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捏造の科学者 STAP細胞事件

book
05 /24 2015
ネツゾウ

最近節約モードのため、全く本を買っていない。
そのため夫の本か、近所に住む”本の虫H子”から借りた本ばかりのため、(自分で選ぶのと違い)本の内容に脈絡がない。
今回は夫の本をまずH子に回し、文系の彼女が面白かったか聞いてから私も読んだ。
昨年世の中を騒がせたスタップ細胞騒動を毎日新聞科学部記者、須田桃子が取材した「捏造の科学者」。

このタイトルがすべてを語っているのだが、反面「誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?」という帯文句の答えははっきりとは語られていない。
新聞記者である須田桃子は「誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?」を求め続けるが、理研はあくまでスタップ細胞が「ある」か「ない」かにこだわり、再現実験は行うものの「誰が、どのように捏造したのか?」を調査しようとはしない。
それを私は理研の責任逃れとはじめは思ったのだが、竹市センター長の「そんなことしてなんの意味があるの?」というセリフに「あ〜科学者ってこういう思考する人々なんだなぁ〜」となんとなく納得してしまう点もあった。そういう新聞記者と科学者の考え方の違いが面白くもあり、理系の内容が理解できない私にはそういう読む方しかできない本でもありました。

笹井さんと須田さんは個人的にも親しかったようで、笹井さんのメールが多く掲載されており、また若松さんはじめ関わった多くの研究者とのインタビューなどは読んでいて面白いのですが、スタップ細胞の科学的な記述になるとチンプンカンプン。とはいえ、新聞記事なので一般人がよんで分かるように噛み砕いて解説はしてあるが、残念ながら私の脳みそが理解できないだけみたい。

若松さん、発表前の時点で、なぜ自分の作成したキメラマウスか否かの遺伝子検査をしなかったのか?
なぜ誰もスタップ細胞が成功した時点で小保方さんのノートで詳細を確認しなかったのか?
いくら若くてもハーバードから来た研究リーダーとして小保方さんにノートを見せろとは言えなかった、等々いろいろと理由は述べられていて、気持ちは分かるものの、やはりこの騒ぎには、科学的じゃない理由が一番の原因だった気がしてならない。
要するに「若いのにハーバードで認められた優秀な研究者」であるとの(思い込みを含む)前提が周囲の世界的な科学者を盲目にさせた経緯とか…
理研にとって「特定国立研究開発法人」指定を目指すタイミングで、世間が飛びつく若くてチャーミングな研究者が世紀の大発見をしたとの舞い上がりとか…
とても人間臭い理由に翻弄された科学者たちのてんやわんやは、理系に疎すぎる私には、なんだか憎めない気がしたのだが、それこそとんでもない読み間違いかも。

もう少し真面目な感想としては、生命科学分野の競争の激しさ、日本を代表する研究機関でさえ予算を獲得するのが大変な背景etc。

昨年の春、疑惑が騒がれて出した頃、私は2種類の雑誌を読んだ。
一つは文春か新潮だったか、大手有名雑誌、もう一つは女性自身か女性セブンだったか美容院で読んだ女性雑誌。
この二つが対照的で、大手週刊誌は小保方さんが高校時代好きな男子の彼女だと周囲に言いふらしたとの妄想彼女伝説をおもしろおかしく書いたもの。あくまで彼女個人の人格を揶揄したものだった。
対して女性誌の方は研究者の置かれたシビアな状況を解説し、研究者は理研の安定的な職員ではなく期限内に成果を上げないと仕事がなくなる状況や、特に再生科学の分野の国際的な特許争いの激しさ、日本の科学分野の予算獲得の難しさなど、捏造か否かは未だ不明の時点であったが、捏造が生まれる背景を的確に指摘していて記憶に残るものだった。
女性誌なんて美容院以外で開いたこともなかったが、それまで接した新聞より雑誌よりテレビ報道より、なんて全うな事が書いてあるんだろう!と正直言うとびっくりした。

