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6才のぼくが大人になるまで

cinema
02 /26 2015
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6才の少年とその家族の12年間の軌跡のドラマ。同じ役者たち(両親、姉、主人公の少年の4人)で12年間かけて撮り、その成長と変遷を描いています。
アカデミー作品賞にノミネートされていたそうですが、受賞は残念ながら他に譲ったようです。
受賞は逃したものの、本当にすばらしい映画でした。

まずよくこんな撮り方ができたなぁ〜と本当に感心しました。
監督にとっても、役者にとっても一生に一度しか撮れない映画でしょう。
お母さんはパトリシア・アークエット、お父さんはイーサン・ホークで有名な役者ですし、子役たちも思春期になると自分の生活が大事で自我も強くなるでしょう。
そういった撮影の裏側を考えると、とある一家のドキュメンタリーを見ているとしか思えない自然さが驚きです。

スタート時、すでに夫婦は分かれていて、ふらふらしている父と、大学に入り直してがんばっている母。
母は大学教授と再婚して、それぞれの連れ子4人と夫婦の生活が始まり、子どもたちはすぐに仲良くなるものの、継父はアル中。
身の危険から3人は逃げ出しますが、このときのアル中継父の連れ子の2人のその後がずっと気になりました。
大学教員となった母は教え子と再婚。これまた破綻。その間、ふらふらしていた父は再婚し、子どももでき、意外と堅実な家庭を築きます。
アメリカらしいのは、子どもたちはずっと実父とも定期的に会って、父の新しい家庭とも行き来し、父の新しい妻の両親とまで仲良く交流するところです。
夫婦は分かれますが、絶縁ではなく、子どもから見ると家族が広がって行く感じが、なんだかいいなぁと思いました。

日本から見ると不思議だったのが、学校までの距離の違いか?治安の差か?
中学生になっても親が車で学校の送り迎えをしたり、自分が行けないときはお姉ちゃんに頼んだり、ともかく子どもを学校まで届けるのが大人の義務らしいこと。
そのくせ高校生になったとたん、車を運転し、酒盛りパーティに不純異性交遊(って言い方古い?)
そして18才になったとたん、母は「あ〜これで親を卒業だわ♪」と晴れ晴れして宣言します。
良くも悪くもメリハリがはっきりしてる感じです。

映画の帰り道、近所の小学校の帰り道のちびっ子たちがゾロゾロ歩いていました。
日本では6才になったら子どもだけで学校や友達の家へ行きますが、20才すぎても普通に親と住んでいます。
ある日突然「はい、親の役割は卒業。今日からあなたは大人よ」と言えるかと、自分の事を考えてみると、
う〜ん甘い母である私には難しい気もします。


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ブラティスラヴァ世界絵本原画展 —絵本をめぐる世界の旅—

art
02 /16 2015


Mさんと千葉市美術館へ「ブラティスラヴァ世界絵本原画展—絵本をめぐる世界の旅—」を見に行きました。

この『ブラティスラヴァ展覧会の主旨は児童書先進国の優秀なイラストレーターの紹介と同時に、その他の国々の隠れた才能の発掘を目指している。そしてなによりも訪れる子供達の為のイベントである。現在、国際アンデルセン賞と並び、児童書の分野で権威ある賞の一つとなっている。 BIBはこの種のイベントでは世界で唯一の非営利のものである。』(参考:wikipedia:「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」)なんだそうです。

グランプリは「大洪水」(スイス、エヴェリーネ・ラオベ&ニーナ・ヴェーアレ)
ノアの方舟の物語です。
ページによって紙の大きさも異なり、折畳んで外箱に納める装丁も個性的です。
鉛筆で描かれた絵は一見精密画風ですが、よく見ると遠近感はバラバラ、緻密な絵とへたうま風の絵が混在となった非常に独特な絵本です。

私が一番印象に残ったのは韓国イ・ギフンの「ブリキのくま」です。
これは子どもが選ぶ「子ども審査員賞」作品でもあります。
大友克洋の「AKIRA」の世界のようなSF漫画調。
人間のいなくなった大都会の廃墟という殺伐とした風景が続き、これを子どもが1番に選ぶというのは?とも思うのですが、ブリキのクマの中にリスがせっせとためたドングリが芽吹き森が始まるラスト、「再生」を表す内容でもあります。

いわゆる美しい絵本よりも個性的で新しい表現を目指している絵本が多いようです。
その中で日本の「しろねこくろねこ」はお話も単純で伸び伸びした墨絵調の絵本で、どこかホッとする絵本でした。

帰り道、そごうにある手づくりショップを眺め、Mさんは生地を私は型紙を買って、今ハマっているソーイングの話で盛り上がりました。

「破獄」吉村昭 

book
02 /16 2015
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4度の脱獄をなした実在の人物を戦前から戦後の世相を背景に描いた小説です。
小説というより綿密な取材による刑務所から見た戦前〜戦後日本史といったノンフィクションのようです。
脱獄王、佐久間清太郎が主人公ですが、彼の内面を安易に解説したりはせず、彼を閉じ込める側の人々(4つの刑務所の所長や刑務官)と佐久間との攻防をどちらかに肩入れする事無く事実を淡々と書いています。

この淡々とした描写がかえってその過酷さを浮き上がらせていると思います。
冬の網走の半端ない寒さ、戦後の食料不足、札幌から府中刑務所への移送の旅の過酷さ。
看守という職業のなんとまあ大変なこと!

