どんなガンにも有効で、次々承認される見通しとのこと。
例のマスメディアのガン情報は信用しちゃダメ!と里見先生の本を読んで思っていた私も、国立がんセンターの医師が話してくれると、ついにガン征圧も間近かぁ〜と期待に胸膨らみましたが、、、
やっぱりどんな話にも光あるところ影もある…。

そうだよね。ちょっと理系に強い人ならば、これは諸刃の刃ではないか?とすぐに気がつくかもしれません。
いわゆる抗がん剤のような吐き気や脱毛といった毒物としての副作用はないものの、もっと複雑な副作用が思いつくよね。
免疫にブレーキをかけるのは別段ガンだけの技ではなく、そもそも体を守るために備わっているしくみな訳で、ガンはそのブレーキのしくみをさらに強化させる技を持っているらしいので、ガンを発見できる程度にブレーキを外すのが目的で、免疫のブレーキが全部外れたら、ガンよりも恐ろしいことになりそう。
時々ハチに刺されてアレルギーショックでお亡くなりになる人の話を聞くけれど、要するに異物を排除しようと免疫が暴走する恐ろしさはみんな知っていること。
なんでもほどほどっていうのが難しいんだろうなぁ〜と素人考えでは思います。

さらに面倒なのは、免疫は敵を記憶する機能があることから、普通の抗がん剤は投与をやめれば副作用も治まってきますが、免疫チェックポイント阻害剤は例えば投与の1年後に副作用が出現ということもあり得るそうです。

ここで肺がんに関しての話では、ニボルマブは扁平上皮癌にはPD-L1の発現量にかかわらず効果があるそうなのに、腺ガンではPD-L1発現量の多い人に効く傾向がありそうです。海外ではイピリムマブとの併用で奏功率50%超えるそうで、様々な組み合わせによる効果が期待されています。しかし一方、ニボルマブが全く効かない患者群もあるそうで、理由は研究が待たれるそうです。

最後にこの先生の話で印象的だったのは「免疫療法は患者自身がガンを治療している」という言葉です。
患者自身のリンパ球が、という意味でしょうが、印象的です。毒を持ってがんを制圧する抗がん剤に比べて、とても魅力的な治療法です。

ニボルマブの気になる薬のお値段の話は、この後のセッション「どこへ向かう日本のがん医療」の方でチラッと、でも個人的には衝撃的な話が出ました。
このセッションに関してもまとめてみたいけれど、こちらはメモすらほとんど取っていないので、印象に残ったことだけ、次にまとめてみますので少々お待ちを。





『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』  監督:ジェイ・ローチ

cinema
08 /03 2016
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『恋愛手帖』で第13回アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、着実にキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)。しかし、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。釈放後、彼は偽名で執筆を続け、『ローマの休日』をはじめ数々の傑作を世に送り出す。(シネマトゥデイ )

都心の映画館は大入り満員で年齢層高め、やたら反応が良く、ちょっとした皮肉にも笑い声が上がり、おそらく若い頃、トランボの作品を観た世代で映画好きの人が多いのかな?と感じました。

ハリウッドの赤狩りとかマッカーシー旋風という言葉は聞いたことがあります。
また1998年のアカデミー賞でエリア・カザンという名監督が名誉賞を取った時、かって仲間を売った裏切り者の烙印を押されていた彼に対して会場が異様な雰囲気に包まれことも記憶にあります。
このハリウッドにおける赤狩りの標的になった脚本家ドルトン・トランボを主演にした映画は、先日TVのバラエティショーでも取り上げられ、初めて「ローマの休日」の脚本家がトランボだったことを知りました。
とはいえ、1975年に70才で亡くなっている人なので、「ローマの休日」以外は見たことがないかと思っていたら、帰宅してググったところ、「ジョニーは戦場に行った」という私が中学生の頃見た映画が彼の作品(原作・監督も!)だったことを今知りました。
この映画は友人たちと見に行って、みんなショックを受けて、映画が終わってもしばらく席を立ち上がれなかった映画です。
中学生には重すぎてつらい映画でした。そして私の戦争観を基礎づけた映画だと思います。
同じ頃見た「ルシアンの青春」は子供にはさっぱり理解できなかったのですが、「ジョニー」の方はとても分かりやすい映画で、トランボの作品はいわゆる通好みの難解さがなく、見るものの年齢を選ばない作品だと思います。
また10代に見た映画の私的ベスト3に入る「パピヨン」もトランボの脚本なのも今回知って嬉しく思いました。
偽名での2度目のアカデミー賞に輝いた「黒い牡牛」は子供の頃TVで見てやはり感動した記憶がありますが、この映画の中で取り上げられている「スパルタカス」も今回ぜひ見てみたくなりました。

赤狩りをもっと暗く陰鬱なものとして描くこともできたと思うし、また言論や思想の自由を謳った格調高い映画にすることもできたと思いますが、そこはトランボの作品の神髄に通じる、ユーモアや娯楽性を失わない観ていてとても面白い映画です。
キャストがみんなよくて、敵役のヘレン・ミレンの怪演がすごい。
彼女の役はゴシップコラムニストで、タカ派で嬉々としてリベラル派を叩きまくる急先鋒の役なんですが、同じタカ派仲間のジョン・ウェインなどが仲間を裏切った役者に対し、少々の同情を見せるのに対し、このおばさんはもっと徹底してます。
みんなが雲の上の存在と見る大物MGM首脳のメイヤーさえ、臆せず脅迫する始末。
他にも低俗娯楽作品を質より量で撮りまくるキング映画の社長を演じるジョン・グッドマン。この人は本人の容貌からして何やっても怪演俳優ですけど(笑)
そしてこの映画で一番の役得はカーク・ダグラスではないかと思います。男気のあるかっこいい役です。
途中実際の「スパルタカス」のシーンが出ますが、ティーン・オゴーマンというこの俳優、カーク・ダグラス本人にそっくり!
印象に残るのは心ならずも友を裏切るマイケル・スタールバーグ演じるエドワード・G・ロビンソンという役者。
脚本家は顔を出さなくて済むから信念を貫けるが、役者は顔が売り物だから偽名を使って仕事をするわけにはいかないと言い訳をします。本当にそれはそうですね。
ラスト、トランボの演説は「あの時代はみんなが被害者だった」という言葉にロビンソンの顔が重なります。

現在の政権がやたらマスコミに規制を強いたり、世界的に見ても独断と偏見が世界を覆う今という時代、考え方の違いから敵のレッテルを貼り、排除しようとする考え方の危うさを「帰ってきたヒトラー」に続いてしみじみと感じさせられる映画でした。

この愛国心から敵を徹底的に排除しようとするこの心理。
全然違うけれども自分の友達にも相通じるものを感じます。
この友人、例えばパート先の人間関係でも全員を敵味方に色分けして、よく怒ってます。
なんでこういう人が超いい加減な私と仲がいいのか?いつも疑問ですが、彼女に言わせると「トン子(私)はグレーゾーンが多すぎる」そうです。別に謎の部分が多いという意味ではなく、私にとって人が10人いれば1人くらい馬があって、残り9人は好き嫌いの感情と無縁です。これものすごく普通でしょ?
たまにいる馬が合わない人に対しても攻撃色は出しません。必要な時以外には。
トランプを支持したり、安倍政権の人たちとかは、きっと信念とか政策以前に、いい悪いではなく、仮想敵をつい作ってしまう性格なのでは?と密かに思うこともあります。
白黒はっきりしないと気が済まない、なんでもきっちりした性格なのかも?
ガンの治療薬も早く作って欲しいけれど、人々をもっといい加減にするウィルスとかないのかしら?





tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。