さて本書に話を戻すと、この本の中で一番印象に残ったのは…
舞台となった理研CDBの日本名が「発生・再生科学総合研究センター」であるのに、英語名が「発生生物学研究所」ということ。
いかにも再生医療というすぐ医療に役立つイメージを人々に与えることで、基礎研究の予算を獲得するしかない、日本の科学行政というのはそういうものなのだ、ということを初めて知った。
笹井氏が基礎研究を愛し、若手研究者の研究環境を守ろうとしたこと。それでいながら政府に食い込んでの予算獲得に長け、例のブームを起こしたスタップ細胞の記者会見を演出した人であること。
日本の科学行政の矛盾を冷静に見ていながら、笹井氏こそがそれを体現した人であったこと。
どちらの能力も人並みはずれて優秀であったがための悲劇のようで、笹井さんの死はとても残念で悲しい。

「税金の無駄使い」
おそらくこれが今の日本では水戸黄門の印籠のようなキーワードなのかもしれない。
生活保護から科学の研究まで、あらゆるシーンで泣く子を黙らせる。
「贅沢は敵だ」がよくよく好きな国民性なのかなあ?
確か以前、日本製ロケットがどんだけ税金の無駄使いか週刊誌で大々的に報道されていたが、その後「はさぶさ」ブームで宇宙開発たたきは影をひそめたっけ。
とりあえず治療法の無い医療に役に立つ、との物語が税金回してもらうには必要だったということなのか。
う〜ん、私には難しすぎて分からない。。。

ところでこの本を読んで、個人的に遠い日の苦い思い出が蘇った。
高1の生物の期末試験は英文で1問だけの記述式だった。
女性の月経周期について(エストロゲンとかプロゲステロンとかあれね)
落ちこぼれの私は問題文すら読めなかったと思う(英文で出すなよ!)。
当然0点で追試を受けたが、なんと追試で再び赤点(追試は皆に取ってはおそらく簡単な穴埋め式)
で先生に「これで赤点だったら本当に落第させっぞ」と怒鳴られ、追追試を受け(でもひとりぼっちではなく3〜5人いた記憶が)お情けで進級できたのである。メデタシメデタシ。







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セッション

cinema
05 /15 2015
セッション

錦糸町で友人Tと「セッション」を見てきました。
音楽、ましてやジャズなんて全然分かりません。
「バードマン」でもずっと背景音だったジャズドラム。
メロディのある音と違って、バードマンの時もそうだったけど、ドンドコしてる音ってなんだか前頭葉飛び越えて、脳の原始的な部分を刺激される感覚です。

さて「セッション」の主人公は音楽大でジャズドラマ−を目指す1年生。
そこにはとんでもない鬼指導者フレッチャー先生がいます。
この先生、異常です。
どなる、差別用語満載でののしるののしる、暴力をふるう(=椅子を投げる)
こんな先生に教わったら好きな音楽も嫌いになりそう…
実際、挫折して音楽を離れるもの、うつ病になってしまうもの。
しかしこの先生と同じ位、狂ってる主人公君。

色々あって、2人が再会し、コンサートが始まるラストシーン。
ここで二人は和解し、感動のコンサートシーンだと絶対思うよね?普通。
でもフレッチャー先生、やっぱり根性ねじ曲がってたわ。ほんと驚いた。
しかし主人公も負けていない。

この二人のぷっつん野郎の戦いとその果てにあるもの。
意外や、この戦いの果てに、初めて二人は微笑み合い音楽の楽しさ、グルーヴを感じるのです。
だから後味は悪くないのです。
「スィングガールズ」とか「ブラス」とか「オーケストラ」とか音楽を通じて皆がまとまり、大円団みたいな感動映画とはずいぶん趣が異なりますが、おもしろい!という点ではほんとうに面白い映画でした。
でもやっぱりこんな先生には教わりたくないわ〜。


tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。