意外だったのはどんなに食料が不足してる最中も、囚人にはどうにか1日6合の主食を保っていたこと。
囚人にとって食事は大きな楽しみで、これが足りないと暴動脱獄など世の中を乱すと考えられ、なんとしても主食だけは確保するために各刑務所は苦心惨憺したこと。反面看守たちは飢えに苦しみ、思わず囚人の食事に手を出してしまった者もいること(即免職)。

驚いたのは戦時中、囚人たちの果たした役割の大きさです。
男たちが戦地へ送られ不足している事から、屋外に泊まり込みで戦争のための道路や飛行場を建設し、軍服等様々な軍需物資を刑務所内の工場で作り、さらに看守不足から看守まで囚人が代理で担っていました。
さらに驚きは戦後は全国の刑務所が定員の何倍もの囚人であふれる程に、強盗殺人窃盗と犯罪が多かったこと。
戦後というのは、日本人は復興に向けてレッツゴーとばかりキラキラ輝いていたというイメージを持っていたため
意外でした…。
それまでの価値観が崩壊し、社会が混乱しているのだから、考えてみれば不思議でもないのですが。

主人公の佐久間は人間離れした体力、運動神経の持ち主で、綿密な計画と看守を心理的に操るなど、頭脳も非常に高く、各刑務所の所長はみな、この佐久間の能力に畏怖すら感じるのです。
しかしこれほど能力の高い人間が何故こんな人生を歩んでしまうのだろうか?と考えてみて、そうか!逆なのか!?と思いました。
どういう事かというと、刑務所での過酷な仕打ちこそがその能力を目覚めたのではないか?ということです。
彼の持つ超人的な能力は、過酷な仕打ちをした看守に復讐するために頭脳を絞った結果、設立以来脱獄ゼロの網走刑務所すら考えられない方法で脱獄してみせる程です。
しかし最後に移送された府中刑務所で今までと逆の対応を試みた所長の処置によって、佐久間は人間らしさを取り戻します。
彼の能力を目覚めさせたのは北風で、彼の能力を眠らせたのは太陽だったのかもしれません。



KANO~1931海の向こうの甲子園~

cinema
02 /12 2015
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休日に夫と近所のシネコンで「KANO~1931海の向こうの甲子園~」を見ました。
本当は「エクソダス:神と王」を見る予定でしたが、時間が合わず「KANO~1931海の向こうの甲子園~」にしました。
「神と王」はリドリー・スコットということでちょっと気になりますが、時間だけで選んだこの「KANO〜」、久しぶりにさわやかで素直に感動できるとってもいい映画でした。

KANOとは「嘉義農林学校・野球部」の略称「嘉農(かのう)」からユニホームに「KANO」とあり、そこからのタイトルです。
これは台湾映画で、1931年の実話をもとにしたお話です。
それまで0勝だった嘉義農林学校野球部に松山商業のコーチだった近藤監督が就任、日本・漢民族・蕃人(ばんじん/台湾原住民)からなる混成チームを台湾代表に勝ち進め、さらに甲子園で決勝にまでいったという実話を元に語られています。
よってスポ根映画といえばその通りです。鬼コーチに応える生徒たちのがんばりは凄まじいほど。
でもそれだけではありません。
2戦目で嘉農と当り破れた札幌の投手が1944年将校として南方に行く途中台湾を通過、その地を見て1931年の甲子園を振り返るという視点を持つ事で、さわやかスポ根ドラマというだけに終わらない、時の流れの中の1931年を捉えていて、その輝きを切なさとともに一層感じられます。

当時の台湾にあっても三民族混成チームというのは珍しかったようですが、民族の違いとかこの少年たちには全く関係ない様子もいいです。
同じ目標に向かって進む仲間という以上になんのわだかまりもない、どこまでもさわやか〜なんです♪

ところで本当にお恥ずかしいのですが、映画が始まって会話が日本語なので私はすっかり「吹き替え版」を見ているのだと思い込んでいました。そのうち中国語も混ざって会話しているので、ようやくあれっ?と。
登場人物も呉くん(かわいい♡)とか中国名の子もいれば、日本名と台湾?名で呼ばれたりする子もいて、初め訳が分かりませんでした。
私と同じ程度に無知な人のためにおせっかいを書いておくと、当時の台湾は日本が統治していて、漢民族(中国大陸から渡ってきた人)は中国名を、台湾原住民は日本名と現地名と両方持っているようです。
それから大沢たかおがダムを建設している実在した日本人役で、これまたいつもの事ですが、相変わらずさわやかでとってもいい人です。ダムも台風で水量の安定しない台湾の農業に恩恵をもたらし感謝されています。
日本人と台湾人てこんなに関係が良好だったのか、と少なくともこの映画だけ見ると思ってしまうほど、最近流行の「反日」とか「親日」とか、映画見るのに国背負って見ているご苦労な方々も心安やかに見れると思います。
でもそんなことはどうでもいいくらい、この映画は素直に感動できますよ。



トンちゃんとドッグラン

dog
02 /12 2015
最近忙しく、トンちゃんの散歩がおざなりでしたので、久しぶりにドッグランに行きました。
散歩量が足りなくても家の中を縦横無尽に走り回ってるトンちゃんですが、やはり障害物競走のような家の中と違い、広いところでのびのび走ることができてうれしそうです。
ゴールデンレトリバー、柴犬、チワワ、アメリカンコッカーのメンバーで仲良くかけっこしているところへ、小熊のようなバーニーズマウンテンドッグが入ってきました。
聞くとまだ1才前の男の子で当然ながら落ち着きはゼロ。
巨体で突進してくるので、正直言うと動物全般苦手の私は逃げ回りました。

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チワワと柴君はこのバーニーズに吠えかかりますが、トンちゃんは楽しそうに遊びに誘います。
チワワだろうが、バーニーズだろうが、時には猫だろうが、年齢大きさ関係なく誰とでも仲良く遊べる社交的で愛嬌者のトンちゃん。
犬は飼い主に似ると言いますが、我が家の場合、飼い主は無愛想で友達少なめ…
どちらかと言うと、飼い犬を見習った方が良さそうです。

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ナオミとカナコ

book
02 /05 2015
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今年始めに読んだ本は奥田英朗の「ナオミとカナコ」
奥田英朗はとにかくうまくてミステリーにとどまらないジャンルの広さ。
器用すぎるともいえる作家ですが、ミステリー系売れっ子作家(東野圭吾とか宮部みゆきetc)の中では一番好きな作家です。

前半は百貨店外商部で働くナオミが語り手。
現代の百貨店が中国人富裕層頼みの裏話なども面白い。
中のエピソードで超高級腕時計を万引きしても開き直る中国人女性の朱実の図々しさと図太さには、初めほとんどの人が反感を覚えるでしょうが、読んで行くうちにナオミ同様、その逞しさに魅了されてしまいます。
自分にも10分の1でもこの図太さがあったらなぁ〜…
メイン話は親友カナコの夫がDV男と知り、自分の父もそうだった記憶に苦しみ、殺人を計画する。
殺人を「クリアランス」というブラックユーモアがちょっと怖い。

前半では専業主婦のカナコは弱々しい女に描かれるが、後半カナコに語り部が移るともう徹夜必至。
ページをめくる手が止まらない。
完全犯罪を狙ったはずの二人に次々襲いかかる試練に、ハラハラドキドキ。
殺人犯なのに、ついつい二人を応援してしまう。
これもDV男は殺されてもしかたない、と思ってしまうからかもしれない。
二人の前に立ちはだかる最大の敵もやはり女(DV夫の妹)。
女中心の小説で殺人まで起きるのに、ドロドロせず読後感も悪くないです。




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ビッグ・アイズ

cinema
02 /04 2015

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ティム・バートンの新作。
1960年代サンフランシスコを舞台にした実話ドラマ。
哀愁を帯びた大きな目の子どもの絵で一躍売れっ子になった画家ウォルター・キーンとその妻マーガレットの話。
売れない風景画を描くウォルターと子連れで内向的なマーガレットが出会い結婚。
妻の描く大きな目の子どもの絵が人々を魅了する事に気づいた夫は自分が描いた事にして売り出す。
ここで面白いのが、チラシを人々が欲しがる事に目をつけた夫がハガキやチラシを有料にして売り出す。
この夫、画家としては完全に偽物なんだけど、プロデューサーとして天才的な才能を発揮。
それまでのアートの概念を変えて、ドラッグストアやスーパーで複製を買えるようにする。
大金持ちになった夫婦だが、妻はひたすら絵を描き続け、夫は派手に遊びまくる。
やがて我慢の限界になった妻の逆襲が…。

夫を演じたクリストフ・ヴァルツは「イングロリアス・バスターズ」のナチスの将校役でアカデミー賞を取った演技派。今回もうまいしラストの裁判シーンなど爆笑ものですが、どう考えてもこの人がこの絵を描くなんて全然納得できない。
悲しげな大きな瞳の少女の絵はいかにも内向的な人間の内面が映し出されていると思う。
こんな口がうまくて、やり手で、強引で、俗物根性丸出しの人がこの絵を描くなんてミスマッチ過ぎる。
どうして世間はあっさり納得したのかしら?
時代のせいもあるでしょうが(女が描いた絵は売れなかったらしい)、せめて見てくれだけでももう少し繊細な外見の俳優にした方がしっくりしたのでは?…と個人的には思いました。
はじめの辺りで絵を描く二人の背景にいる老女に注目。

tonton

映画と本の備忘録。…のつもりがブログを始めて1年目、偶然の事故から「肺がん」発覚。
カテゴリに「闘病記」も加わりました。